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お住まい拝見

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2020年12月25日更新

光と風、緑を楽しむ|(株)渡久山設計

[カーテンなしの快適|お住まい拝見]
カーテンいらずの明るい家を希望したWさん。リビングの吹き抜け、外壁に囲まれたテラスから入る光と風が家中に満ち、視線を気にすることなく緑のある暮らしを楽しむ。

大開口とテラスに面し、明るく開放的な1階のLDK。外からの視線を遮る塀から頭をのぞかせる道向かいの樹木に癒やされる。借景も豊か
 

料理と集いを中心に

Wさん宅
 RC造/自由設計/家族3人+猫2匹 

道向かいに公園がある角地に建つWさん宅。天井の木ルーバー越しの光が優しい玄関ホールからリビングに入ると、5・5メートルの吹き抜け、大開口の先に広がるテラスへと視線が抜け、開放感が一気に高まる。「カーテンなしで明るく、外からの視線も気にならないから、すごく快適。猫がいるので、カーテンがあるとお手入れが面倒ですし」と夫人は話す。
 

吹き抜けのある1階リビング。小上がりの和室には、畳下と壁面に収納をたっぷり設けた。2階の木ルーバーからも陽光が届き、風が通る

公園の緑を借景として取り込んだテラスはタイル張りとし、釣りと料理が好きなWさんがマグロやカジキもさばけるよう流し台を設置した。「床も水で流せるから掃除も楽。ライフスタイルが完璧になりました」とほほ笑む。

テラスやLDと対面させながら個室化したキッチンは、カフェの厨(ちゅう)房(ぼう)のような存在感。料理も集いも楽しめるよう工夫した。「ダイニングとの仕切りはガラス窓で開け閉めでき、調理中も家族やお客さまの様子が見えるから孤立感もないですね」と夫人。直接、水回りへ抜けられ、家事動線もスムーズだ。水回りのそばにある「猫蔵」では、愛猫たちがゆったりくつろぐ。


LDに対面させながら、ガラス窓で仕切り個室化したキッチン。パソコン用のカウンターも機能的。木天井に間接照明を仕込み、夜はムーディーな雰囲気を演出する
 

小窓から緑が眺められる「猫蔵」。下段はトイレで、上段がくつろぎスペース。扉には猫専用の出入り口を設けた

2階はプライベート空間。リビングと吹き抜けでつながるファミリールームや寝室、子ども室は天井高を抑え、高窓から木ルーバーを通して光と風がまわる。さらにプライベートバルコニーを設けたことで、「寝室は、いろいろな光が交差して不思議ですが、とても落ち着くし、寝心地がいい。高窓からは朝日が差し込むので、早起きできます」。


吹き抜けとつながる2階のファミリールーム。左奥は子ども室。日が傾き始めると、ベランダの花ブロックや天井の木ルーバーから入る光がキラキラ輝く


豊かな家時間

以前は、中古住宅をリフォームして暮らしていたが、子どもの成長と共に手狭に。建物の老朽化もあって建て替えを決め、仕事で知り合い、信頼のおける建築士に設計を依頼した。「いろいろなアイデアを出してもらって、家づくりがとても楽しかった。建築の仕事っていいなと思いました」

ステイホームを機に、ガーデニングを始めたという夫人。夜になるとテラスに明かりをともし、緑の葉陰に憩うのも楽しみに。「月も見え、家にいる時間が豊かになりました」。多様な窓のデザインが、充実した暮らしのエッセンスになっている。


ここがポイント
壁をずらし光取り込む

住宅街の角地に建つWさん宅は、表は道路、裏は隣家に接していた。そうした状況でカーテンなしでもプライバシーを確保し、光と風に満ちた住まいを実現できたポイントは、1階のテラスと2階の窓の造りにあった。

家族の集いを充足させる1階の約15.5畳のテラスは、外からの視線をしっかり遮りながら、向かいの公園の緑が見えるよう、壁高を2メートルに調整した。コートハウスのような造りにすることで、南側に大開口のあるリビング・ダイニングを配置しても気兼ねなく過ごせ、そこから家の中に十分な光と風を通す設計となっている。

建築士の平良和礼さんは、「2階部分は三つのブロックに分けて壁をずらし、高窓や側窓などを計画。光と風を取り込み、周辺地域にも閉じ過ぎず、住む人の気配を感じられるようにしました。個室は落ち着けるように天井を低くしています」と説明する。天井の木ルーバーを通して届く光は、木漏れ日のように柔らか。上下階をつなぐリビングの吹き抜けが、家族の気配と2階からの光と風を家全体に届ける。

テラスに面したキッチンも表に雑多なものが見えないように囲い、その裏にパントリー、ランドリールーム、浴室など水回りをまとめ、来客時も気兼ねなく身支度できるよう工夫した。


2階の3ブロックに分けた高窓や側面窓が特徴的な外観。カーテンのいらない暮らしを実現した設計ポイントは、壁をずらし光りを取り込んだことにある


2階の寝室。落ち着いて過ごせるように天井を低くし、アクセントにブルーの壁紙をプラス
 

玄関ホール。天井の木ルーバから入る柔らかな光が、住まいの印象を明るくする
 


夫人が大好きな菊松葉模様の壁紙をアクセントに用いて小粋な雰囲気にしつらえたトイレ


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人、猫2匹
敷地面積:216.06平方メートル(65.35坪)
1階床面積:92.30平方メートル(27.92坪)
2階床面積:77.97平方メートル(23.58坪)
建ぺい率:47.56%(許容50%)
容積率:78.80%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居地域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)渡久山設計 平良和礼
構造:(株)大有設計
施工:タイラ建設
電気:新光電設
水道:(有)サンユウ設備

問い合わせ
 (株)渡久山設計
  電話098・876・1101
  http://www.tae.co.jp


撮影/矢嶋健吾 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1825号・2020年12月25日紙面から掲載

この記事のキュレーター

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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