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2019年5月3日更新

新築時の登記について|すまいのQ&A

マイホームや店舗を新築した際、1カ月以内にそれがどのような建物で、誰が所有者なのかを申請しなくてはなりません。それを「表題登記」と言います。今回は表題登記について土地家屋調査士の伊盛進さんに解説してもらいました。


1カ月以内に申請を

人は生まれてから14日以内に出生届出が義務付けられているように、新築した建物も、どのような建物で誰が所有者であるか、建物を取得した日から1カ月以内に申請する義務があります。それを「表題登記」と言います。
その申請に基づき、「登記事項証明書」に、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積・所有者などが記載されます。


Q.新築した建物の登記をしないとどうなるか?

A.不動産登記法では、申請を怠った者は10万円以下の過料に処すると規定されていますが、実際に過料に課されたという話は聞いたことが無いです。建築費用を自己資金で賄い、担保設定の必要もない所有者は登記をしていないケースもあります。
一方で、数年後に金融機関から借り入れが必要になった際、慌てて所有権証明書などを集め、急いで登記申請をするというような場合も少なくありません。
近年、オレオレ詐欺からアポ電詐欺へと凶悪化しているご時世です。悪意のある者が所有権証明書などを偽造して登記を完了させ、さらに抵当権設定や転売をして第三者に所有権移転登記済みまで終えると、取り返すのに多大な労力と費用を要する事態になりかねません。
そのようなリスクを負わないためにも、また紛争防止の観点からも、建物の登記をしていたほうが安心といえます。また、固定資産税は、建物を登記しているか否かにかかわらず役所により現況調査をして課税されますので、登記をしないで課税逃れをするということはできません。



Q.違法建築や、違法増築部分も登記はできるか?

A.不動産登記法の目的は、不動産の現況と権利関係を明確に公示し取引の安全を図ることですので、登記できる建物としての要件(外気分断性、定着性、用途性、取引性、永続性など)を備えている場合は、違法な建築・増築部分も登記することは可能です。
ですが、建築基準法第9条により違反建築物として除去処置命令が発せられている建物については、登記はできないものと考えられます。なぜなら建築主が除去をしない場合には、行政代執行もできることになっており、いつ取り壊されるか極めて不安定な状態にあることになるので永続性のある建物とはいえないからです。



Q.借地に住宅を建築した場合の建物登記には、土地所有者の協力が必要か?

A.土地と建物は別個の不動産なので建物所有者は、土地所有者の協力がなくても単独で建物登記をすることができます。
借地借家法第10条では「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」ということになっています。
つまり、地が売買などにより新所有者に移って新所有者からの建物明け渡し請求があっても、建物所有者は借地上の建物を登記することによって新所有者に対抗する権利を取得することになります。

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県土地家屋調査士会と沖縄弁護士会では合同で、「おきなわ境界問題相談センター」(那覇市泉崎2-1-4・大建ハーバービューマンション401)を開設し、境界についての相談に無料で応じている。相談は事前に電話予約が必要。相談日は第2・4水曜日の午前10時~午後4時 098-836-6767(電話予約の受け付けは平日の午前9時~午後5時)


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1739号・2019年5月3日紙面から掲載

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