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2019年4月5日更新

「所有権の移転 農地は注意|すまいのQ&A

不動産に関するトラブルの対処法をQ&A方式で説明する当連載。今回は、土地の売買契約及び相続、時効による土地の所有権移転、農地の転用について、土地家屋調査士の城間盛義さんに説明してもらいます。

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農地の売買契約をする際は都道府県知事の許可を得なければならない
 

「債権」「物権」とは

土地の所有者にあなたが「この土地を売ってください」という事は「売買契約」の「申込の意思表示」というものにあたり、土地所有者が「はい、いいですよ」という事は売買契約の「承諾の意思表示」にあたる。

そして、この「申込」と「承諾」が一致する事によって売買契約が成立するのである。売買契約の効果として、あなたは土地所有者に「土地を引き渡してくれ」と言える権利を取得し、土地を自由に使える権利、すなわち所有権を取得するのである。

このようにしてあなたが売買契約により取得する権利のうち、土地所有者に「土地の引き渡し」という一定の行為を請求する権利を「債権」といい、土地を自由に使うという「土地」に対する権利を「物権」という。

他方、土地所有者はあなたに対し「土地の代金を支払ってくれ」という権利「債権」を取得し、今まで所有していた土地の所有権「物権」を失うことになる。これが民法176条の「物権の設定及び移転は当事者の意思表示のみによってその効力を生ずる」規定である。
 

相続・時効による所有権移転

先の「申込」、「承諾」という意思表示に基づく所有権の移転以外に相続、時効による所有権移転がある。

例えば父親の死亡という事実によって相続人が所有権を取得する。これが民法896条の「相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」規定である。

また、他人の土地に長期間、家を建てて暮らしてきたという事実によって建物の所有者が土地の所有権を取得する場合もある。これが民法162条の「①20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。②10年間所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」規定である。

 

農地の所有権移転について

次に農地法5条による所有権移転について説明する。

農地法によって農地の転用許可規制が加えられた理由について、国の通知は「我が国の農業生産の基盤である農地は、国民に対する食料の安定的供給を図る上で重要な役割を担っており、農地法に基づく農地転用制度の適切な運用を通じ、良好な営農条件を備えている農地を確保する一方、社会経済上必要な土地需要にも適切に対応してきているところである」という認識を示している。

仮に、農地転用許可制度が存在しなければ、我が国の食料自給に不可欠な優良農地が無計画につぶされてしまうことになり、国益に反する結果をもたらす。

その一方で、必要な土地需要に応えて農地を転用することも認めざるを得ない。そこで、農地転用については、国民の自由に任すことにせず、行政機関による法的判断を経る必要があるとしたものである。この点については、立法目的および規定手段にいずれも合理性が認められ、今後も、農地転用許可制度を維持する必要があると考える。

農地法5条の内容は民法176条の法律行為「農地の売買契約等」をする時は、当事者は都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし相続、時効などを原因とする所有権移転は都道府県知事の許可がなくてもできる。

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県土地家屋調査士会と沖縄弁護士会では合同で、「おきなわ境界問題相談センター」(那覇市泉崎2-1-4・大建ハーバービューマンション401)を開設し、境界についての相談に無料で応じている。相談は事前に電話予約が必要。相談日は第2・4水曜日の午前10時~午後4時098-836-6767(電話予約の受け付けは平日の午前9時~午後5時)


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1735号・2019年4月5日紙面から掲載

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