程よく開きリラックス|(有)結設計|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2016年4月15日更新

程よく開きリラックス|(有)結設計

親子2人と愛猫のKさん一家の住まいは、沖縄県本島北部の住宅地に建つ平屋建て。「周囲に気兼ねなく過ごしたい」と工夫した住まいは、伸び伸び過ごせて、集いやすいおおらかさが魅力だ。

コートハウスで開放感

Kさん宅 RC造/自由設計/家族2人


住宅密集地に建つKさん宅。前面道路との高低差を生かしながら建物をセットバックして配置することで、周囲への圧迫感を和らげるとともに、プライバシーも確保
 

自然の素材感心地よく

アプローチの階段を上がり、扉を開け真っ先に目を奪われるのが、訪れた人をオープンに迎える玄関ホール。部屋から張り出すように細長くデザインされた上がり框を挟んで中庭があり、空へと視線が抜ける。

この中庭が家中に穏やかな光と風をもたらすとともに、バスケットに明け暮れる娘の練習スペースとしての役割も担う。靴を脱がずに中庭と行き来できる玄関の造りは、「娘の部活仲間や友人たちが、気兼ねなく過ごせるように」との思いから生まれた形だ。

「自分の部屋からもすぐ中庭に出れるので、いつでも好きな時に練習できるのがうれしい」と長女。

 

裏動線で家事ラク

中庭を囲むようにLDKや個室、廊下が配され回遊できる間取り。どのスペースも中庭に向かって掃きだし窓が取られ、自然光や風が気持ちよく、外とひと続きの広々とした住み心地を感じさせる。

家造りに当たって「自然な風合いを生かしたい」と希望したKさん。床や壁の一部は木肌を生かしたスギ板、壁は差し込む光りの陰影を和らげる漆喰仕上げに。キッチンは、手持ちのカントリー調の食器棚に合わせて、白いタイル張りに造ってもらった。「料理をするのも、眺めていても楽しくなる」そう。

仕事で忙しいKさんを助けてくれるのが、効率的に家事ができる造り。個室とLDKをつなぐ表廊下に平行して、浴室・洗濯室、サービスコートとクロゼット、個室へと一直線につながる裏動線があり「家事がすごくラクなので、リラックスして過ごせる」と言う。

以前のアパート住まいでは、周囲に生活音がもれないか気遣ったり、人を招くことも少なかったが、新居では友人や親戚がよく遊びに来るようになったそう。「限られた予算でしたが、キッチンや玄関、細かい箇所まで建築士や施工者の方が、こちらの『こうしたい』という思いを丁寧に形にしてくれた。私たちの生活にしっくり合う、いい家になったと思う」と笑った。


木のぬくもりあふれるリビング。閉めきっていても「家の中の空気がいつも澄んでいる感じ」とKさん


明るく開放的な玄関。中央の突き出している部分が上がり框。靴を脱がずに、中庭に出入りできる​


家中に快適をもたらす中庭。バスケットリングのほか、庇(ひさし)を設けてあるので日差しの強い日中でも開け放しで過ごせる


素材や使いやすい高さなど最もこだわったキッチン。白いタイル張りにして好きなカントリー調の食器棚=右=と調和させた


リビングと一体的に使える和室。親戚が来た際のゲストルームとしても重宝する


他の部屋の木の風合いと調和させた浴室。「ゆっくり湯船につかりたい」という長女の希望により、バスタブを設置した


物干しとクロゼット一体に。
個室と浴室をつなぐ廊下には、サービスコートとクロゼットをひと続きにして配置=右。洗濯物を洗って干す、しまう、身支度もスムーズ


 

ここがポイント
窓の配置を入念に検討


敷地の南西側にある前面道路より約1.5メートル高いKさん宅の敷地。北東側、東南側には隣家が建ち、今は空き地である北西側にもいずれ住宅が建つことが予測できる環境だった。

設計を手掛けた結設計の建築士は、道路からセットバックして建物を配置。3台分の駐車場を確保したほか、建物の一部を張り出して居室面積を確保しつつアプローチの階段下には収納を設け、スペースを有効活用した。

将来3方を建物に囲まれることが予測できることから、「プライバシーを確保しつつ、採光や通風をいかに促すかがポイントになった」と設計者。そこで、中央に中庭を設けるコートハウスを提案。中庭の周りにLDK、廊下、個室を並べ、どこに居ても互いの気配を感じられるようにした。

さらに、廊下を挟んで裏動線、サービスコートを設けることで、家事をしやすく、奥の部屋まで光と風が行き渡るよう工夫した。

常に窓を開けておけるようにするため、隣家と視線が合わない位置を細かく検討して開口部を配置。周囲からの視線を緩やかに避けつつ、開放的に過ごせる空間を実現した。


[DATA]
家族構成 :親子2人、愛猫
敷地面積 :198.35平方メートル(約60坪)
1階床面積:112.19平方メートル(約33.9坪)
建ぺい率 :56.56%(許容60%)
容 積 率:56.56%(許容200%)
用途地域 :第一種中高層住居専用地域
躯体構造 :壁式鉄筋コンクリート構造
設 計 :(有)結設計
野口早苗、又吉光男
施 工 :(有)名嘉工務店 比嘉伸次
電気・水道:創電水プラン 岸本貞春

[設計・問い合わせ先]
(有)結設計
0980-52-0700
http://www.yui0700.com/
写真/比嘉秀明撮影
編集/岸本貴子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1580号・2016年4月15日紙面から掲載
 

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2128

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る