木のぬくもりに包まれ|(株)東設計工房[お住まい拝見]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2024年6月21日更新

木のぬくもりに包まれ|(株)東設計工房[お住まい拝見]

[傾斜地に建つ混構造住宅]
家を建てるなら「海が見え、自然を感じられる土地を」と考えていた40代のTさん。傾斜地に建てた混構造の住宅は、木のぬくもりあふれる開放的な空間だ。

リビング裏の読書スペースは、家族みんながよく使う場所。「家族の気配を感じつつ、個室のようなこもっている感覚もあって、居心地がいい」と夫人


DIYで楽しく完成

Tさん宅
 混構造/自由設計/家族3人 

赤瓦の勾配屋根が、周囲の緑に映えるTさん宅。アウトドア好きの夫妻が2年掛かりで探した土地は、遠くに海を望む傾斜地。「高低差が面白い。個性的な家が建てられると思いました」とTさん。

朝は鳥のさえずり、夜はカエルの鳴き声が聞こえる環境。「小4の息子は、よく虫を捕まえて観察しています。クワガタもとれ、キャンプに行く回数が減りました」と夫人。

コンクリート打ち放しの壁に、木造屋根を組み合わせたLDKは風が抜け、開放的。天井は小屋組をあらわにし、家具や収納も木製でまとめ、木のぬくもりを感じる空間になっている。内装業に携わるTさんの趣味は、DIY。「本棚や飾り棚など、必要な場所に、必要なサイズの収納を一つずつ作ってもらっています」と夫人。

LDKと、隣接する子ども室からフラットに続くウッドデッキも、Tさんの手作り。庭に面したデッキテラスからは海も見え、バーベキューはもちろん、DIYの作業場としても活躍している。Tさんは「今は、LDKにアクアリウム水槽と水槽棚を設計中。この家で暮らしてから、趣味が増え、DIYのスキルも上がってきた」と笑う。



キッチンから、LD、デッキテラスを見る。庭の緑が間近に感じられ、小屋裏に設けた高窓、掃き出し窓から風と光を取り込み、開放的
 

一部をパーゴラにした深いひさしのあるデッキテラス。庭の緑越しに海も見える

 

赤瓦屋根に一目ぼれ


同じうるま市内の一戸建て賃貸住宅で暮らしていたが、長男が成長し手狭に。理想の土地を探し、家づくりを検討していた。そんな時、散歩途中で見かけた赤瓦の木造屋根が印象的な平屋にTさんが一目ぼれ。「木とコンクリートが融合したデザインがいい」と、その家を手掛けた建築士事務所に設計を依頼した。

「前の家はトタン屋根ですごく暑かったので、風通しのいい家にしたかった」と夫人。施工では、建設業を営む夫人の父に協力を仰いだ。苦労したのは、地形を生かした庭づくり。「大変だったけど、妥協しなくてよかった。期待以上の家になりました」。

寝室の下には、DIYと庭づくりの道具や資材を置く倉庫も設けた。夫人は、「室内も庭も自分たちで手を加え、完成させていけるのが楽しみ」と話した。
 

東側からの外観。建物中央の三角屋根が、木造小屋組。高低差を生かして、石積みの階段と植栽が美しい庭を造園。手前右手の広場が駐車場



ここがポイント
高低差生かし緑間近に

敷地は東西に長く、北と南の2面は道路に接している。東西で約2・5メートルの高低差があり、東の遠方に金武・中城湾が見える。設計を手掛けた山城東雄さんは、「西高東低で風が抜ける良い土地。高低差を生かして造成に費用をかけず、周辺の緑と海を楽しめる間取りを計画した」と話す。

海を望む東西の軸線の中央にLDKを配置、寝室からも海を眺められるようにした。「玄関は北側の道路レベルに合わせてすり付けたほか、キッチンとのつながりを考え、洗濯室、物干し場は住宅裏手(北側)にまとめている。敷地の高低差を生かしながら、内外共に自然が間近な生活を楽しめる空間を演出した」。
 

玄関。壁で仕切った奥は、アウトドアグッズも収められたシューズクロークで、家族用の玄関も兼ねる。廊下の壁面収納(本棚)は、DIYで仕上げた。突き当たりの部屋は寝室
 

敷地の高低差を利用して、寝室の地階に倉庫を設けた。脇の階段を上った先に玄関がある


1階は、東の端に設けた駐車場より約2・3メートル高い。敷地の高低差を生かし、寝室下に倉庫を配置=左上写真。デッキテラスの正面は、なだらかな傾斜を活用して庭づくり。植物を植え、石積みの階段を設けた。デッキテラスのひさしは奥行き3・6メートル。「庭側約1・2メートルを格子状にし、植物をはわすことのできるパーゴラに仕立てた。家のどこからでも緑が楽しめる」

室内は、玄関からLDKを通って子ども室へ向かう間取り。キッチン背後にはパントリーを設け、その北側に水回りをコンパクトにまとめた動線で、スムーズな家事と見守りをサポートする。収納はTさんが手作りする前提で造作を最低限にし、コストダウンを図った。
 

海を望む東側に設けられた寝室。掃き出し窓の外にはテラスがある
 

リビング南側に隣接する子ども室。掃き出し窓からデッキテラスへ出入りできる
 

キッチン北側にまとめた水回り。洗面所の奥に洗濯・脱衣室、浴室があり、手前の引き戸の先には、半戸外の物干し場



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:431.621平方メートル(約130.57坪)
1階床面積:115.227平方メートル(約34.85坪)
地階床面積:15.2平方メートル(約4.60坪)
建ぺい率:29.61%(許容70%)
容 積 率:30.21%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
     木造小屋組
設  計:(株)東設計工房、山城東雄、久高多美子(元職員)
構  造:(株)東設計工房 具志翼
施  工:(有)マル井建設
電  気:(有)丸市電機工事社
水  道:(株)明正電設

問い合わせ
(株)東設計工房
電話=098-917-5000
https://azumas.com/


撮影/泉公・ララフィルム 文/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2007号・2024年06月21日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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