企業・ひとの取り組み
2024年9月20日更新
【人物紹介】空き家と相続の悩みを解決|(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長の山入端学さん[ひと]
2023年10月、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し、事務局長に就いた山入端学さん(55)。年々増加し、地域課題として深刻化する空き家の利活用を訴え、広く啓発活動に力を注ぐ。
再生、利活用で地域活性
(一社)全国空き家アドバイザー協議会
沖縄県名護支部事務局長 山入端 学さん
〈プロフィル〉やまのは・まなぶ 1969年、嘉手納町出身。2017年、(同)城コーポレーションを創業。沖縄県宅地建物取引業協会会員、北部地区業者会副会長。(一社)全国古民家再生協会沖縄第一支部会員。古民家鑑定士。23年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立。事務局長に就任。空き家課題解決に力を注ぐ。趣味は食べること。
◆全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部
名護市城1-15-6
電話=0980・43・1613
-協議会の活動や支部の強みは
全国空き家アドバイザー協議会は、空き家の相続や利活用についてアドバイスを行う団体で、全国に展開しており、県内での支部発足は名護が初。名護支部には不動産業、司法書士、設計士、建築業、解体業、片付けリサイクル業、土地家屋調査士、霊園業まで、空き家問題に関するプロが参加しており、ワンストップで解決策を提供できるのが強みです。
名護支部は、地域住民からの相談、講演会などのイベントを通じて、空き家問題の発生抑制にも注力しています。特に宮古島で空き家率の高さが課題となっている狩俣地域では、講演会を開くたびに参加人数が増え、地域住民の関心が高まっているのを感じます。
大宜味村や本部町など人口減少が進む地域でも、空き家問題の深刻化に対応するための活動を展開しています。
-活動を通し見えてきた課題や注力していることは?
空き家の約55%が相続によって生じており、空き家問題は相続問題と密接に関連しています。特に沖縄では70~80代で相続を受けるケースが少なくありません。相続後、空き家が放置され、税金や解体費用などの問題が発生し、解決をより困難にしている事例が多いです。
空き家問題の解決には、利活用が重要ですが、放置された空き家が老朽化しているため、改修費用が高額になるケースが多く、その結果、多くの空き家は解体されているのが現状です。早めに相続問題を整理し、空き家の利活用につなげられるよう、支部として情報発信にも力を注ぎたいと考えています。
宮古島で開催した「空き家サミット」の様子。地域の住民に空き家問題・対策・活用方法などを講話した(同協議会名護支部提供)
-事務局長として心掛けていることは?
支部では毎月、定例会や勉強会を開催し、その議事録を分かりやすくまとめて行政や自治会に報告したり、講演会や相談会の開催など、地域活動を積み上げたりして、行政や地域自治会と連携を心掛けています。国交省が推進する「空家等管理活用支援法人」の指定を受け、空家等総合支援事業の補助金も活用しながら、今後ますます深刻化する空き家問題にしっかり取り組めるようにしたい。
空き家問題は地域の発展を阻害する大きな課題。これを放置してはなりません。その信念で日々活動に取り組んでいます。
-今後の目標は?
住民が気軽に相談できる機会を提供していきたい。10月27日には名護市城区自治会事務所でセミナーを開催予定で、その他の自治会にも今後、積極的に出向いていきたいと思っています。さらに、隣接する本部町や大宜味村などとの連携も視野に入れ、空き家問題に対する北部地域全体での取り組みを推進していきたいと考えています。
空き家の知識を習得
講習会と試験 奇数月に
全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部では、地域課題について関心を持つ人が増えてほしいと、空き家課題解決の入り口となる知識の習得を目指す「空き家課題トータルコンサルタント」の講習会および試験を開催している。受講生は2時間半の講習後、同日中に試験を受け、合格すれば同資格を取得できる。県内で唯一、同資格を授与できるインストラクターの資格保持者である山入端さんは「空き家問題の現状や法律、相続相談、予防管理、課題解決の方法などを学べるので、測量士、設計士、解体業者、片付け業者など、空き家問題に関連する、さまざまな業務で役立つ」と話し、広く参加を呼び掛ける。実施は、1月5日を除く奇数月の第一土曜日の午後。名護市産業支援センター会議室。問い合わせは名護支部 電話=0980・43・1613。
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2020号・2024年09月20日紙面から掲載