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2024年1月19日更新

屋外の段差解消|「低い階段」がいい場合も[介護を支える 住まいの工夫(29)]

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は「段差解消」をするときの注意点について、介護リフォームmapの比嘉直臣さんがアドバイスします。

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介護を支える住まいの工夫 (29)


屋外の段差解消
「低い階段」がいい場合も

段差解消=スロープではない

1500件以上の介護保険工事を手掛けてきた比嘉直臣さん。その中でも「段差解消」の依頼は多いと言う。しかし、「階段をスロープにすればいいと簡単に考えている人が多い」と指摘。「スロープにすることで余計に歩きにくくなる場合もある。まずは、介護を必要とする本人にスロープを上り下りする歩行能力があるか、車いすの場合でも本人あるいは介護者が車いすを安全に操作できるかを確認する必要がある」と注意を促す。

スロープの勾配は、12分の1~15分の1が目安とされる。

つまり、スロープを設置するには広い面積が必要で、「実際の現場では1、2カ所で折り曲げる事例が多い」と比嘉さん。「長いスロープを歩くのは、足腰の力が必要。それよりは、1段10~13センチ高さの階段の方が歩くのと同じくらいの負担で済み、人によっては階段にする方がいい場合もある」と語る。

膝の疾患で歩行が難しくなったAさん(80代、女性)の事例もその一つ。最初は外階段の段差を解消するためスロープにしてほしいという依頼だったが、比嘉さんが現場を確認したところ「そのままスロープにすれば傾斜の程度がきつくなり危険だし、かと言って緩やかな傾斜を保てるほどの十分な設置スペースもなかった」と振り返る。比嘉さんは逆に階段の段数を増やす案を提示した。「Aさん宅はスロープの設置が厳しく、歩行途中に安全な状態で休むこともできなかった。そこで、1段20センチあった段差を13センチまで低くし、踏み面も25センチから30センチに広げました。段数は増えても段差が低くなれば膝への負担が減り、安全に両足を置きながら自力歩行ができると判断しました」と振り返る。


動ける住環境がリハビリになる

介助する家族への気後れから外出の機会が減っていたというAさん。段差解消工事を終えた後は、外出の機会が増えたと本人も家族も喜ぶ。そんなAさん家族の様子に「介護に適切な改修工事ができて良かった」と比嘉さんも笑顔を見せる。「歩けるうちは、自力で歩けるように住宅環境を整えることが、本人の身体機能維持という視点から、とても大切なことです。いつもの生活で動ければ、それが自然とリハビリになる」と話す。

比嘉さんは、「介護リフォームは、本人や介護する家族の状況も考慮しながら、理学療法士、作業療法士、経験豊富な業者へ相談し、やり過ぎた改修にならないよう、バランスよく行うことが大事」と呼び掛けた。






ひが・なおとみ/「介護リフォームmap」代表。介護保険住宅改修、申請業務、バリアフリー工事相談対応。介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1985号・2024年1月19日紙面から掲載

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