庭・garden
2016年8月12日更新
頑丈で存在感ある[パキラ]|植物と器で楽しむ Interior green⑤
インテリアグリーンを楽しむコツと上手な育て方を、プランタドール代表の新城圭吾さんがレクチャー。幹のコブに愛きょうがある「パキラ」は、手入れに手間もかからないため人気だ。
幹のコブに愛きょう
頑丈で存在感ある[パキラ]Q.パキラの特徴は?
最近は自然な樹形が人気 室内置きできれいに生育
パキラはパンヤ科パキラ属の植物で、自生地では10メートル以上の大木になります。
パキラといえば、現在も流通している幹の仕立てが編み込みになったタイプが有名ですが、近年、自然な樹形のタイプがインテリア性も高く、とても人気があります。幹の「ポコッ」っとしたコブに愛きょうがあるのに加え、乾燥に非常に強く、病害虫に強いのも人気の要因かと思います。サッカー選手で例えますと、抜群のキープ力とサッカー選手らしからぬ体形からは想像もつかないテクニックやパスで観客を魅了した、元イングランド代表のガスコインといったところでしょうか。
パキラを飾るなら、圧倒的に室内へ置くことをオススメします。屋外では強風で葉が傷んだり、強い日差しで葉焼けを起こすため維持・管理が難しく、パキラの良さが半減するからです。と、つい最近までは思っていましたが、先入観で植物を見てはいけないと思い直す出来事がありました(下のこぼれ話参照)。
Q.育てる上で気を付けたいことは?
病害虫に強くて強健 水はたっぷり、葉に霧吹き
気をつけたいことは「ないです(笑)」と片付けたいぐらい、手間のかからない優秀な植物です。個人的には、病害虫で弱々しくなっているパキラを見た記憶はほぼないです。根をむき出しにした状態でも、2カ月ほどなら何の問題もなく状態を維持しているほど強健です。
しいて言うと、置き場所に適した水やりの頻度でしょう。水は土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が出るまでたっぷりあげる。そして葉にもしっかり霧吹きすることです。
たまに「パキラの葉がムチャムチャするのですが、原因は何でしょうか?」と質問されることがありますが、パキラ自体に害を及ぼす物ではありません。葉の裏などに付いているガの卵や幼虫などをアリに持っていってもらえるよう、パキラ自体がアリを引き寄せる蜜のような物を排出しているためという説があります。つまりは「危機管理能力」。経営者として勉強になります。
コブのついた幹が特徴的なパキラ。幹の曲線のしなやかさが美しさを演出する。葉の枚数と、幹上がりの高さを意識するとインテリア性がグッとアップ
仕立ての個性生かす
◆壁面装飾に合わせ高級感高級リゾートマンションのロビーに飾ったパキラ。石調の壁面など装飾物にこだわりのある空間には、仕立ても個性的なパキラを編み目調でリゾート感のある鉢に合わせてコーディネート。コブが何本も出ている枝に付いた葉のバランスがリズミカルで、インテリア性を感じるこのパキラは、生産者が時間をかけて仕立てたもの。間接照明とのバランスを意識して、樹高も決めました。
◆ドッカーンと一鉢
天井高ギリギリまで高さのあるパキラを合わせた例。幹が直線的に伸び、上部で広がる樹形であれば圧迫感が増しますが、緩やかな曲線を描く樹形をセレクトすると、存在感はありながらも圧迫感を抑えることができます。「この空間の主役は俺だ!」と主張するような植物を置きたい時にオススメです。
◆階段下にさりげなく
生活動線の邪魔にならないよう、スッと伸びた樹形をセレクト。高さ1.5メートルの中鉢サイズ。葉と枝のバランスを意識しながら、白いスリムな鉢に合わせてシンプルに。
【小鉢サイズ】
◆か弱さもキュート
力強いパキラの幹も、成長途中でか弱い株立ちの苗をかわいらしいデザインの小鉢に合わせるとキュートな感じに。みんなが集うテーブルの上に置いてアクセントに。
◆オブジェのように
高さ約40センチ。個性の強い樹形にアンティーク柄のグリーンの鉢を合わせより個性的に。根元で幹が盛り上がった個性的な形は、生産者の仕立てのたまもの。オブジェ性を兼ね備えたインテリアプランツです。
※写真はいずれもPLANTADOR提供
<こぼればなし>
屋外でも意外とイケる!?
パキラは地植えでは葉をきれいな状態で維持するのが難しいので、庭木には向いていないと思っていました。しかし、スタッフが「すごいきれいなパキラがありました!」と、興奮気味に見せてくれた画像に驚きました。そこには、屋外にも関わらず葉も幹もきれいなパキラが鎮座しているではないですか(下写真)。先入観を覆されたときの衝撃のデカさといったら…。植物ってスゴイです。
コブのついた幹が特徴的なパキラ。幹の曲線のしなやかさが美しさを演出する。葉の枚数と、幹上がりの高さを意識するとインテリア性がグッとアップ
執筆・提案
しんじょう・けいご/PLANTADOR代表。「花屋Ru-ga」で植物についての基礎・応用を学び、2009年に独立。14年に浦添市大平に販売店舗「PLANTADOR Segundo」をオープン。主に植物の室内コーディネート、住宅の植栽、植物販売などを手掛ける
『週刊タイムス住宅新聞』Interior green<5> 第1597号 2016年8月12日掲載