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2022年8月19日更新

【沖縄】福祉用具の新機能を確認|介護を支える 住まいの工夫⑮

今回は7月1日、2日に沖縄県総合福祉センターで開催された「福祉機器展2022」より、大掛かりな設置工事がないため賃貸住宅にも取り入れやすいと注目を集めたスロープなどを紹介する。

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介護を支える住まいの工夫 ⑮

設置工事なく賃貸住宅にも


設置も取り外しも簡単

在宅介護では、住環境を整えることで要介護者のできることが増えれば、日常の行動範囲が広がり、自立した生活の維持や介護者の心身の負担を軽くすることもできる。しかし、賃貸住宅の場合は、介護リフォームをする前に家主への確認承諾を得たり、退去時の原状回復という基本条件などを考えて、リフォームすることに二の足を踏んでしまうという人も少なくない。そんな中、壁や床に穴を開けるような大掛かりな設置工事のいらない福祉機器が近年、多く登場しており、コンパクト化や機能性も向上して、多様なニーズに応えている。

7月1日と2日、沖縄県総合福祉センターで開催された「福祉機器展2022」では、全国から集まった44の福祉機器メーカーによって、自社の誇る技術や素材による最新機器が展示された。

屋内屋外の段差解消に用いられることが多いスロープでは、限られたスペースでも設置でき、取り外しも簡単にできるL字型スロープが注目を集めた。同製品を提供している(株)シコク沖縄営業所所長の仲宗根槙さんは、「10分程度で組み立てることができ、女性でも持ち上げられるほど軽量。狭小スペースや賃貸住宅など、これまで設置できなかった場所にも広く活用することができる」と胸を張る。


沖縄県総合福祉センターに全国から44社の福祉機器メーカーが集い、3年ぶりに開催された「福祉機器展2022」
沖縄県総合福祉センターに全国から44社の福祉機器メーカーが集い、3年ぶりに開催された「福祉機器展2022」。トイレ、ベッド、食事、衛生関連機器など、特に日常生活の要となるブースには人だかりができ、関心の高さが見られた

L字型のスロープはこれまで設置が難しかった場所にも活用が広げられるとして注目を集めた。撮影協力:(株)シコク
床や壁に穴を開けず、大掛かりな設置工事のいらない福祉機器も多く展示された。L字型のスロープはこれまで設置が難しかった場所にも活用が広げられるとして注目を集めた。組み立て式で軽量化も実現されている。撮影協力:(株)シコク

介護の不安・負担を軽減

スロープを安全に使うために、車いすを自力走行するか介助者同伴かで勾配の目安は違う。いずれにしても10センチの高さならおおむね12倍~15倍の長さが必要になる。つまり、段差の高さに応じてスロープの長さも必要となり、その分、設置スペースの広さも必要となる。

設置スペースがない場合、電動で床面が上下する昇降リフトや改修工事などの選択肢もあるが、仲宗根さんは「どちらも選べず、要介護者を介護者が抱えて移動するという事例もある」と指摘。「スロープがあることで外出が楽になれば、介護が必要な人も介護する人も精神的な負担も軽くなり、生活の意欲にもつながる」と話す。

同会場ではほかにも、壁に穴を開けず、玄関や廊下、トイレの床に置いて使う手すりなども多数展示され、来場者から質問を受けるなど関心の高さがうかがえた。

1階の沖縄県介護実習・普及センターでは、福祉機器を常設展示しており、誰でも見学でき、情報提供や相談に応じている。在宅介護の生活を支える福祉機器は、どんどん進化している。情報のアップデートに努め、介護の不安や負担の軽減へとつなげたい。

 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
取材/赤嶺初美(ライター)
第1911号・2022年8月19日紙面から掲載

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