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2024年3月15日更新

居住支援②|制度活用で地域に相談窓口を[介護を支える 住まいの工夫(31)]

高齢者や障がい者など、住まい探しで困っている人が増えている。県内における居住支援の状況について、県内に九つある居住支援法人の一つである(株)レキオスの下地雅美事業本部長に話を聞いた。

介護を支える住まいの工夫 (31)


居住支援②
制度活用で地域に相談窓口を


家主は事故が不安

「建物の老朽化で退去するよう言われた」「階段を下りることができなくなったので1階の部屋に移りたい」。そんな切実な理由で住まいを探す高齢者や障がい者などが、入居を拒まれ困窮するケースが起きている。

その要因について、家賃債務保証や住宅情報の提供、相談、入居後の見守りなどを行う居住支援法人(株)レキオスの下地さんは、「孤独死が起きると、遺品など残置物の処理や原状回復に掛かる費用が大きく、法的な手続きの難しさなど、家主に掛かる負担の重さがある」と説明。「事故が起きた場合、家主に対してどんな保証があるか、そこが分からないと高齢者の入居を受け入れる住居は増えない」と話す。

高齢者や障がい者など「住宅確保要配慮者」に対する賃貸住宅の供給促進を目的に作られた「住宅セーフティーネット制度」=下記参照=には、「改修費補助など家主を支える経済的支援があるが、それを知らない家主や管理会社も多い」と指摘。さらに、制度の細かい条件や手続きが理解しにくいため、支援が受けにくいことも課題とした。



市町村に協議会を

下地さんは、これら制度を活用するためにも、借り手も貸し手も相談可能な窓口を各市町村に設ける必要性を強調。「『福祉は住宅に始まり住宅に終わる』という言葉がある。住宅部門と福祉部門の連携をうまく図れば、より住みやすい社会の実現につなげることができる」。また、居住問題に関しては、「時代に合わない借地借家法の改正が必要」と訴え、要配慮者の死亡時に借家権が相続されない「終身建物賃借制度」と、死亡後の諸手続きを第三者に委託する「死後手続き事務委任契約」の普及が大事と話す。

沖縄は特に都市部の人口増による賃貸物件の不足が深刻だ。「生活保護世帯の家賃補助は約3万円で、その条件に合う住宅を探すのは困難。住宅セーフティーネット制度の家賃低廉化補助制度を活用して行政が住宅を借り上げ、条件をクリアする物件を増やすことも一考」と提言する。

「居住支援は、行政任せでなく、皆が積極的に関わり、地域全体で支え合う意識を持つことが重要」と下地さん。その一環としてレキオスでは、居住支援の必要性について理解を深めるためのセミナー開催や仲間づくりに取り組んでいる。「大切なのは、地域連携ネットワークがあること。そのために力を注いでいきたい」と語った。





しもじ・まさみ/(株)レキオス事業本部本部長。行政などと連携した居住サポート事業を受託。独自の居住支援や地域の困りごと解決にも取り組む


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1993号・2024年3月15日紙面から掲載

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