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2025年10月24日更新

[お住まい拝見]イメージはジブリ映画に出てくるあの家 深み増す無垢材、豊かに暮らす2階建ての木造|(株)木の家 Green House

[子どもが集うダイニング]
Mさん(42)宅の中心は、キッチン。4人の子どもたち(6歳~中1)は、シンクと一続きのダイニングテーブルで宿題をし、おしゃべりをするのが日課だ。ダイニングキッチンには、いつも家族の声が響く。


玄関から室内へ入ると正面に広がるダイニングキッチンは、壁がなく開放的な空間だ。隣にあるテラスやリビングの吹き抜けから、光が差し込む

家族と育つ木の家
Mさん宅
 木造/家族6人 


住宅外観。2メートル以上の傾斜があったため、土地を造成して住宅を建てた

うろこ瓦の三角屋根が印象的なMさん宅。夫人が大好きな「魔女の宅急便」に出てくるコキリ(キキの母)の家をイメージした。

緑豊かなアプローチを抜けて、玄関へ。玄関から室内に入ると、すぐにダイニングキッチンが広がる。シンクとコンロが分かれた2型のキッチンは壁も仕切りもなく、収納もオープン。テラスや吹き抜けのリビングへ、視線が抜ける。「シンクやコンロを毎日ぴかぴかに磨くのが日課なんです」と笑う夫人。お気に入りは、窓越しにテラスが見えるダイニングの一席だ。庭で育てたミントを摘み、お気に入りのポットでハーブティーを入れる。そんな豊かな暮らしが、この家には息づいている。


緑豊かなアプローチ。石張りの壁と木の玄関扉が、絵本の家のようなかわいらしい雰囲気


広々とした玄関。ガラスの照明と木でできた壁が印象的だ

木と緑に包まれて


吹き抜けがあり天井高5.4メートルのリビング。床は無垢の杉で、足触りが良い

家造りを考え始めたのは、8年前。当時、1歳、3歳、5歳の子どもと5人で暮らしていたマンションが、手狭に感じられたことがきっかけだった。「木の温もりを感じる家に住みたい」と、いくつも見学会を回った中で出合った建築会社に心引かれた。「自由度が高く、理想の家が作れそう」と感じて依頼を決め、土地探しから相談を重ねた。学校や公園に近い土地を見つけて即決した。

4人目の出産を挟み、じっくり取り組んだ住まいが完成したのは、4年前。2階建ての住まいは、1階にLDKと寝室、2階に子ども部屋がある。床や天井、壁、キッチン、洗面台など、至る所に木を使った温かみのある空間だ。

子どもたちは広々とした子ども部屋でドッジボールや卓球を楽しみ、近くの公園でも思い切り駆け回る。「音を気にせず、子どもが伸び伸び遊べるようになって気持ちにゆとりができました」と夫人。

ことし8月、子どもの成長に合わせて、リフォームをした。一部屋だった子ども部屋を二部屋に分け、夫人がアロマのアトリエを開けるよう玄関を広くした。「植物に囲まれた空間で魔法薬を作る、コキリさんのようになりたいんです」と夫人。そのイメージ通り、家を建てたときに植えた木々は大きくなり、観葉植物も増えた。無垢の木でできた床や家具は、味わいを増している。家族と共に育つ住まいに、心地良い時間が流れている。

 
ここがポイント
大らかに子どもを見守る


キッチンとテーブルは、同じメーカーの無垢の木を使ったものでインテリアになじむ。夫人の作ったドライフラワーや、育てている観葉植物が空間を彩る

Mさん宅を設計した木の家Green Houseでは家造りの際に、「暮らしインタビュー」と家庭訪問を行う。家族一人一人の1日の過ごし方を丁寧に聞き取り、実際に家を見て、設計に反映していく。設計をした座間味修さんは「どこに困っているのか、どんな暮らしがしたいのか。具体的に話を聞くことで、見えてくるものがあります」と話す。Mさん宅では、「子どもを伸び伸び育てたい」という思いが特に印象的だったという。

その思いを形にするため、キッチンをダイニングテーブルとつなげて、料理をしながら夫人が子どもたちを見守れるように設計。さらに、テラスを設けてコの字型に囲むようにキッチンやリビングを配置し、子どもたちが外と中を自由に走り回れる動線を作った。リビングの裏には造り付けの机と本棚を備えた書斎スペースを設け、子どもが家族の気配を感じながら宿題や勉強ができる空間としている。


リビング裏の書斎は、子どもも大人も使う作業スペース。たくさんの本が並んでいて、家族は「図書室」と呼んでいる

子どもの居場所がたくさんあるMさん宅。ゆるやかに空間がつながっているため、大人は家事や仕事をしながら、大らかに子どもを見守ることができる。

また、座間味さんが家造りで大事にしているのが、「遊び心」だという。2階の子ども部屋に、はしごとうんていを造り付けた。「帰るのが楽しみになる家にしたいんです。Mさん宅の子どもたちが、旅行から帰って『やっぱり家が一番だね~』と言ってくれたと聞いて、本当にうれしかったですね」と話す。

構造は、同社が採用するプレウォール工法を使用。「高耐震パネル工法で台風や地震に強く、省エネ性が高いためエアコンの効きがいい」と説明する。


子ども室には、うんていがある(写真中央)。2部屋を仕切るドアを開けると、一つの空間として使える


木製で温かみのある洗面台。モザイクタイル(鏡の下)がアクセントになっている


[DATA]
家族構成:6人
敷地面積:241.67平方メートル(約73.11坪)
建ぺい率:60%(許容51.29%)
1階床面積:112.62平方メートル(約34.07坪)
2階床面積:52.99平方メートル(約16.03坪)
容 積 率 :150%(許容68.53%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域
躯体構造:木造(プレウォール工法)
設  計:(株)木の家 Green House 座間味修
施  工:(株)新洋
大  工:House Toki
電  気:トーマ電工
設  備:(株)ウッドワン

問い合わせ
(株)木の家 Green House
電話=098(975)9710
https://kinoie-greenhouse.com/

撮影/比嘉秀明 文/栄野川里奈子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2077号・2025年10月24日紙面から掲載

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