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2023年5月12日更新
花数多く貴重な蜜源|マメ科「シロツメクサ」「シナガワハギ」|身近で見られる帰化植物②
文・写真/比嘉正一
県内で見られる帰化植物を紹介。「外来植物」ともいわれ悪いイメージもありますが、生態系を語る上で無視できない存在です。この連載では県内に侵入した背景、特徴、勢力拡大の秘密などを、県民の森の所長、比嘉正一さんが解説します。
花数多く貴重な蜜源
マメ科「シロツメクサ」「シナガワハギ」
シロツメクサ(ヨーロッパ原産)
茎が長くてやわらかいシロツメクサは、花冠をつくるのにぴったり
(上)シナガワハギの花のアップ。小さくて黄色の蝶形花を多数つける (下)群生花
「詰め草」が拡大
「クローバー」の名で親しまれている多年草のシロツメクサはヨーロッパ原産です。飼料用として広く世界中で栽培されています。
日本には、江戸時代にオランダ船がガラス容器の破損防止のために枯れ草を詰めてきた中に混入していたようです。そのため「ツメクサ」という名前がつきました。その後、飼料用として導入され野生化し、全国で普通に見られるようになりました。
沖縄にも当初、飼料用としての導入でしたが道路工事の緑化に使う「吹付種子」の中に混入していたほか、九州で生産された芝生の中に種が入っていたため、広がったものと考えられています。
県内では近年、養蜂が盛んになり、シロツメクサは蜜源として重宝されるようになってきました。また、花冠作りにもよく使われています。
シロチョウ科のミナミキチョウやモンキチョウの食草です。
シナガワハギ(アジア原産)
今の時季に黄色の花
シナガワハギはアジア原産です。1年~2年生の草本で、春から夏にかけて小さな黄色の花を咲かせます。江戸時代末期に東京の品川付近で見られたということでその名が付いたとされています。明治ごろに沿岸部を中心に帰化しました。
県内では道端、空き地、畑周辺で普通に見ることができます、花数が多いことから蜜源としての活用が期待されます。こちらも、モンキチョウの食草です。
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5月〜6月の公園情報
◆樹木自然観察会
5月20日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/県民の森総合案内棟前
料金/1000円
定員/10人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
公園は沖縄本島中央に位置し、自然が多く残されている。樹木を観察し、自然知識を得て両得の観察会。
電話=098・967・8092
【中城公園】
◆帰化植物観察会
6月3日(土)午前9時30分~同11時
場所/中城公園
料金/1000円
定員/15人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
中城公園内には多種多様の帰化植物が生育している。今回はキク科を中心に観察と解説を行う。
電話=098・935・2666
【平和創造の森公園】
◆帰化植物観察会
6月10日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/平和創造の森管理事務所
料金/1000円
定員/15人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
平和創造の森公園には多種多様の帰化植物が生育している。今回はキク科を中心に観察と解説を行う。
電話=098・852・4033
【名護城公園】
◆帰化植物観察会
6月17日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/名護城公園「がんじゅー広場駐車場」
料金/1000円
定員/15人(大人対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
名護城公園内には多種多様の帰化植物が生育している。今回はキク科植物を中心に観察と解説を行う。電話=0980・52・7434
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執筆者
ひが・まさかず/1956年浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄県県民の森(恩納村)の所長、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1949号・2023年5月12日紙面から掲載