歴史・伝統文化息づく|沖縄観光テーマパーク琉球村(恩納村)|絵になる風景⑮|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

地域情報(街・人・文化)

2023年12月15日更新

歴史・伝統文化息づく|沖縄観光テーマパーク琉球村(恩納村)|絵になる風景⑮

「風土に根差した建築」を目指して設計活動を続ける山城東雄さんが、建築家の目で切り取った風景を絵と文章でつづります。(画・文・俳句/山城東雄)

「琉球村」(P50号)

琉球村は1982年10月にオープンし、今日まで多くの観光客が訪れており、中部観光では欠かせない観光の「メッカ」、テーマパークになっている。

国際サンゴの創業者・上地栄の子息三兄弟の大変な努力でこの琉球村が誕生している。

長男の長栄はかねてより、沖縄には素晴らしい琉球王朝文化(紅型、漆器、伝統舞踊など)があることに気づいており、琉球文化と歴史に付加価値を付け、観光資源として具体化するという事業構想を打ち立てた。その基本が、各地に点在する伝統的家屋の買い取り移築。「これらの旧家を一堂に集めて展示し、琉球王朝時代の民衆の息吹や文化をよみがえらせることが沖縄の歴史観光の素材になりうる」と長栄は確信し、テーマパーク・琉球村を誕生させた。

遠くは石垣島など、南部や北部にある有力な家屋を手に入れ、移築も決して容易ではなかったが、兄弟の力で乗り切り、現在では旧国場家(国場組の創業者・国場幸太郎の実家)をはじめ、家屋や高倉、フールなど、ほとんどが明治・大正期に建てられたものを買い取り移築している。さらに付加価値を高めたのが、これらのうちの七つが国指定登録有形文化財に指定されたこと。箔(はく)がつき、より魅力を増すことにつながっている。

木造家屋は人が住まなくなると朽ちるのが早くなるが、この琉球村では内部で機織りをするなど活用していることで健全に保たれている。いつまでもこの有形文化財を大事に継承してほしいものである。私はそれらに魅せられて描いてみた。


先人の手技芳し石蕗(つわ)の里



[執筆者]
やましろ・あずまお/1944年、竹富町小浜島出身。沖縄工業高校建築科卒業後、建築設計会社での勤務を経て、34歳の時に東設計工房を設立して独立。一級建築士。JIA登録建築家。(株)東設計工房代表取締役。(一社)おきなわ離島応援団代表理事。著書に「沖縄の瓦はなぜ赤いのか」がある。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1980号・2023年12月15日紙面から掲載

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2420

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る