「大掃除は11月からスタートを」沖縄の空間デザイン心理士が勧めるワケ カビを増やさない掃除法も解説|家と心理㊹|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2025年11月7日更新

「大掃除は11月からスタートを」沖縄の空間デザイン心理士が勧めるワケ カビを増やさない掃除法も解説|家と心理㊹

空間デザイン心理士Ⓡで一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが、空間を心理的に解析。11月に入り、涼しくなってきた今こそ「大掃除をスタートしましょう。温湿度が安定している冬場にカビ対策を意識した掃除・片付けをすることで住まいの快適性を保てます」とまえうみさんは説明します。

特集・企画

タグから記事を探す

温・湿度低い冬場は ベストタイミング!

年末の大掃除、みなさんはいつ始めますか? 「12月に入ってから」という方が多いかもしれませんね。しかし! 私は11月から始めることをおススメします。

理由は、11月くらいから沖縄でもようやく気温が下がり始め、湿度も安定してくるからです。カビの繁殖が落ち着く時期だかこそ、汚れを落とし湿気を追い出すのに、ベストシーズン!

梅雨や暑い季節にたまった湿気・ホコリを放置しておくと、カビはひそかに活動を続けています。特に水回りやクローゼット、エアコン内部、日当たりが悪い北側などは要注意! 春先に「なんだかカビ臭が…」ということも少なくありません。

だからこそ、温・湿度が安定する冬場に「カビを繁殖させない」ことを意識しながら掃除&片付けをすることが大切です。
 
 カビが大好きな環境 

 

 

カビ増やさない掃除術 ①水回り②収納③空気

効率よく、しかもカビを増やさないための冬場のお掃除術のポイントを紹介します。

まず、換気扇。見えにくい位置にあり掃除を忘れがちですが、換気扇にほこりがたまるとカビが繁殖し、部屋中にカビを拡散してしまうという悪循環になりかねません。稼働時に音がうるさくなったら掃除のサイン。取り扱い説明書を見ながら、フィルターや内部のファンまでお掃除をしましょう。

その後は、①水回り②収納③空気、の順番でお掃除をします。

①水回り(キッチン・浴室・洗面所など)は、菌の温床になりやすい場所なので先に済ませておきましょう。気になる場所はカビ取り剤などを使ってお掃除します。掃除後はしっかり乾かすことが大切です。

②収納は、モノを減らすことからはじめます。そしてホコリや汚れを取り除きます。

③空気は、家具の裏側や収納など空気が滞りがちなところを掃除し、サーキュレーターや扇風機で風を通します。家中の温度ムラが減り、結露やカビ防止につながります。

カビの生えやすい空間には共通点があります。それは「閉ざされている」「モノを詰め込み過ぎている」です。人が心を閉ざすのと同じように、空間が呼吸できなくなると、湿気がこもり、エネルギーも滞ります。

かといって急に窓を造ったり、空間を広くすることはできません。対策としておすすめするのは、家具を4㌢以上壁から離して配置すること。これだけで空気の流れが生まれ、カビの発生率を下げ、心も軽やかになります。
 

 カビ対策を意識した冬場のお掃除の順番 

①水回りからスタート

水分が多く、菌の温床になりやすい場所。11月のうちにしっかりお掃除しておくと、年末まで快適に。カビ取り剤を使うときは、「こすらず、置く」のがこつ。カビ取り剤を散布した後30分ほど、ラップをかぶせて置いてからスポンジで軽くこすれば、素材も傷みにくくなります。


 

②収納(押し入れ、クローゼット)を整理する

不要な衣類や紙・空き箱などのモノを減らすと、風が通りやすくなり、湿気がこもりにくくなります。そしてホコリなどを除去しましょう。

除湿剤を置く場合は、湿気のたまりやすい床の四隅に置くことで、効率的に湿気が吸収されます。
 

③最後に空気を通す

家具の後ろや窓際など、空気が滞りがちな場所のホコリを取り除きましょう。その後、サーキュレーターで空気を循環させると、家中の温度ムラが減り、結露やカビ防止にもつながります。

 

掃除・片付けは「自分の再起動」

年末の大掃除というと、「家中ピカピカにしなきゃ」と思いがちですが、それがストレスになると本末転倒です。

なぜならば掃除で大切なのは「完璧かどうか」ではなく「気持ちよさ」だから。1日10分だけでもコツコツと掃除をすることで住まいがリセットされていきます。

一気にではなく「少しずつ」というのがミソです。11月から少しずつ取りかかることで、年末のバタバタを避け、家族も巻き込みやすくなりますよ。

ちなみに掃除・片付けが苦手な私は、掃除の際にテンポの良い音楽を掛けたり、ビフォー・アフターを写真で残したりと、継続できる工夫をしています。


まえうみさんが伝授
片付け・掃除の楽しみ方


・テンポの良いBGMをかけながら掃除する
・掃除グッズをお気に入りの物にする
・掃除後のご褒美を準備しておく
・お気に入りの香りで掃除をする
・ビフォー・アフターを写真で残す


心理学的に見ると、掃除や片付けは「自分の再起動」でもあります。物を捨てると、脳に「リセット完了」という信号が送られ、すがすがしい気持ちで新しい年を迎えられるのです。

大掃除でモノを手放す時、「ありがとう」と声をかけて処分してみてください。人は「モノ」に感情を投影しやすいため、丁寧に手放すほど、気持ちに区切りが付けやすくなり、自己肯定感が向上して、心の豊かさにつながります。


◆    ◆


掃除を「義務」ではなく「季節の行事」に変えていくと、住まいも心も整っていきます。大掃除とは、家の呼吸を促し、私たちの心を軽くする「心理的クリーニング」なんです。ぜひ、11月から慌てずに始めてみてくださいね!

 

[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net


↓広告をクリックするとワークショップの申し込みに移動します




これまでの記事は、こちらから。


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2079号 2025年11月07日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2782

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る