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2024年4月19日更新

水浸しになるタイル床|インスペクションで解明 住まいのミステリー 第13話「築3年ほどのRC造 リゾート風平屋建て」

文・大城佑介(インスペクション沖縄メンバー、既存住宅状況調査技術者)

住宅の劣化状態などを調査して報告する「インスペクション(建物診断)」。今回は水浸しになるリビングのタイル床について。インスペクション沖縄の下地鉄郎さんが探る。
 

 第13話「築3年ほどのRC造 リゾート風平屋建て」

水浸しになるタイル床

 依頼内容 
築3年ほどの平屋建て鉄筋コンクリート造住宅。目の前が砂浜と海。時期にもよるが、午前中にリビングの掃き出し窓を開けると、リビングのタイル床面に細かい水滴が付く。水浸しになることもある。なんとなく結露かな、とは思うが原因を具体的に知りたい。


断面イメージ図

夜の間に冷えたコンクリートやタイルに、海からの水分を多く含む生暖かい空気が触れることで表面に水滴が発生する。天井と壁は石こうボードとクロスのため結露は発生しづらいが、わずかにカビが見られた


 


 鏡 面仕上げのタイル

事前に建物の図面とともに工事写真のほか、表面がぬれているタイル床面の写真などをメールで送信してもらい電話でヒアリング。沖縄特有の結露であると考えられるが、水浸しになることもあるという話から、立地条件のほかタイルの種類や施工方法について現地確認をすることとなった。

現地確認を行った時期は7月中頃の午前中。目の前に砂浜と海が広がる最高の立地。

その日は快晴だったこともあり問題の床タイルに水滴はみられなかったが、水分測定器で計測すると高めの数字が出ている。

海側の掃き出し窓を開けると、午前中の生暖かい海からの空気が部屋に入ってくる。窓の外の軒裏には、水滴がいくつか付いているのが確認できた。高温多湿な気候に加え、海風がもろに部屋に入ってくる建物の立地条件と造りが原因の表面結露であることが分かった。

アルミ、ガラス、土間タイルなど熱が伝わりやすい部分に、水分をたっぷり含んだ空気があたることで表面結露が起こることは沖縄ではよくある。今回、タイルは鏡面仕上げの磁器タイルで、より熱伝導率が高いため水浸しになってしまうほどの結露が起こったようだ。

住人に聞くと、夏場や梅雨時期などの就寝時にはエアコンを付けていて、朝になると空気の入れ替えのためにリビングの掃き出し窓を開けることが多いという。リビングの壁と天井は石こうボードとクロスで、エアコンが当たる範囲やコーナー部分に少しカビらしきシミもわずかに確認できた。
 


表面結露しているタイル床(画像はイメージです)



 室 温を下げ過ぎない

施主に原因が施工不良などではない、と伝えると少し安心されたようであった。リビングの床は表面結露を起こしにくい材料にしても良かったかもしれないが、とても気に入っており変えることも考えていないという。そこで、外の湿気が高い時期には寝る際にエアコン温度を下げ過ぎないようにすることや除湿器の活用、サーキュレーターにより湿気を飛ばすなどのアドバイスをした。

結露現象には、今回のような目に見えやすい表面結露のほか、壁の内部などで起こる内部結露がある。どちらも放置すると、建物の耐久性に影響するほか、カビによる健康被害につながることもある。今回は、時間ごとの建物各所の詳しい温湿度の計測までは行わなかったが、季節や時間帯ごとの空気中の水分量計算のほか、建物の造りや仕上げ材などの熱伝導率などから建物性能を導き出すこともできる。空気中の水分量も分かる温湿度計も安価に販売されているので、自分で計測するのも良いだろう。


 解決策・アドバイス 
◆外の湿気が高い時期には、寝る際にエアコン温度を下げ過ぎないようにすること。
◆除湿器やサーキュレーターで湿気をためないよう対策する。






しもじ・てつろう/1級建築士。(株)クロトン代表取締役
電話=098・877・9610


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1998号・2024年4月19日紙面から掲載

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