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2022年9月16日更新

[沖縄]つないで広々家族が身近に|中古購入して改修・全面改修・築29年・RC造

[こだわリノベ]14年前に購入した2階建て、完全分離型の2世帯住宅。住居として使う1階を、確認申請が不要な10平方メートル以下で増築し、リノベーションした徳里さん。細かく区分けされていた空間を、視線の抜けを重視してつなぐことで、狭さを感じず、いつでも家族が身近に感じられる空間になった。

1階のLDK。リビング部分は以前和室で、壁とふすまを隔てた奥に、ダイニングキッチンがあった。ダイニングとの間の壁は取り払い、逆に続き間の和室を壁で仕切って子ども室を設けた
1階のLDK。リビング部分は以前和室で、壁とふすまを隔てた奥に、ダイニングキッチンがあった。ダイニングとの間の壁は取り払い、逆に続き間の和室を壁で仕切って子ども室を設けた
             
リノベーション前




 改修前のお悩み 
「娘2人が成長して手狭に。細かく仕切られ、圧迫感がある」

以前は木壁で仕切られ圧迫感があり、窓からの陽光も届きづらかった。壁を取り払ってLDKにし、壁付けだったキッチンは対面式に。明るく開放的で、より家族を感じられる空間になった
以前は木壁で仕切られ圧迫感があり、窓からの陽光も届きづらかった。壁を取り払ってLDKにし、壁付けだったキッチンは対面式に。明るく開放的で、より家族を感じられる空間になった
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リノベーション前


        
和室を、子ども部屋に変更。姉妹で共用する、個室になったことで、「自分の部屋という感じが増して、集中しやすくなった」と長女
和室を、子ども部屋に変更。姉妹で共用する、個室になったことで、「自分の部屋という感じが増して、集中しやすくなった」と長女
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リノベーション前






21坪でも快適

玄関に入って目を引くのは、丸型の愛らしい手洗い。感染症予防を意識し、「帰宅後すぐに手が洗えるように」と考えた。照明やスイッチを厳選し、デザイン的にみせている。

白壁にタモ材で造作した棚を組み合わせたLDKは、明るく温かみがあり、垂れ壁のアーチが柔らかさをプラス。リビングと子ども室を仕切る壁には木製窓がはめこまれ、空間に広がりをもたらすと同時に、子どもたちにも目が届く造りになっている。

リノベーションで重視したのは「家族がいつも近くに感じられる」こと。垂れ壁のアーチ、白で統一したキッチンは、夫人の憧れ。LDKから庭まで見渡せ、爽快だ。「好きなものに囲まれ、小さいからこそ、家族がそばにいる安心感を感じられる家になりました」と徳里さんは喜ぶ。


家族の楽しみ増え

築29年、うるま市内にある建物は、1階18坪、2階15坪の完全分離型の2世帯住宅。2階部分の賃貸、将来の増築や売買などを考えながら、14年前に中古住宅を購入。2階は賃貸に出し、家族4人、1階で暮らしていた。

子どもたちが成長し、手狭になったことからリノベを選択。室内だけでなく、庭にも手を加えたことで、「植物を手入れしたり、バーベキューをしたり、家族の楽しみが増えました」と笑顔をみせた。



 中古購入後14年でリノベした理由 

子どもたちが大きくなり、手狭になったことが一番の理由。部屋同士が壁で仕切られ圧迫感があり、部屋としても使い勝手があまり良くないと感じながら過ごしていました。

ちょうど賃貸に出している2階が空き、工事中に住む場所を、費用をかけずに確保できたのも、リノベに踏み切るタイミングになりました。




リノベーション前

            
玄関からの出入り口は、垂れ壁をアーチにして柔らかな雰囲気に。掃き出し窓があった奥の部分に、寝室(下写真)を増築した
玄関からの出入り口は、垂れ壁をアーチにして柔らかな雰囲気に。掃き出し窓があった奥の部分に、寝室を増築した

白とネイビーが基調の寝室は、落ち着いた雰囲気。コンパクトですっきり
白とネイビーが基調の寝室は、落ち着いた雰囲気。コンパクトですっきり



 徳里さん宅 リノベのカギ 

増築しても21坪。視線の通りと空間のつながりを重視することで、狭さを感じさせない空間に仕上げました。


視線抜けつながる

今回リノベーションしたのは築29年の鉄筋コンクリート造。設計を手掛けた徳里政俊さんの自邸だ。リノベ前の1階床面積は18坪。「増築して広くしたい」と考えていたが、それには建築確認申請が必要。「しかし30年前はまだまだ新築時に完了検査を受けていない建物が多く、この家も例外ではなかった。現在では既存不適格建物となるため、増築の確認申請を受けるにはとてもハードルが高かった」。そこで、「申請が不要となる10平方メートル以下で、主寝室のみを増築することにしました」と徳里さん。増築しても21坪。家族4人で暮らすには、「いかに狭さを感じさせないか」が課題となった。

徳里さんが重視したのは、視線の抜けと視覚的な空間のつながりだ。まず一つは、リビングと子ども室を仕切る壁。内窓を設けることで視線と光が通り、奥行きが生まれるだけでなく、家族の様子もわかる仕掛けになっている。

LDKの掃き出し窓の外にある庭も、狭さを感じさせない仕掛けとして活用する。網状で視線が抜けていた手すりに杉板を張り、隣家との境を明確化。窓の外に視線が止まる場所を作ることで、室内から庭までが一体になり、空間に広がりが生まれた。

リビングと子ども室は天井を高くしてメリハリ。造作家具は取っ手をつけず、額縁は2~4センチ、幅木は3センチと細くするなどの工夫で、スッキリとした印象に仕上げている。


リノベーション前

               

玄関の靴箱の脇には、コンパクトな手洗いを設置。主張し過ぎず、空間になじむよう丸みを帯びた洗面ボウルと木を組み合わせてシンプルに

玄関の靴箱の脇には、コンパクトな手洗いを設置。主張し過ぎず、空間になじむよう丸みを帯びた洗面ボウルと木を組み合わせてシンプルに

日当たりが悪く作物が育たなかった畑や、芝生部分を土間に。バーベキューなどで活用度が増した
日当たりが悪く作物が育たなかった畑や、芝生部分を土間に。バーベキューなどで活用度が増した
 

洗面室は拡張。ブルーのタイルをアクセントに、木を使って温かな雰囲気に仕上げた。勝手口から、物干し場として活用するウッドデッキに出入りできる

洗面室は拡張。ブルーのタイルをアクセントに、木を使って温かな雰囲気に仕上げた。勝手口から、物干し場として活用するウッドデッキに出入りできる



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:29年
1階床面積:69.66平方メートル(約21坪)
工期:4カ月
設計・施工:(株)アーキラボ ラフィット


[問い合わせ先]
(株)アーキラボ ラフィット
電話 098・988・5128
https://al-lafit.co.jp/


撮影/矢嶋健吾 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1915号・2022年9月16日紙面から掲載

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