庭・garden
2023年3月3日更新
沖縄・八重瀬町にある120坪の庭 植物は180種類以上! どこを向いても花いっぱい[自分でつくる庭]
ガーデン のんのん/Nさん宅の庭(八重瀬町)
オレンジ色のカランコエなど彩り豊かなガーデンのんのん。Nさん手作りの通路は、草取りの負担を減らすため、防草シートの上に砂利が敷かれている。奥にはテーブルやベンチもあり、ゆっくり庭を眺められる
庭の入口に置かれた目印。「のんのん」は夫人の名前が由来
起きたらまず庭
保育園の散歩コースに八重瀬町にある「ガーデンのんのん」は、N夫妻が10年かけて育ててきた庭。マツやクロキがベースとなっているものの、主役は色とりどりの花々で、約120坪の敷地いっぱいに咲き誇る。
2月上旬、庭中を巡る通路を歩くと、カランコエやオルレア、シャガなどが足元を彩っていた。目線を上げていくとバラやダリア、華王が花火のように咲き、頭上ではネムノキの仲間がふわふわした花を細い枝の上に並べている。
どこを向いても花があるが、同じ景色は二つとない。それもそのはず、植えられている植物は180種以上。そのため夫人のスマートフォンも、植物図鑑が作れそうなくらい花の写真でいっぱいだ。
そんな夫人の楽しみは朝。「起きたらまず庭に出ます。コーヒーではなく、庭で一息入れて目を覚ます。今日はどんな花が咲いているかな、と毎日ワクワクしています」と目を輝かせながら話す。
庭は誰でも自由に見学できるため、保育園の散歩コースや、近くの住人らの憩いの場にもなっている。「来てくれる人がいるから頑張れるんです」と笑顔を見せた。
花壇の一角。手前は背の低いもの、奥は背の高いものを植えることで立体感を出している
トケイソウの一種=上写真=で形作られたトンネル。散歩で訪れる保育園児たちが、喜んで通り抜けていく人気スポット
10年かけ夫妻で畑を開拓
台風はやり直しのサイン庭づくりのきっかけは母。毎年花の季節になると、夫妻と母親はツツジや桜などを見るために、やんばるまで訪れていた。しかし遠方へのドライブが、だんだん母にとって負担になっていった。
そこで10年ほど前、定年退職した夫妻は家の前の畑を切り開き、庭にすることに。夫人の兄がクレーンで石を並べ、赤土を入れることで、ツツジなどやんばるの植物を育てられるようにした。
それから徐々に範囲を拡大。Nさんが仕切りや通路で区画を整備し、そこを夫人が耕したり堆肥を入れて、花を植え込んでいった。もともと和風の庭にする予定だったというが「花が好きだから花の方が増えていっちゃった」と夫人。Nさんも「園児らが喜ぶように」とかわいい置物を配置していった。
庭には鉢植えもたくさんある。「模様替えがしやすく、見頃な花をいい場所に置ける」のが理由だ。加えて庭づくりのポイントを尋ねてみると「気楽にやること」と夫人は回答。台風襲来時も「休憩時間」と捉え、やり直しのタイミングなんだと前向きに考えるという。毎日暗くなるまで作業してきたかいもあり、昨年の「DIYライフフォトコンテスト」ではガーデニング部門でグランプリを受賞した。
「この庭は生きがいです」と話す夫妻は、今まさに見頃を迎える花々とともに、多くの人が訪れるのを楽しみに待っている。
昨年完成したエリア。木は少なく、花がメインとなっている
シャガ
ライオンズイヤー
メイフラワー(白)
ネムノキの一種
チャイニーズハット
ガーデンのんのんの入り口。奥には畑が広がる
Nさんがミステリーサークルをイメージして作った場所。「作る物はいつも思い付き」とNさん
Nさん宅には和風の庭もある。マツや大きな石、滝など迫力があり、花が主役のガーデンのんのんとは異なる雰囲気
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1939号・2023年3月3日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。