モルタルで表現 本物の質感と物語性|[建材ピックアップ]㉝|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

家づくりのこと

家づくり

2024年8月23日更新

モルタルで表現 本物の質感と物語性|[建材ピックアップ]㉝

本物を使いたいけど、コストやメンテナンスが気になる天然石や木。そのリアルな質感を、耐久性の高いコンクリートやモルタルで表現し、建築物に生かす技術がある。スタンプコンクリートと、モルタル造形だ。それぞれの専門企業に魅力と特徴を聞いた。

モルタルで表現 本物の質感と物語性

本物を使いたいけど、コストやメンテナンスが気になる天然石や木。そのリアルな質感を、耐久性の高いコンクリートやモルタルで表現し、建築物に生かす技術がある。スタンプコンクリートと、モルタル造形だ。それぞれの専門企業に魅力と特徴を聞いた。


 スタンプコンクリート 
石、木、タイルの質感 型押しでリアル再現


新たに開発した、琉球石灰岩調特殊型枠で仕上げた外壁。多孔質で味わいのある質感と、栗石ならではの凹凸がリアルに再現されている。(スタンプクリエイト提供)


スタンプコンクリートのトラバーチンアシュラの施工例。リアルな岩肌で、天然石に比べ価格を抑えられる(写真提供)

コンクリートの耐久性を生かし、天然石やれんが、タイル、木目などの風合いを、床や壁にリアルに表現するスタンプコンクリート。アメリカ発祥の工法で、日本でも40年前、テーマパークの建築をきっかけに取り入れられた。

重厚でエレガントな雰囲気から、和風やポップなイメージまで多彩に再現でき、「住宅や商業施設、公共工事など、幅広く活用。近年は、リビングや水回りの壁での施工も増えています」と、スタンプクリエイト営業部長の立津元志さんは説明する。
 
工期・コストを圧縮
コンクリートの打設時に、色付けとデザインを型押しする工法のほか、既存の床に樹脂モルタルを塗り重ねて型押しする工法もある。施工期間は2日ほど。短期間で施工できるためトータルコストが減らせ、メンテナンスも容易だ。

人気のデザイン

【ランバリット】ランダムな石の形と色合いが特長。全国で人気(写真提供)


【ウッドシリーズ】木目調は4種類。節の大きさや幅、色で印象が変わる(写真提供)


【大理石調】シックに壁を彩る大理石調のスタンプウォール(写真提供)

「当社では50以上のデザインがありますが、沖縄で人気なのトラバーチンシリーズです」。同社では、多孔質な栗石の凹凸感をよりリアルに表現できるよう、スタンプコンクリートと化粧型枠を融合した琉球石灰岩調特殊型枠も開発。「型枠に生コンクリートを流し込んで、外すだけ。建築現場の人手不足解消にも貢献できます」。

施工先を選ぶ際は、「サンプルをもらうだけでなく、経年の施工例を見学させてもらうと良いでしょう」と話した。


生コンを流し込み、完全に固まる前に着色してパターンマットを押し付けることで、マットのデザインがコンクリートに転写される


50種以上のデザインそろう
スタンプクリエイト㈱(浦添市)

本物の琉球石灰岩から型どりし、リアルな岩肌を再現したトラバーチンシリーズをはじめ、50種類以上のデザインをそろえる。スタンプコンクリートに15年以上携わる担当者が、相談から一貫して対応。オリジナルデザインの相談も可能だ。自社のデザインを転写した、DIYで施工できる壁用ボードも販売する。

問い合わせ/
 スタンプクリエイト㈱(浦添市)
(電話=098-987-6861)


▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽  ▲

 
 造形モルタル 
夢の世界をカタチに 一緒に創り出す喜び

「森と木とピアノがあって、熊みたいな人がハンバーガーを作っていたらかわいい」。そんなオーナーのイメージを形にした店舗リフォーム。石積み、巨木、切り株のテーブルセットをモルタル造形で作り出した

歴史を感じる重厚な石積みや巨木、鉄製の扉、満月など、あらゆるものをモルタルで形作り、塗料で着色してリアルに表現するモルタル造形。テーマパークなどでよく使われる技法で、ヨーロッパの古い街並みやおとぎ話の世界をファンタジックに演出できる。

「普通の建築では構造や資材の問題で難しいことでも、モルタル造形なら表現できる。依頼主が思い描くイメージを、遊び心を持って一緒にクリエイトしていくので、唯一無二のものができます」とmokumo代表の菅沼正典さん。


元々は木製のドア。モルタル造形で、古城のような重厚感のある鉄製ドアに作り変えた


イメージを具体化
モルタル造形は、屋内外を問わず、壁一面から施工可能。住宅や店舗の内外装リフォーム、庭小屋などで幅広く利用されている。コンクリート造の建物と相性が良く、沖縄に向いている技法だという。

経年劣化を再現でき、立体的な構造物もつくり出せる。イメージは、写真や動画、対話ですり合わせる。「空間を使う目的やシチュエーションがはっきりしていると、よりストーリー性のある演出ができる。会話を重ねるほど面白いものができます」とアドバイスする。


出入り口に鎮座する大きな円形の石積み。異世界へ誘うワクワク感が増す


石積みのアップ。経年加工、植物との組み合わせで歴史を感じる仕上がりに


アンティークの木製ドアと、モルタル造形の石積みの組み合わせ。道行く人の目をひく


リフォーム・空間アレンジも
mokumo/㈱菅沼工務店(恩納村)

モルタル造形、新築注文住宅の建築、リフォーム、サウナ販売などを手掛けるmokumo。大工歴25年、代表の菅沼正典さんは、モルタル造形デザイナーの磯山賢太さんに師事。モルタル造形によるオリジナルのデザインでのリフォーム・空間アレンジを得意とする。恩納村のアトリエでは、モルタル造形を手軽に体験できる教室も開催している。

問い合わせ/
 mokumo/㈱菅沼工務店(恩納村)
(電話=098-989-6202)

文・比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2016号・2024年08月23日紙面から掲載

この連載の記事

この記事のキュレーター

キュレーター
比嘉千賀子

これまでに書いた記事:152

編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

TOPへ戻る