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2022年5月6日更新

[沖縄・お住まい拝見]広々LDKの開放感|ロカルウ

[程よく外とつながる平屋]「家族の集いを楽しみたい」と、LDKの広い平屋を建てた30代のTさん。花ブロックで光と風を取り込みながら、視線を程よく目隠し。「安心できる居場所ができた」とほほ笑む。

天井が高く、開放的なLDK。白を基調に、素朴な風合いの木がアクセント。小上がりになった和室まで仕切りなくつながる。キッチン脇の廊下の奥に寝室と水回りがある
天井が高く、開放的なLDK。白を基調に、素朴な風合いの木がアクセント。小上がりになった和室まで仕切りなくつながる。キッチン脇の廊下の奥に寝室と水回りがある


窓開け放って

Tさん宅
RC造/自由設計/家族4人

花ブロックの外壁が印象的なTさん宅。玄関を入ると、広いLDKが見渡せる。「帰ったらすぐに、家族の顔が見えるようにしたくて。子どもたちに広い部屋を与えるのではなく、集まって会話を楽しみたい。だから、リビングを広くしました」と夫人。

LDKは花ブロックで囲まれたテラスに面し、掃き出し窓を開けると心地よい南風が吹き込む。もともと一年中、窓を開けて過ごすライフスタイル。キッチンは、あえて掃き出し窓の脇に据えた。「コンロがIHなので、窓を開ければ料理中の熱も、ニオイも気にならない。掃き出し窓の上部に取り付けてもらった小さな換気扇で十分」と笑う。

リビング脇には、小上がりの和室を設置。その裏手に設けたロフトのある子ども部屋は、寝るだけに特化させたコンパクトな空間だ。「今は小学生と保育園児の2人ですが、3人目を産む予定。リビングは将来仕切って、子ども部屋にできるようにしてもらっています」と準備も万端だ。
 

和室は、足の悪い両親が腰掛けやすいよう小上がりにした。洗濯物を畳むのにも重宝。前壁をコンクリートで造作したキッチンが、白と木で構成された空間のアクセントに
和室は、足の悪い両親が腰掛けやすいよう小上がりにした。洗濯物を畳むのにも重宝。前壁をコンクリートで造作したキッチンが、白と木で構成された空間のアクセントに
 

掃き出し窓の脇に据えたキッチン。コンロはIHで常に窓を開け換気しているため、コンロ上部に換気扇はナシ。掃き出し窓の上部(写真中央上側)に、小さな換気扇を設置している

掃き出し窓の脇に据えたキッチン。コンロはIHで常に窓を開け換気しているため、コンロ上部に換気扇はナシ。掃き出し窓の上部(写真中央上側)に、小さな換気扇を設置している

家時間を満喫

父親が畑として使っていた、豊見城市内の土地を譲り受けての家づくり。インスタグラムで理想にピッタリのかわいい家を見つけ、手掛けた建築士に即メッセージを送った。「ベニヤ板を使った素朴な風合いの建具や、床の間の造りが好み。優しい建築士さんに出会えてよかった」と夫人。

家の裏手には、父親のために畑を残した。季節ごとに収穫した野菜を届けてくれる。

「子どもたちがリビングで走り回る姿をつまみに、夫婦でくつろぐのが楽しみ。家にいると安心するので、どこにも出掛けなくなりました」。お気に入りのわが家で、家族の集いを満喫する。

 

リビングのテレビは壁掛けに。出窓のように壁を外側に張り出させ、配線もAV機器も壁の内部に埋め込んでスッキリ見せる

リビングのテレビは壁掛けに。出窓のように壁を外側に張り出させ、配線もAV機器も壁の内部に埋め込んでスッキリ見せる


ここがポイント
花ブロックが大活躍

田園地帯にある敷地は南向き。近隣に高い建物はなく、ゆとりを持って隣家が立ち並ぶ立地で、台風時には南からの強風がダイレクトに当たる。窓を開け放って過ごすTさんのライフスタイルを踏まえ、建築士の島袋巧さんが活用したのは花ブロックだ。「普段の緩やかな風は通す一方、強風を遮る特性がある。光と風を取り込み室内の快適さを高めながら、強風対策ができます」と島袋さん。

建物の前面、道路に面した南側に花ブロックを積み重ねた壁を設け、建物をその奥に配置。南に面して大きく開いたリビングと花ブロックの壁の間には、テラスを設けた。「花ブロックが目隠しとなって外部からの視線を緩やかに遮ってくれるので、プライバシーも守れる。テラスは荒天時でも、子どもが退屈せずに遊べる場になります」

見た目はすこし手を加えて、花ブロックの積み方と仕上げも工夫。壁の角の部分は、ブロックの角を45度カットして接合。スッキリとした印象に。目地はすべて左官で埋め、継ぎ目なく一体的に見えるように仕上げた。また、「近隣地域が冠水しやすいことを踏まえ、念のため床高は地面より1メートル上げています」

花ブロックを積んだ壁が印象的な外観。浸水予防で床高を地面より1メートル上げているため、緩やかなスロープから玄関へ向かう
花ブロックを積んだ壁が印象的な外観。浸水予防で床高を地面より1メートル上げているため、緩やかなスロープから玄関へ向かう

花ブロックの壁とリビングの間に設けたテラスは、子どもたちと愛犬の遊び場。
花ブロックの壁とリビングの間に設けたテラスは、子どもたちと愛犬の遊び場。
 

テラス角は、花ブロックの角を45度カットしてつなぎ合わせスッキリとしたデザインに

テラス角は、花ブロックの角を45度カットしてつなぎ合わせスッキリとしたデザインに


室内は、オープンなLDKを起点に空間を構成。リビングは、後々仕切って子ども部屋を造ることを踏まえて広く取り、キッチンは掃き出し窓の脇に設けることで、換気がしやすい環境に。リビング脇に設けた和室は小上がりにして、下部を収納として活用する。

キッチン背後に寝室、和室の裏に子ども部屋と、個室は奥まった場所に据え、プライベートを守る。北西にまとめた水回りは、天窓や高窓を設け、明るさを確保した。
 

和室脇のリビングスペース。将来仕切って子ども部屋にすることを想定して、窓や照明を設けている
和室脇のリビングスペース。将来仕切って子ども部屋にすることを想定して、窓や照明を設けている
 

寝室の扉は、ベニヤ板を組み合わせたヘリンボーン柄。他の部屋とは違う仕様にし、両親の部屋としての特別感を出した

寝室の扉は、ベニヤ板を組み合わせたヘリンボーン柄。他の部屋とは違う仕様にし、両親の部屋としての特別感を出した
 

室内物干場は、天窓から光を取り込む。アイアンの物干しバーは造作。布団がピッタリかけられるサイズも便利

室内物干場は、天窓から光を取り込む。アイアンの物干しバーは造作。布団がピッタリかけられるサイズも便利

 



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:411.76平方メートル(124.6坪)
1階床面積:97.05平方メートル(29.4坪)
建ぺい率:30.51%(許容60%)
容積率:30.25%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:鉄筋コンクリートラーメン構造
設計:ロカルウ 島袋巧
構造:Lifetect 宮里尚志
施工:(有)大和建設  島袋学
電気:喜友名電気 喜友名盛久
水道:(有)ライフ工業 高山佳晃
門扉・スチール造作:
  LITTAI Metal Works
  仲地研二、成田貘森
キッチン:クチーナ沖縄 當銘仁

問い合わせ
 ロカルウ
 電話098・911・0521
 https://localoutkm.com/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1896号・2022年5月6日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

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