家づくり
2024年11月22日更新
住まい彩る伝統工芸 手仕事の妙楽しむ|[建材ピックアップ]㉞
器や小物などのイメージが強い漆工芸や琉球ガラス。伝統的な技法と手仕事ならではの風合いを生かし、漆の壁紙やドアなどを彩るアートガラスと、新たな建築内装材が生み出されている。それぞれの魅力と特徴を製作・販売する工房に聞いた。
住まい彩る伝統工芸 手仕事の妙楽しむ
器や小物などのイメージが強い漆工芸や琉球ガラス。伝統的な技法と手仕事ならではの風合いを生かし、漆の壁紙やドアなどを彩るアートガラスと、新たな建築内装材が生み出されている。それぞれの魅力と特徴を製作・販売する工房に聞いた。漆紙
水にも強い天然塗料
年の風合いも魅力
工房の壁を彩る漆紙。1枚の大きさは980mm×660mm、木壁にDIYで貼りつけた。道具や塗り方の違いで、色合いや模様も変わる。縦横・表裏も好みで使える
漆というと琉球漆器の椀や重箱などが思い浮かぶが、首里城をはじめ、日本では古くから建築に利用されてきた天然塗料だ。その魅力について、漆芸舎伍・共同代表の森田哲也さんは「撥水性や抗菌作用など機能性に優れ、長く使うほどに色ツヤや風合いが増していく経年変化も楽しい」と話す。
首里城の復元・修復の経験を、現代建築に生かしたいとの思いから、漆芸舎伍では、手すきの和紙に漆を塗って浸透させた壁紙「漆紙」を作り出した。「紙に漆を含浸させる技法は、仏像などに用いる伝統的な工程の一つ。県内の建築士から漆の壁紙を使いたいとの声をいただくようになり、4年前から製作しています」と共同代表の島袋亜希子さん。
木に麻布を貼り漆を含浸させたフロアパネルは、吸い付くような足触りが気持ちいい。壁にも使える
DIYでアクセント
漆紙の色は8種類。アクセントクロスとして使われるケースが多いという。「同じ漆を使っても、使う道具や塗り方でツヤの出方や質感が変わる。一枚一枚、手塗りで仕上げるので、全く同じ色や模様はない。手仕事の風合いを楽しんでもらえれば」と森田さん。漆紙は水が染み込みづらく、キッチンなど水がはねる場所に使えるのも特徴。「丈夫で扱いやすく、水拭きできるので掃除も楽。DIYが好きな方なら、自分で壁に貼ることもできます」と島袋さん。
芭蕉紙や月桃紙を使った漆紙や、フロアパネルなども製作。伝統の技とアイデアで、インテリアの可能性を広げる。施工先を選ぶ際は、「サンプルをもらうだけでなく、経年の施工例を見学させてもらうと良いでしょう」と話した。
和紙壁紙は8色
「手すきの風合いを楽しんでほしい」と、耳付きの和紙を使っている漆紙。ダークグレー、赤、ベンガラ、山吹、黒、青、緑、白(アイボリー)の8色で、質感の違う2種類がある
漆紙の色は8種類。アクセントクロスとして使われるケースが多いという。「同じ漆を使っても、使う道具や塗り方でツヤの出方や質感が変わる。一枚一枚、手塗りで仕上げるので、全く同じ色や模様はない。手仕事の風合いを楽しんでもらえれば」と森田さん。漆紙は水が染み込みづらく、キッチンなど水がはねる場所に使えるのも特徴。「丈夫で扱いやすく、水拭きできるので掃除も楽。DIYが好きな方なら、自分で壁に貼ることもできます」と島袋さん。
芭蕉紙や月桃紙を使った漆紙や、フロアパネルなども製作。伝統の技とアイデアで、インテリアの可能性を広げる。施工先を選ぶ際は、「サンプルをもらうだけでなく、経年の施工例を見学させてもらうと良いでしょう」と話した。
和紙壁紙は8色
「手すきの風合いを楽しんでほしい」と、耳付きの和紙を使っている漆紙。ダークグレー、赤、ベンガラ、山吹、黒、青、緑、白(アイボリー)の8色で、質感の違う2種類がある
芭蕉紙にもトライ
芭蕉紙を使った漆紙。サイズが小さいため、ランプシェードなど小物製作におすすめ
漆の魅力を次世代へつなぐ
漆芸舎 伍(八重瀬町)
漆の魅力を伝え、次世代につなげていくことを目指し、琉球漆器の伝統的な技術・技法・デザインを取り入れながら、柔軟な視点で現代の生活に添うアイテムを製作・提案している。建築・内装では漆紙の製作・販売のほか、現場に出向いて、壁や天井に漆の技法を使って壁画アートを描く空間演出なども手掛ける。
◆問い合わせ/同工房
(メール=info@situgeisya-5.jp)
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲
アートガラス
色鮮やかな一枚の絵
独創的な空間造りに
恩納ガラス工房に展示されているアートガラス。鮮やかな色づかいと凹凸感が魅力。アルミのドアも華やかな仕上がりに
気泡と厚みのある温かな風合い、沖縄の美しい空や海、豊かな自然をイメージさせる鮮やかな色が特徴の琉球ガラス。その独特の風合いや色使いを生かして新たに生み出されたアートガラスは、空間を独創的かつ華やかに彩るアイテムとして、優良県産品にも認定されている。
開発したのは、恩納ガラス工芸育成センター会長で、ガラスアーティストの宮國次男さん。「海外を旅して、ガラスの使い方やデザインを学び、考え出したのがアートガラス。琉球ガラスに50年以上携わっているからこそ、表現できるデザインがある」と話す。
アートガラスはデザインもサイズもいろいろ。タイルのように組み合わせて使うのも面白い
多彩なデザイン
アートガラスは、厚さ8mmのガラス板にさまざまな絵柄を手彫りで描き、色付けして焼き上げる。「海やハイビスカス、紅型や花笠など、沖縄を思い起こさせる絵柄はもちろん、日本画や洋風までさまざまなデザインができます」。
高さ1750mm、幅600mmの大判は美しい絵画のよう。ホテルや商業施設、マンション、一戸建て住宅のドアガラスや間仕切りなどに多く活用され、県外や海外で人気が高いという。宮國さんは「光は通しながら目隠しでき、なおかつ芸術的。手作りなので同じものは世界に一つ。沖縄でも、もっと愛用してほしい」と期待する。
木製ドアにはめ込んだアートガラス。淡い色使い、シンプルな模様だが、厚みがあるため透けづらい
アートガラスの洗面ボウルやミラー、照明など、水回りアイテムも多彩な色、デザインがそろう
ギャラリーで見て触れて体感
恩納ガラス工房(株式会社恩納ガラス工芸育成センター・恩納村)
琉球ガラスづくりを職人と一緒に体験できる工房と、工房で作られたガラス製品を購入できるショップを備えた観光スポット。アートガラスギャラリーには、宮國次男さんが手掛ける多彩な作品が展示され、アートガラスも直接、見て触れることができる。アートガラスや洗面ボウル、ミラーはオーダー可能。
◆問い合わせ/同社
(電話=098-965-3090)
色鮮やかな一枚の絵
独創的な空間造りに
恩納ガラス工房に展示されているアートガラス。鮮やかな色づかいと凹凸感が魅力。アルミのドアも華やかな仕上がりに
気泡と厚みのある温かな風合い、沖縄の美しい空や海、豊かな自然をイメージさせる鮮やかな色が特徴の琉球ガラス。その独特の風合いや色使いを生かして新たに生み出されたアートガラスは、空間を独創的かつ華やかに彩るアイテムとして、優良県産品にも認定されている。
開発したのは、恩納ガラス工芸育成センター会長で、ガラスアーティストの宮國次男さん。「海外を旅して、ガラスの使い方やデザインを学び、考え出したのがアートガラス。琉球ガラスに50年以上携わっているからこそ、表現できるデザインがある」と話す。
アートガラスはデザインもサイズもいろいろ。タイルのように組み合わせて使うのも面白い
多彩なデザイン
アートガラスは、厚さ8mmのガラス板にさまざまな絵柄を手彫りで描き、色付けして焼き上げる。「海やハイビスカス、紅型や花笠など、沖縄を思い起こさせる絵柄はもちろん、日本画や洋風までさまざまなデザインができます」。
高さ1750mm、幅600mmの大判は美しい絵画のよう。ホテルや商業施設、マンション、一戸建て住宅のドアガラスや間仕切りなどに多く活用され、県外や海外で人気が高いという。宮國さんは「光は通しながら目隠しでき、なおかつ芸術的。手作りなので同じものは世界に一つ。沖縄でも、もっと愛用してほしい」と期待する。
木製ドアにはめ込んだアートガラス。淡い色使い、シンプルな模様だが、厚みがあるため透けづらい
アートガラスの洗面ボウルやミラー、照明など、水回りアイテムも多彩な色、デザインがそろう
ギャラリーで見て触れて体感
恩納ガラス工房(株式会社恩納ガラス工芸育成センター・恩納村)
琉球ガラスづくりを職人と一緒に体験できる工房と、工房で作られたガラス製品を購入できるショップを備えた観光スポット。アートガラスギャラリーには、宮國次男さんが手掛ける多彩な作品が展示され、アートガラスも直接、見て触れることができる。アートガラスや洗面ボウル、ミラーはオーダー可能。
◆問い合わせ/同社
(電話=098-965-3090)
文・比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2029号・2024年11月22日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 比嘉千賀子
これまでに書いた記事:153
編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。