お住まい拝見
2025年11月28日更新
[お住まい拝見]理想は生活感のない「ホテルライクな家」 モノトーンの室内に暮らしやすさもプラス 沖縄の木造2階建て|琉球ストーク(株)
[こだわり随所にちりばめ]
Aさん夫婦は、ホテルのように高級感や清潔感があり、生活感を感じさせない「ホテルライクな家」を望んでいた。こだわりを詰め込み完成させた住宅は、見た目だけではなく、動線計画も配慮された暮らしやすさも兼ね備えたものとなった。

広がるホテルライク
暮らしやすさも追求
Aさん宅
木造/家族5人

東から見た外構。パースを使用し、外観と外構のバランスを見ながら計画した。タイル張りの門柱の高さは現場に足を運び、高さをシミュレーションして、実際の見え方を調整した
グレーと木目調の外観は、温かみと上質さを兼ね備えた洗練された印象を受ける。アプローチの浮き階段を上り玄関扉を開けると、白を基調とした玄関ホールが出迎える。靴箱さえ見えず、生活感を全く感じさせない。

玄関ホール 床も壁も白の玄関ホール。正面の棚は「光で壁の凹凸の影が楽しめるようガラスにした」とAさん
玄関を抜け右手に進むと、大きな窓があるLDKへとつながる。壁紙から家具、家電までもがモノトーンで統一され、整然とした空間が広がっている。

リビング 壁掛けテレビの背面にはニッチ(くぼみ)と配線口があるので、テレビが壁から飛び出さず、配線が表から見えない仕掛け。間接照明がより「ホテルらしさ」を演出している
妥協なしの家づくり
「ホテルライクな木造住宅」が希望だったAさん夫婦は、SNSで情報を集め、理想の家づくりのイメージを膨らませていたが、工務店選びには苦労した。担当者が何度も変わることや、予算内での実現が難しいと告げられることもあったが、「一生に一度のマイホームだからこそ、妥協はしたくなかった」と夫婦は振り返る。約1年後、新聞で見つけた完成見学会を訪れたことが転機となった。「初めて会った時から、真剣に私たちの話を聞いてもらい、その人柄にひかれました」
仕事をしながらの家づくりはハードだったが、打ち合わせの時間は4~5時間になるほど熱心に取り組んだ。SNSで気になった情報はすぐに実現が可能かを相談。「信頼関係を築けたからこそ、お互いに遠慮せず意見を言い合う事もでき、とても楽しい時間でした」。こうして完成した住宅の内装には壁紙を20種類以上使用し、間接照明や壁掛けテレビ、玄関のタイル張りなど、こだわりが盛りだくさん。「やりたい事をかなえてもらって、とても満足しています」と夫婦は顔をほころばせた。

リビング 間接照明や壁掛けテレビ

リビングの一角に設けた畳スペース。子どものお昼寝はもちろん、大人ものんびりできるくつろぎ空間

2階はAさんと子どもたちの部屋とファミリークローゼットがあり、プライベートフロアになっている
ここがポイント
来客と家族の動線を分ける
「初めてお会いした時から、Aさん夫婦は『ホテルライクな家』という明確な軸を持っていた。その希望を実現するため生活感を抑え、物が散らからない空間づくりを考えた」と設計を担当した川口幸治さん・久美子さんは話す。
家の中を常にスッキリ見せるために工夫したポイントは二つ。一つ目は来客用の動線とは別に玄関から入って右手の北側に家族用の入り口と動線を設けたこと。靴箱など生活感が出るものは家族側の玄関にまとめた。久美子さんが「Aさん家族が家に帰った後の行動を聞き取りながら作成した」動線には上着を掛ける場所や荷物を置く場所が用意されており、片付ける習慣を維持しやすい。洗面やランドリー、浴室も家族用の動線上に配置することで、LDKに汚れや余分なものを持ち込まないように工夫されている。
家の中を常にスッキリ見せるために工夫したポイントは二つ。一つ目は来客用の動線とは別に玄関から入って右手の北側に家族用の入り口と動線を設けたこと。靴箱など生活感が出るものは家族側の玄関にまとめた。久美子さんが「Aさん家族が家に帰った後の行動を聞き取りながら作成した」動線には上着を掛ける場所や荷物を置く場所が用意されており、片付ける習慣を維持しやすい。洗面やランドリー、浴室も家族用の動線上に配置することで、LDKに汚れや余分なものを持ち込まないように工夫されている。

洗面所から玄関方向を見る。写真右手の壁は壁面収納になっているが、天井高いっぱいの引き戸で遠くからだと壁に見える

ランドリールーム 洗濯機や乾燥機がある部屋に室内物干し場やアイロン台、収納棚もあり、この場所だけで洗濯家事が完了する
二つ目のポイントは、使う物を使う場所に収めたこと。例えばトイレの扉の向かいは壁面収納になっている。「奥行きは17センチほどですが、トイレットペーパーをしまうには十分。どこに何を置くかを決める事で、細かいスペースでも有効活用できます」と久美子さんは語る。天井高いっぱいの引き戸にし、レールを隠す事で壁のように見え、雑然とした印象を与えない。キッチンカウンターの前面も収納になっていて、そこには文房具を、テレビを取り付けた壁の裏側の収納には掃除ロボットを置くなど、物があふれないように考えられている。
そのほか南に近接する実家との兼ね合いで、日当たりやプライバシーの確保についても配慮。建物を北側に寄せ、吹き抜けの高窓から採光した。幸治さんは「高窓は何度もパースで光の入り方をシミュレーションし、最適な位置を考えた」と説明した。
[DATA]
家族構成:夫妻、子ども3人
敷地面積:232.99平方メートル(約70.48坪)
1階床面積:84.88平方メートル(約25.67坪)
2階床面積:45.13平方メートル(約13.65坪)
建ぺい率:39.81%(許容60%)
容 積 率 :55.81%(許容200%)
用途地域:特別用途制限地域(集落環境保全地区)
躯体構造:木造在来工法
設 計:琉球ストーク(株)
川口幸治・川口久美子
施 工:琉球ストーク(株)
電 気:(有)新栄電機
水 道:(株)ふくエンジニアG
◆問い合わせ
琉球ストーク(株)
電話=098・863・8643
https://www.mokuzookinawa.com
二つ目のポイントは、使う物を使う場所に収めたこと。例えばトイレの扉の向かいは壁面収納になっている。「奥行きは17センチほどですが、トイレットペーパーをしまうには十分。どこに何を置くかを決める事で、細かいスペースでも有効活用できます」と久美子さんは語る。天井高いっぱいの引き戸にし、レールを隠す事で壁のように見え、雑然とした印象を与えない。キッチンカウンターの前面も収納になっていて、そこには文房具を、テレビを取り付けた壁の裏側の収納には掃除ロボットを置くなど、物があふれないように考えられている。
そのほか南に近接する実家との兼ね合いで、日当たりやプライバシーの確保についても配慮。建物を北側に寄せ、吹き抜けの高窓から採光した。幸治さんは「高窓は何度もパースで光の入り方をシミュレーションし、最適な位置を考えた」と説明した。
[DATA]
家族構成:夫妻、子ども3人
敷地面積:232.99平方メートル(約70.48坪)
1階床面積:84.88平方メートル(約25.67坪)
2階床面積:45.13平方メートル(約13.65坪)
建ぺい率:39.81%(許容60%)
容 積 率 :55.81%(許容200%)
用途地域:特別用途制限地域(集落環境保全地区)
躯体構造:木造在来工法
設 計:琉球ストーク(株)
川口幸治・川口久美子
施 工:琉球ストーク(株)
電 気:(有)新栄電機
水 道:(株)ふくエンジニアG
◆問い合わせ
琉球ストーク(株)
電話=098・863・8643
https://www.mokuzookinawa.com
撮影/高野光(フォトアートたかの) 文/伊波克朗
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2082号・2025年11月28日紙面から掲載
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2082号・2025年11月28日紙面から掲載














