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2024年1月26日更新

裁縫通し女性の未来つくる|野原真麻さん((株)islandwarks(アイランドワークス)代表取締役)|家々人々[141]

金融業界からアパレル事業へ転身。2023年には女性の自立支援、縫製技術者の育成を目的に「MAARU FAKUTORY」を立ち上げた(株)アイランドワークスの野原真麻さん(40)。「沖縄を離れてから、沖縄を思い、貢献したいという気持ちが強くなった」と笑顔で話します。

裁縫通し女性の未来つくる

のはら・まあさ/1983年、宜野湾市出身。東京で大学を卒業後、金融業界に就職。沖縄に戻り2018年、アパレル事業(株)islandwarksを創業。宜野湾市にショップを開設し、伝統工芸やアートを活用したオリジナルデザインのかりゆしウエアなどを企画販売。23年、「OLIFE」代表の大坪育美氏と、縫製事業「MAARU FAKUTORY」を立ち上げ、縫製技術者の育成、女性の自立支援に取り組む。


■沖縄で起業した理由は?

宜野湾市で生まれ育ち、東京で大学進学、金融業界へ就職と長く暮らすうち、沖縄がどんどん恋しくなりました。毎月、有志を募って沖縄についての勉強会を開催していたほど。「いつか沖縄に戻り、地域を盛り上げるような仕事をしたい」という思いが強くなりました。

出産後、沖縄に戻ったとき、思い切って自分のやってみたかったことをやろうと思い、起業しました。

子どものころの住まい

3LDKのアパートに両親と妹の4人家族で住んでいた。両親が仕事から帰ってくるまでの間、座卓にミシンを置いて、洋服作りを楽しんだ。


■なぜアパレル事業を?

家政科の教師だった母の影響で、私も中学生のころから自分の服を作っていました。

昨今は、環境負荷の大きい大量生産・大量消費の服でなく、受注生産やリペアしながらでも長く着られるものを求める人が増えています。ニーズはあるのに、それに対応できる縫製技術者が不足している状態で、多くのビジネスチャンスが失われています。

沖縄は戦後、洋裁店やテーラーがたくさんでき、優秀な縫製技術者もたくさんいたのですが、若い人を採用し技術を指導継承する体制が作れませんでした。まずは縫製が選ばれる仕事にする必要があると思います。そのためにも、付加価値のある商品で価格設定し、技術者にしっかりと工賃を払い、仕事として成り立たせる仕組みを構築しなければならない。

付加価値という点で、沖縄の資源や伝統工芸が全部つながっていくような服などが作れたら、世界に誇るクオリティーになる。私はそれに挑戦したいと思っています。


■新しい取り組みとは?

縫製技術者の育成や女性の自立支援につなげていこうと、昨年、アパレル「OLIFE」代表の大坪育美さんと新規事業を立ち上げました。工房を構え生産体制も整えます。

女性は出産、育児、介護などライフステージの変化に振り回されやすい。そのときに自分を持てるような場所を作りたいんです。私も一人で子育てをしていると孤独を感じることがありました。

縫製は学歴や職歴、年齢も関係ない。機械や技術があれば自宅で出来、時間や分量など働き方も自分で選べ、高収入も目指せます。

若年出産やシングルマザーなど、いろんな女性の居場所となり、自分の存在価値を感じられる場所をみんなと一緒につくっていきたいです。


プライベートはこんな顔
 
沖縄にはすばらしい伝統工芸がたくさんある。そのことを沖縄の子どもたちに知ってほしいし、本物にたくさん触れてほしいと思っています。それで、当社の製造工程で出る紅型や織りの生地の端切れを私の子どもの通う保育園に寄付しています。次女は、そんな端切れを使って人形の服作りをするなど、ものづくりを楽しんでいます。


 
◇    ◇    ◇

 
ホッと空間
新設工場で夢を語る
 


ことし1月下旬、野原さんと大坪さんが立ち上げたMAARU FAKUTORYの工場のリフォームが完成。新しく採用したスタッフとともに「事業計画を立てたり、環境整備している時間が今は一番楽しい」と声を弾ませる。


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行 週刊タイムス住宅新聞
第1986号・2024年1月26日紙面から掲載

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