庭・garden
2022年3月4日更新
【自分でつくる庭】夫婦の好みが共演 交流が生む多様性
このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。
比嘉正二さん・悦子さん宅の庭(宜野座村)
樹木と花で役割分担
約300坪で広々とした、比嘉さん宅の庭。植栽を囲む石やセメントブロックなどは、夫婦が並べた
「変わった植物」も仲間入り
宜野座村の比嘉さん宅の庭は、樹木が好きな正二さん(72)と、花が好きな悦子さん(66)が、それぞれの「好き」を育てることで多様な植物を楽しめる庭となっている。
例えば正二さんは、ポットから育てたクロキや、モチノキ、シマヤマヒハツなど地植えの木を手入れ。独特な樹形がおもしろいのは、かつて盆栽だったハリツルマサキだ。最近では「変わったものを」と、県産ポインセチアやポリシャススクテラリアなども仲間入りした。
一方、悦子さんは鉢植えを畑で育て、花が咲いたら庭に並べる。そのため庭の花はいつだって見頃。取材時にはガクアジサイやコートダジュールなどが庭を彩っていた。
小屋では、正二さんがギターを弾いたり、友人とお酒を楽しむ。毎年参加する同村のオープンガーデンの際には、来場者との交流の場にもなるという。
そうして広がった交流の輪の中で「植物をいただいたり、交換したりして、いろいろな種類の植物がいつの間にか集まってくるんです」と悦子さん。交流が、庭の植物の多様性も広げていた。
モチノキ(右手前)。「台風でも葉っぱが落ちない」と正二さん。根元にはサンスベリアや、物々交換で手に入れたムラサキオモトなどが植栽されている
干し場から見た様子。悦子さんは「洗濯物を干しながら、ポインセチアの赤い葉と奥に見える海とのコントラストを楽しんでいます」
盆栽地植えし負担を軽く
正二さんが手作りした小屋。ギターを練習したり、友人とお酒を楽しんだりしている
1年かけて小屋をDIY
若い頃から植物が好きな正二さんは、7年前の退職を機に、本格的な庭造りをスタートした。
まず、全体に敷かれていた芝生は「雑草が混ざって手入れが大変だった」ため、はがして砂利を敷いた。「今では雑草が生えても簡単に抜ける」と喜ぶ。盆栽を地植えしたのも「台風などで避難させたりするのが大変だったから」と話し、広い庭でも負担を減らしながら楽しむ工夫をしている。
小屋は正二さんが1年ほどかけてDIYしたもの。最初は盆栽の植え替えをする場所としての簡素なものだったが、冬の寒さをしのぐため壁を足したりしていった。中のベンチやテーブルも手作りだ。
正二さんは「朝は水まきしながら、夕方はビールを片手に庭を眺めて、次はどうしようかなと考える。その時間が最高なんです」。夫婦の好きが織り交ぜられた庭はこれからも変化し続けていきそうだ。
小屋の内部。正二さんの趣味が詰まった空間になっている
小屋入り口のプレート。絵の得意な悦子さんが描いたもの
和風の趣を感じるエリア。この部分の石組みは家を建てた40年ほど前に、業者に組んでもらった
正二さんが40年以上かけて育てている盆栽。ほかにもたくさんの盆栽の鉢がある
もともとは盆栽として育てていたものを地植えしたハリツルマサキ。独特な樹形が印象的
悦子さんが手入れするエリア。れんがでアーチを描いた部分に貝殻が敷き詰められるなど、かわいらしい雰囲気
オープンガーデン開催
比嘉さん宅を含んだ、宜野座村内16カ所の庭を公開する「宜野座村オープンガーデン2022」が、3月7日(月)~13日(日)の7日間にわたって開催される。期間中何度でも使える観賞パスポート(500円)は、道の駅ぎのざなどで販売中。
問い合わせは、同実行委員会(☎098・968・5125)、または村観光協会(☎098・968・8787)。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1887号・2022年3月4日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。