お住まい拝見
2025年4月11日更新
[お住まい拝見]趣味も好みも全部盛り|木の家GreenHouse
[釣りざお伸ばせる5.4メートルの吹き抜け]
Nさんの要望は「釣りざおを伸ばして乾かせる吹き抜け空間」。夫人は「れんがアーチのパントリー」、子どもたちは「大画面でゲーム」などを希望。家族の趣味や好みを“全部盛り”した住まいを訪ねた。

内外にビンテージ感
Nさん宅
木造/自由設計/家族5人
外観は、濃いネイビーと味わい深いアンティークウッドのコントラストが目を引く。その周りではアガベやサボテンなどの多肉植物が葉を広げ、スタイリッシュな印象だ。
室内は無垢(むく)の木がふんだんに用いられ、随所の黒いアイアンやれんがが、ビンテージ感をプラス。外も中もNさんのセンスとこだわりを感じさせる。
「木造にこだわったわけではないんです。親から譲り受けた土地に家を建てようと、初めて完成見学会で見た家がネイビーの外観で、すごく好みだった。その後もあちこちの見学会に行ったけど、やっぱり最初の家がいいねって。その建築会社にお願いしました」とNさん。

夫人の憧れだった「ウッドワン」のキッチンは、作業スペースが広く、収納もたっぷり。パントリー(左側)のれんがアーチも「家で一番のお気に入りポイントかも」と笑う
皆で立てるキッチン
LDKはウッドデッキまで一続きになり、バーベキューなどを楽しむ。
さらにリビングは5メートル40センチの吹き抜けで開放的。Nさんの「室内で釣りざおを伸ばして乾かしたい」という希望から、一般的な磯ざおの長さである5メートル30センチ+10センチの高さ。天井まで一面板張りの壁に釣りざおを立て掛けている。
その壁には100インチのスクリーンを設置し、子どもたちの「大画面でゲームをしたい」という希望もかなえた。スピーカーなどのオーディオ機器は壁や天井などに設置され、配線が見えずスッキリしている。
キッチンには夫人の希望が詰まっている。憧れのメーカーのアイランドキッチンは「家族や友人たちも一緒に立てる広さがうれしい」。その横にあるパントリーは、夫人の強い要望から出入り口をれんがアーチにした。「見せる収納は苦手。隠せる収納にしながら、見た目もオシャレにしたかった」
家族のやりたいことや、好みをたっぷり盛り込んだ住まいは、いつもにぎやかだ。

LDKに面したウッドデッキテラス。庭にはNさんの趣味の盆栽や多肉植物が葉を広げる

リビングの天井高は、釣りざおを伸ばして乾かせる5メートル40センチ。1面板張りの壁が空間のアクセントになっている

リビングには100インチのスクリーンを設置し、大画面でゲームや映画を楽しんでいる。音響機器などは壁や天井付けにし、見た目もスッキリ
ここがポイント
床面積は厳選し
「抜け」で開放感
Nさんが譲り受けた土地は畑(農地)で、住宅を建てるためには転用の手続きが必要だった。さらに一部が道路拡張の予定地になっていた。「拡張工事はまだまだ先の予定で、待てば待つほど子どもたちとマイホームで過ごす時間が少なくなる。なので、管轄行政庁の資料から、敷地のどこまで拡張に引っかかるのかを確認して敷地計画を立て、建築の許可を得た」とNさん宅を手掛けた、木の家グリーンハウスの座間味修代表は話す。

ネイビーとビンテージウッドのおしゃれな外観
間取りに関しては「当初、Nさんは『家族5人で住むなら40坪くらいは必要かな』とおっしゃっていた。しかし、希望の空間や必要な家具・物を細かく図面に落とし込んでいくと、約33坪で事足りた。床面積を厳選することが、建築費を抑える最大のポイント」と説明する。設計の打ち合わせでは希望の空間や間取り、持っていく物の聞き取りをするだけでなく「前の住まいを訪問して、新居に持っていく物の実寸や量を確認させてもらい、その家族に必要な面積を割り出している」。
「実面積を絞っても、広く感じさせる手法はいろいろある。Nさん宅は玄関とリビングの吹き抜けや、LDKに大きめの窓を設けてウッドデッキとつなぎ、開放感を演出した」と座間味代表は説明する。
同社が手掛ける木造住宅は「柱・梁(はり)・床・壁が一体となって建物を支える『プレウォール工法』を採用しているため、木造でも間取りの制限が少なく、大開口や吹き抜けを設けることができる」。Nさん宅も「オープンな空間をかなえつつ、耐震等級3、耐風等級2の基準を満たしている」と話した。

「ロフトベッドを置きたい」という子ども達の要望をかなえた子ども室。巣立った後のことを考え、あえて仕切らず大きな一部屋にしている

洗面室と脱衣室をつなぐ洗濯室。ここに3人の子どもたちのクローゼットがある。長女は「帰ってきたら洗面室で手を洗って、ここに荷物を置いてリビングに入る」と話す

玄関ホールも吹き抜けになっていて、「2階にいても人の出入りが分かる」とNさん

玄関のそばにある収納はNさんの趣味部屋。釣り具などを置いている
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:334.58平方メートル(約101.2坪)
1階床面積:65.41平方メートル(約19.79坪)
2階床面積:43.06平方メートル(約13.02坪)
建ぺい率:22.28%(許容60%)
容積率:33.42%(許容200%)
用途地域:第二種中高層住宅
躯体構造:木造プレウォール工法
設計:(株)木の家GreenHouse 座間味修
施工:(株)新洋 副島圭貴
大工:House Toki 中村東浩
キッチン:(株)ウッドワン 松山雄一
◆問い合わせ
木の家GreenHouse
電話=098・975・9710
https://kinoie-greenhouse.com
撮影/比嘉秀明 文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2049号・2025年4月11日紙面から掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。