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2023年12月29日更新

【プロがつくる庭】のぞき窓で一体感 心鎮める庫裏の庭

金武観音寺(金武町) 施工/㈲ナカムラ造園土木

のぞき窓で一体感 心鎮める庫裏の庭

囲まれつつも窓で奥行き

静謐(せいひつ)で厳かな雰囲気が漂う金武観音寺の境内。ちょろちょろと聞こえる心地よい水音をたどっていくと、高さ170㌢ほどの「御簾垣(みすがき)」で囲まれた空間へと行き着く。庫裏(住職の自宅)の建て替えに合わせて造られた和風の庭だ。

地面に敷かれた白いサビ砂利と那智黒石のコントラストが印象的で、御簾垣に沿った石組みにはリュウキュウマツなど沖縄の植物が並ぶ。観音寺に似た名前のカンノンチクも葉を伸ばしている。

真っすぐに石が敷かれた延べ段を進むと、縁側前の「沓脱(くつぬぎ)石」から続く飛び石と合流。水音の源であるつくばいへと続く。つくばいの背後の御簾垣には小さな窓。庭を手掛けたナカムラ造園土木の仲村弘喜さんが「奥の庭と一体になるように」と設けたもので、窓からは奥にある庭が見える。

その庭は、石組みで自然を表現した枯山水。先々代の住職が植えた竹や、土を押し固める手法「ハンチク」で作った土塀など、既存の素材ともマッチしている。

住職の元山善弘さんは「参拝に訪れた方々の心が、庭を見て穏やかになれば」と話す。

間もなく新年。初詣で訪れるついでに、庭をのぞいてみるのもいいだろう。


御簾垣で囲まれた庫裏の庭。右手の縁側の前にある沓脱石を下りていくと、飛び石があり、左下から続く延べ段と合流する
 

沓脱石から見たつくばい。背後の御簾垣の一部には窓が設けられており、奥にある庭の石が見える。奥の庭との間は一般の人も通れる通路になっているため、窓から庫裏の庭を見ることができる
 


御簾垣から通路を挟んだ場所にある庭。庫裏の庭と一緒に設けた。枯山水をメインにしながら、高く伸びる竹や、左手にあるハンチクの土塀など既存の素材も生かして造られている


二つの庭に挟まれた通路。路地庭のようになっている


設計・施工/(有)ナカムラ造園土木 
電話=098・964・5670



毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 年末年始特別号
第1982号 第2集・2023年12月29日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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