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2025年10月10日更新
種はひまし油の原料だが猛毒も 沖縄で野生化している帰化植物とは|身近で見られる帰化植物㉛
文・写真/比嘉正一 沖縄文化スポーツイノベーション(株)顧問
海外から入ってきて、今では県内で普通に見られる帰化植物を解説。今回はトウダイクサ科のトウゴマとショウジョウソウを紹介。トウゴマは「ひまし油」の原料として知られるが実は毒性があります。
トウダイクサ科2種
「トウゴマ」「ショウジョウソウ」
トウゴマ/アフリカ原産

果実にはやわらかいトゲがある。中の種子はひまし油の原料として使われている

切れ込みがあり、手のひらのような形状の葉
種子をひまし油に
トウゴマはアフリカ原産で高さ70センチ~1メートルほどに成長します。葉は直径15センチ~50センチと大きく、手のひらのような形状です。白っぽい雄花と赤色の雌花を咲かせます。
果実は柔らかいトゲが付いていて、完熟するとだ円形の種子ができます。この種子はひまし油の原料ですが、実は猛毒として知られています。製造過程で取り除き、潤滑油や医療用として使われています。昔、石油が高騰したときに自然エネルギーの代替えとしてこの種子油が注目されたことがあります。
日本へは平安時代初期に中国から、江戸時代にも米国から導入されたようです。その後、沖縄にいつごろ入ったかは不明です。沖縄では、かつてアタイグワー(家庭菜園)などで栽培されていましたが、今は野生化しているのを時々目にします。

トウゴマの種子はひまし油の原料となる。種子は猛毒として知られるが、精製の段階で除去される
ショウジョウソウ/南北アメリカ原産

赤い部分は花のように見えるが、花などを守るために特殊化した葉

ショウジョウソウの草姿
ポインセチア似
ショウジョウソウは、高さ0.5~1.5メートルに成長する1年草です。葉は羽状に切れ込むものから卵型など多様です。
花は黄色で小さいですが、そのかわり赤く色づいた「苞(ほう)」が大きく目立ちます。ポインセチアに似ていて、観賞用としても活用されています。
沖縄への来歴は不明ですが、栽培用に持ち込まれたのが野生化したと思っています。今では道端や、草地、海岸砂地などで群落が見られます。
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10月~11月の公園情報
※諸事情で日時が変更になる場合があります。問い合わせ先にご確認ください。
【沖縄県 県民の森(恩納村)】
◆秋のチョウ類自然観察会
・日 時/10月18日(土)午前9時30分~同11時
・料 金/1000円
・定 員/10人(小学生以上対象)
・講 師/比嘉正一氏(学芸員)
秋は、チョウ類の種類・数とも年間で最も多くなる時期。滅多に観察できない珍しい種類にも出合えるかも! 園内を散策しながら、紹介・解説する。
・電 話=098-967-8092
【浦添大公園(浦添市)】
◆帰化植物自然観察会
・日 時/11月1日(土)午前9時30分~同11時
・料 金/1000円
・定 員/10人(小学生以上対象)
・講 師/比嘉正一氏(学芸員)
浦添大公園に生育する植物のうち帰化植物の割合は50%を超えている。こうした帰化率の多い背景や、生育する種類について散策しながら解説する。
・電 話=098-873-0700
【沖縄県 県民の森(恩納村)】
◆樹木自然観察会
・日 時/11月8日(土)午前9時30分~同11時
・料 金/1000円
・定 員/10人(小学生以上対象)
・講 師/比嘉正一氏(学芸員)
開園当初に植えられた樹木類は大きく育ち、森に溶け込んでいて見事。また、自然林として残された各所にはブナ科マテバシイ、オキナワウラジロガシなどが生育する。秋を満喫する観察会。
・電 話=098-967-8092
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執筆者
ひが・まさかず/1956年生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄文化スポーツイノベーション(株)顧問に。沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2075号・2025年10月10日紙面から掲載