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2022年9月16日更新

【沖縄】在宅療養者の防災のポイント|介護を支える 住まいの工夫⑯

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は在宅療養者の防災について詳しい沖縄県難病相談支援センター認定NPO法人アンビシャス副理事長の照喜名通さんに話を聞きました。

介護を支える住まいの工夫 ⑯

在宅療養者の防災のポイント

常に備えておこう

在宅療養者の防災について、住環境から見た注意点を沖縄県難病相談支援センター認定NPO法人アンビシャスの照喜名通さんに聞くと、「人工呼吸器などを使用している場合、非常時の電源確保については考えていても、いざ使おうという場面で充電器が使えなかったり、暗闇の中で動けずパニックに陥ったというケースが起きている。基本的な防災についての意識や備えに課題があったり、楽観的に考えている人が多い」と危機感を語る。

今年6月には、南部で豪雨による冠水や土砂崩れ、停電が相次いだ。照喜名さんは、「防災は台風だけでなく、常に備えておくことが大事」と強調する。

夜間の停電で明かりがないと必要な介助ができず、転倒の危険性も高まる。「まずは安否確認をするためにも非常時の照明として、(1)懐中電灯、(2)LEDランタン、そして、両手で介助できるように(3)ヘッドライトを確保して」と話す。さらに「それらが使えるように日常的に使用したり確認したりしておくことが大事」とし、「どこにあるか分からない、電池がない・切れている、液漏れして壊れているというケースがとても多い。充電が必要な機器は、定期的に使用し、充電しないと故障につながる」と注意を促す。

自助力が要

「防災は、公助、共助より、自助の意識を強く持つことが大事」と照喜名さん。要介助者も介助者も、枕元にはヘッドライトなどの照明、ケガ予防の靴下、助けを呼ぶための笛や防犯ブザー、めがねなどを入れたポーチを置き、足元には非常時用のくつかスリッパなどを置いておこう。

また、災害時は通信がつながりにくくなることも多い。安否確認の方法として「災害用伝言ダイヤル171をぜひ活用してほしい」とアドバイス。「171はイナイと読むと覚えやすい。1日と15日は無料で試すことができる。いざというとき慌てないためにも、家族で試して防災について考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛ける。


各部屋に非常時照明を
乾電池は正しい使用法で


LEDランタン(右上)は各部屋に一つ、懐中電灯やヘッドライトは各人に一つずつ用意しよう。ヘッドライトは両手が空くので介護もしやすい。LEDライトは、暗くなったり、揺れを感知したら自動で点灯するものもある

乾電池をセットするときは、同じメーカー、同じ種類で同時期に購入したものを使用しよう。メーカーがバラバラだったり、古いものと新しいものを混ぜて使用したりすると、発熱、液漏れ、破裂を起こし、器具を故障させる可能性がある

実際にあった!こんな楽観思考は危険です
× 避難すると決めているので、防災の準備はいらない
× ここは停電しない地域
× 停電は台風のときに起きる
× 防災機器は用意したけど、実際に使ったり充電したことがない
× 前に避難したが、なんともなかったので次はしない


てるきな・とおる/沖縄県難病相談支援センター認定NPO法人アンビシャス副理事長。クローン病患者、団体発起人


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
取材/赤嶺初美(ライター)
第1915号・2022年9月16日紙面から掲載

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