庭・garden
2022年12月2日更新
【自分でつくる庭】自宅カフェの花園 季節で表情に変化
このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。
ガーデンカフェ「NAN・KURU」の庭(うるま市)
庭を彩る珍しい花々
一番奥にある花園。季節ごとにさまざまな種類の花が咲き誇り、庭を彩る。随所に置かれた石像がアクセントになっている。右奥にはあずまやがある
見られることでやる気
うるま市具志川の海岸沿い。鉄製のアーチをくぐると、細い通路が奥へと延びる。通路の脇には、花やリュウキュウマツ、西洋風のオブジェ、廃ボートを利用した水鉢などが並び、訪問者を楽しませる。最奥には花園があり、カラフルな花々が視界いっぱいに広がる。
ここは栄野比園子さん(78)、久保田美由紀さん(56)親子が営む「ガーデンカフェ NAN・KURU」の庭。栄野比さんが長年かけて育ててきた。季節の花が中心で、取材時にはガーベラやペンタス、マンデビラなどが花を咲かせていた。クロバナタシロイモやイランイラン、グロリオーサなど、あまり見かけない花が多いのもおもしろい。
店内の大きな窓からも庭を楽しむことができ、季節ごとに表情を変える庭目当てに来店する人も多いという。キッチンから見える景色が癒やしだという久保田さんは「外で過ごしやすい今の季節だと、花園にあるあずまやから見るのがおすすめです」と話す。
栄野比さんは「カフェのお客さんに喜んでもらえるのがうれしい。見られることで、どんどんやる気も出てきます」と笑顔を見せた。
入り口から見た様子。右手が住宅、左手がカフェ。その間に通路があり、奥まで続いている
クロバナタシロイモ
グロリオーサ
イランイラン
ペンタス
動画サイトで情報収集
ぐるりと回った幹が特徴的なリュウキュウマツ。栄野比さんは「独特な幹を見せたくて、あえて下の方は枝を少なくしています」
花のために薬剤使わず
46年前の新築時、芝庭に通路があるだけで、植栽はほとんどなかった。しかし、植物が好きだった栄野比さんは、いろいろな種類の木立ち性ベゴニアやハナキリンを収集。次第に植物が増えていき、見に来た友人にお茶を振る舞ったりもしていた。
そして8年前、東京の飲食店で働いていた久保田さんが沖縄に帰ってきて、敷地の一角にカフェをオープン。より多くの人に楽しんでもらえる庭になった。
手入れは栄野比さんが一人で行っており、昨年まではマツに登って剪定もしていたという。毎週花屋や植木市を訪れて庭に植える花を探すほか「最近は動画サイトでガーデニングの勉強もしています」
こだわりは、多めの堆肥で土をふかふかにすることと、害虫よけの薬剤は使わないこと。「薬が花に影響するかもしれないので、カタツムリなどは水やりの時に探して駆除します」。そのため毎朝の水やりは1時間20分ほどかかるという。「大変だけど花に囲まれて幸せな時間。元気の秘訣です」と心と体の健康につながっているようだ。
栄野比さんは「花の季節はこれから。もっときれいになりますよ」と目を輝かせた。
廃ボートを使った水鉢。水面には、花びらに毛が生えているような、ガガブタの小さな花が咲く=下写真
あずまやから見た花園。ぐるりと散策できるようになっている
栄野比さんがこれまでに収集してきたハナキリンの一部。それぞれ花の色や柄が異なる
カフェの店内から見た様子。大きな窓の外に鮮やかな緑が広がる
ガーデンカフェ「NAN・KURU」 ☎098・973・4065
取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1926号・2022年12月2日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
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- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。