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2020年6月12日更新

家事効率良く開放的な家|シンケンハウス㈱

[お住まい拝見〕|家事動線が短く、家族に目が届く家にしたい。でも広々とした空間が良い。約30坪平屋の新里紹太さん宅は回遊性のある造りに加え、天井高や連窓を利かせて開放感と使い勝手を両立した。


仕切りが無く広々としたLDK。東側一面の窓と、4メートルある天井高が床面積以上の広さを演出する。掃き出し窓の外はテラス。室内と同じ床高で、外まで一体的な造りとなっている​
 

約30坪 床面積以上の広さ演出

新里さん宅
 鉄骨造/自由設計/家族4人 


キッチンから和室まで一体的な造りに加え、各個室へのドアや和室のふすま、掃き出し窓の高さが2・5メートル近くあり、縦ラインで高さを強調。広がりを演出する​


回遊性ある造り

 建築会社を営む新里紹太さん。子どもが生まれ、アパートが手狭になったことが新築のきっかけ。自邸を手掛けるに当たり、「妻の意見を全面的に取り入れた」と話す。
夫人の希望は「家族の顔が見え、家事動線がコンパクトな家」だけど「広々とした空間がいい」。そして「前面道路からの視線は遮りたい」けど「明るく開けた家」。新里さんは「設計は苦労しました」と笑う。
 完成したのは約30坪の平屋だ。キッチン、ダイニング、リビング、和室と直線上に並ぶ一体的な造りで目が届く家をかなえた。LDK+和室の東側の一面は窓。前面道路がある北側は閉じた造りだが、東側の大きな窓が家中に光を運び、開放感を生んでいる。
 大開口の外にはタイル張りのテラスと芝庭がある。室内と同じ床高で「テラスまでLDKの一部という感じ」。5歳の長男と1歳の長女は、リビングで絵本を読んでいたと思えば、庭でボール遊びに興じる。その様子を室内から見守る新里さん。「どこにいても家族の気配を感じられる家。特にキッチンからは子ども室や浴室にまで目が届くんです」



外観。前面道路に面した北側は、外からの視線をシャットアウトするため閉じた造りになっている

家事動線シンプルに

 浴室や洗面室などの洗濯系水回りはキッチンの背後にまとまっている。干し場まで直線的に並び「最短動線で済む」と満足げに話す。
また、夫人の強い希望だったというアイランド型のキッチンは、ダイニングへも浴室へも移動しやすく「やって良かった」の一つだそう。
 新里さんのお気に入りは書斎だ。寝室とクローゼットに挟まれた小さな空間で仕事にいそしむ。とはいえ「個室ではないので、子どもたちにしょっちゅう邪魔されます」と笑う。
LDKと寝室の間に廊下が挟まっているのは「来客時に、プライバシーを見せたくない」という夫人の要望から。「公私を分けつつ、顔が見える造りを保つため廊下の途中と突き当たり、出入り口を二つ造っています。開けていれば気配を感じられる」
キッチンや廊下など、回遊性のある造りが家事効率を上げ、家族の顔が見える造りの鍵となっていた。


アイランド型のキッチンは、写真奥に見える子ども室や背面の浴室などにも目が届く



芝庭から室内を見る。タイル張りのテラスと芝庭は、子どもたちの格好の遊び場。1.5メートルある深い軒が雨や強烈な日差しを遮る​

ここがポイント
縦横ライン強調で広く見せ
 約30坪の床面積以上の広さを感じさせる新里邸。「敷地の広さや建築費を考えると30坪以下に抑える必要があった。視覚効果で広く見せている」。施主であり、同邸を手掛けたシンケンハウスの新里紹太さんは話す。
 リビングとダイニングは天井高を4メートルに上げ、開放感を演出。「家全部をこの天井高にするとコストがかかり過ぎるので、一番目に入る場所に絞った」
 他の場所は2・5メートル程度と標準的な天井高ながら「ドアやふすまなどの建具、東側掃き出し窓のサッシなどの高さを2・35メートル~2・5メートルと高めに取り、縦のラインを強調した」。
 その縦ラインに加えて東側一面の連窓の横ラインと、視線の抜けも開放感を生んでいる。

 色使いにも工夫がなされている。「キッチンの色は床の色と合わせてダークブラウンに、テラスのタイルは白っぽい色にして壁となじませている。室内の一体感を演出するのはもちろん、テラスまでつながっているように見せている」。
 将来二つに仕切れる子ども室を入れると、約30坪4LDKの新里邸。希望の居室を確保するために「収納を絞った。本当は各部屋にほしかったけど、寝室や子ども室などの個室にまとめて大きめに設けて必要量を確保した」と話した。


子ども室は将来二つに仕切って使えるよう、ドアやクローゼットなどが二つずつ設けられている。キッチンの隣にあり、扉を開けていれば互いに顔が見える​


廊下を玄関側から見る。途中と奥にLDKへ続く扉があり回遊できる。この廊下がLDKと寝室の間のクッションとなっている​



洗面脱衣所。勝手口は物干し場へ続く。室内にもちょっとした干し場が設けられている​


寝室の一角には小さな書斎がある。ウオークインクローゼットとの間のデッドスペースを利用して設けた​

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[DATA]
家族構成:夫婦+こども2人
敷地面積:262.4平方メートル(約80坪)
1階床面積:103平方メートル(約31坪)
建ぺい率:44.2%(許容60%)
容積率:39.45%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:鉄骨造
設計:シンケンハウス(株)
構造:シンケンハウス(株)
施工:シンケンハウス(株)
電気:章電設
水道:(有)大嶺設備
塗装:(株)岡山ペイント

[問い合わせ先]
シンケンハウス㈱
電話098・973・6302
http://www.sinkenhouse.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1797号・2020年6月12日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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