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2024年4月19日更新

【プロがつくる庭・特別編】勝連城跡に新たな庭園

有志建設(読谷村) 施工/(株)沖縄ガーデン

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勝連城跡に 新たな庭園

(一社)日本造園組合連合会(造園連)の青年部


首里城の石や瓦を利用


世界遺産から世界遺産へ

勝連城跡を見上げる入り口ゲート広場に新しくできた「フォトスポット庭園」。勝連城跡の特徴的な曲線が美しく撮れる場所に琉球石灰岩の「フォトスポット」があり、脇に琉球庭園がある。

使われているのは首里城の破損石材や瓦だ。造園連の青年部に所属する20代~40代の若手庭師、延べ88人が「世界遺産から世界遺産へ」をコンセプトに作庭。北は岩手県から南は佐賀県まで全国各地から集い、4日間で造り上げた。

企画・立案したのは、うるま市出身の庭師・金城健太郎さん(44)。前青年部長でもあった。「『首里城火災破損瓦等の活用事業』を利用して地元を活性化できないか考えた。仲間の力を借りて、実現できた」と話す。

3月22日に行われた贈呈式には中村正人うるま市長らが参加。「勝連城跡を知ってもらうきっかけになれば」と期待を込めた。



勝連城跡の入り口ゲート前にできた「フォトスポット庭園」。勝連城跡をバックに写真が撮れる石造りのフォトスポットと琉球庭園で構成する


石の色や形で変化付けて

ローメンテナンス

造園連青年部長の齋藤靖士さん(45)は宮城県から参加した。「沖縄の庭造りは独特。まず琉球石灰岩は硬くて加工するのが大変だった。植物もインパクトがある姿のものが多い。なかなか扱えないものなので、勉強になった」と話す。

その硬い琉球石灰岩をアプローチやフォトスポットに使用したほか、琉球庭園の砂利も同岩を砕いて使っている。この白い砂利で水を摸(も)す「枯山水(かれさんすい)」にし、メンテナンスの頻度を減らした。

枯山水内に鎮座する大きな石も同じ琉球石灰岩だが「背景の勝連城跡に合わせて、古く見えるよう色づけした」と齋藤部長。アプローチには、赤瓦も用いてリズムを付けた。

植栽は「ソテツのほか、ヤブラン、モクビャッコウ、オキナワハイネズ、クフェアなど。沖縄らしく、かつ手入れの手間が少ないものを入れている」と金城さん。



アプローチには琉球石灰岩だけでなく首里城の赤瓦も用いた。赤色がアクセントになっている


首里城の破損石材を使った「フォトスポット」。手前の丸い石は柱を支えていた礎石(ニービ石)
 

琉球庭園の部分は、石で水を摸す「枯山水」。白い石は琉球石灰岩を砕いたもので、大きめな景石も同じ琉球石灰岩だが勝連城跡に合わせて色付けした


若手技術者の育成

青年部は若手庭師の技術育成のため、全国各地で庭造りを行っている。昨年は、宮城県仙台市で行われた緑化フェアの庭園コンテストに参加。宮城県松島町の「瑞巌寺洞窟遺跡群」から着想を得てこけむす庭を造り、金賞を受賞した=下写真。


造園連青年部は、各地の作庭技術を継承するために全国で庭造りを行っている。2023年には仙台市で開かれた全国都市緑化仙台フェアに出展。こけむす庭を造った


金城さんは「庭造りの仕事は徐々に減っている。特に地域独自の造園技術の継承が難しくなる中で、技を磨く機会を確保することはとても重要だと思っている。今回は琉球庭園を造るとともに、勝連城跡に残る独自の石積み文化を見直し、発信するいいきっかけになった」と話した。


(一社)日本造園組合連合会青年部が作庭  

3月22日の贈呈式には、造園連のメンバーのほか、中村正人うるま市長らも参加。「新たなスポットを造っていただき、非常に感謝している、多くの人にここで写真を撮ってもらい勝連城跡を知っていただくきっかけになれば」とあいさつした

 

勝連城跡
住所/勝連南風原3807-2


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1998号 2024年4月19日紙面から掲載

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