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2021年3月19日更新

新築で外人住宅再現|アトリエ海風

[あえて傷付け古さ演出|お住まい拝見]
憧れの外人住宅を再現するため、内装を簡素に、建材にもこだわった竹下一平さん(53)宅。新築だがコンクリートにあえて傷を付け、中古の家具や設備を使って古さも演出する。LDKは趣味の物であふれ、カフェのようにおうちじかんを楽しむ。

竹下邸のLDKは趣味の物であふれる。土足生活しやすい全面土間床、角が欠けた白いペンキ仕上げの壁などで古い外人住宅を再現する。中央の木製ドアの先に爬虫(はちゅう)類を飼うペット室があり、ダイニングテーブルからも中の様子が見えるようになっている


「遊ぶための家」

竹下一平さん宅
 RC造/自由設計/家族2人 

「憧れの古い外人住宅を新築で再現できた」と、夫婦はうれしそうに話す。土間床や白いペンキ塗りの壁、むき出しの配管など内装は簡素。一方、コンクリートが剥がれ落ちたような階段、傷が付いた床など、新築とは思えないほどのダメージ感をつくり込み、古い外人住宅を演出する。

アウトドアやスポーツなど多趣味な夫婦。LDKにはバイクや年季の入った家具など趣味の物であふれる。全面土間床で靴を脱ぐのは和室だけ。「趣味仲間が集まっても靴の脱ぎ履きがないし、掃除も楽」と夫人。竹下さんも「家具にもマッチする」とご満悦。

特に夫婦のお気に入りはダイニング。ガレージと爬虫(はちゅう)類のためのペット室に面し、「食事しながら車、カメやカエルが見えて会話も弾む」と夫婦。扉を開け放てばガレージとダイニングを一体に、広々使える。キッチンは、最近では珍しい孤立したタイプで「においや油汚れが他の部屋に広がりにくく重宝している」と夫人は話す。


キッチンからLDを見る。ダイニングテーブルに座った時に木枠の窓からペット室の中にいるカメやカエルが見えやすいよう、テーブルの高さに合わせて窓を配置。写真左手の窓は細い突き出し窓を並べることで外からの視線が入りにくいようにしている


外観。敷地の高い位置に建てることで前面道路からの視線が気になりにくく、塀を建てる必要がない
 

ガレージの扉を開けばLDと一体に使える。扉は木製にこだわり、鮮やかなコバルトブルーが差し色になっている

ペット室では爬虫(はちゅう)類を飼う。ダイニングに接しながらも壁で囲っているため「においが気にならず温度管理もしやすい」と夫婦
 

2階屋上では「日の出を見ながら朝食を取る」。バーベキューなどがしやすいよう流しとカウンターも設置(施主提供)
 

おうちでカフェ気分

以前はアパート暮らしだったが「趣味を楽しむには物足りなかった」と竹下さん。外人住宅探しもなかなか進まず、夫人の祖母の土地に家を建てることを決意したという。まずは知人から紹介された施工者へ家造りを相談、建築士も加わって3者でプランを詰めた。「趣味を満喫して人生を楽しむ家造りにとことん付き合ってもらえた」と2人は満足そうに話す。

「家は遊ぶためにある」と夫婦。「外で食事するのが少なくなり、家でカフェのように過ごせるのが楽しい」。DIYも竹下さんの趣味の一つで「ガレージも整えたいし、屋上にはジャグジーも置きたい」。どんどん遊びと夢が膨らむ家がそこにあった。
 

玄関から見た階段。階段の角をあえて砕き、古さを演出する。階段下の壁の穴はネコ用トイレの出入り口
 

和室。靴が脱ぎやすいよう、床を40センチ上げた。壁付けの扇風機やちゃぶ台も年季が入っており、昭和の雰囲気が漂う


キッチン。コンクリート流し込みで調理台を造り付け、夫婦が持ち込んだシンクなどを取り付けた。写真右手の食器棚などは竹下さんがDIYで取り付けた

趣味のスポーツ・アウトドア用品を収める収納。竹下さんの書斎にもなっている。左手ドアの先にプライベートスペースがある


浴室。トイレは夫婦が探してきたリサイクル品を取り付けた。トップライトが当たる写真右手の壁は壁面緑化する予定で、下まで日が当たるよう斜めに傾いている


ここがポイント
高低差で塀なし 建材も欧米風

竹下邸の敷地は北東側と北西側に細い道路があり、北側に向けて下がっていた。これらの条件を生かして、アトリエ海風の具志堅聡さんは「敷地に沿って、塀がなく、小高い芝の上に立つ外人住宅をイメージして設計した」と話す。建物は細い道路から後退させる必要もあり、隣地境界に近い敷地南側に寄せて配置。また、敷地の高低差を生かすため、北東側の外壁は土留めも兼ねて基礎を深く打ち込み、造成を極力抑えた。

プライベートスペースはコンパクトに、パブリックスペースと壁で分離して人が集いやすいように配慮。2階に客用トイレを設けた。また、持ち込む家具が決まっていたため、特にペット室の窓の高さは、食事しながらペットが眺められるようにテーブルの高さに合わせた。

竹下夫婦から最初に依頼を受けた施工担当・城心組の金城圭介さんは「建材でもアメリカンテイストを表現した」と話す。古い外人住宅によく見られる小さな角タイルをキッチンや浴室の床に使うほか、窓は小さく、外に押し出して開く突き出し窓を使った。シンクやトイレなどの設備は施主が自ら調達した。「古い物で部品が廃番になっているものもあり、ネジの加工など取り付けを工夫した」

使い古しの型枠を使って仕上がりの壁面に凹凸を残したり、造った物を壊したりと、「新しさを出さない家造りは今までにない経験だった。外人住宅の需要は高く、新築で再現できる事例にもなったと思う」と具志堅さんと金城さんは話した。


 

[DATA]
家族構成:夫婦
敷地面積:208.32平方メートル(63.02坪)
1階床面積:120.44平方メートル(36.43坪)
2階床面積:10.60平方メートル(3.21坪)
建ぺい率:58.82%(許容60%)
容積率:50.32%(許容104.83%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式
設計:(株)アトリエ海風 具志堅聡
施工:(株)城心組 金城圭介
構造:丸中建築事務所
電気:喜如嘉電気
水道:(株)花城工務店
建具:秀内装

問い合わせ
 アトリエ海風
 電話098・995・9185
 http://umikazi.com/


撮影/泉公(ララフィルム) 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1837号・2021年3月19日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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