お住まい拝見+
2022年5月27日更新
[お住まい拝見+]技あり襖で落ち着き+趣
このコーナーでは、「お住まい拝見」で、掲載しきれなかった設計の工夫や施主のこだわり、記者がおもしろいと感じたポイントなどを紹介します。(紙面連載「今月の表紙から 2022年5月」より掲載)
技あり襖で落ち着き+趣
リビングから見た南側の和室=上写真。写真右手に寝室が隣接する。間仕切り用の引き戸は、和室側の片面に漆喰を塗り、壁の一部のように仕上げた。「繊維入りの和紙を使う手もあるが、それだとコストが上がる。そこで、職人さんに依頼し、コテで表情もつけてもらった」と伊良皆さん。コテによる表情づけは、リビングの壁面や、仏壇のある東側の和室=下写真=の床の間やその上部の壁にも採用。落ち着きと趣の演出に一役買う
1899号(1~3面)「ウチナー家を現代風に」
Yさん宅/(株)琉球住樂
大勢の集いに対応する木造古民家の造りを生かしつつ、公私を分けた間取りの工夫や、現代設備を取り入れることで、70代の1人暮らしでも健康的にすごせる住まいとなったYさん宅。そのYさん宅で目を引いたのがLDKに隣接する和室の襖(ふすま)だ=左写真。設計した伊良皆盛栄さんは「そのままだと3面に引き戸があり、1面は本棚になっているため落ち着かない。そこで寝室との間を仕切る襖は表面に1~1・5㍉漆喰(しっくい)を塗った」と説明する。漆喰はさりげなく表情をつけた左官仕上げになっており、「照明が当たると陰影が出ていい雰囲気になる」とも。Yさん宅で落ち着きと趣を演出するカギとなっている。
漆喰や木は調湿効果もあるため、梅雨時などは湿気を吸い、乾燥する冬場などは湿気を放出して、室内を快適に保ってくれる働きも。機能的にもデザイン的にも漆喰の良さを引き出した建築士や職人技が光る住まいとなった。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1899号・2022年5月27日紙面
「今月の表紙から 2022年5月」より掲載