企業・ひとの取り組み
2022年2月4日更新
沖縄|【ひと】RC改質材や塗料の普及に力|首里 淳治 さん|アクロス琉球(株)|代表取締役
「沖縄の建築物やインフラの長寿命化に貢献したい」と、2016
年、アクロス琉球(株)を創業した首里淳治さん(45)。長年、建築施工現場の責任ある役割を担う中で出合った新技術を携え、沖縄の未来を熱く見つめる。
建物を新技術で長寿命化
首里 淳治さん
アクロス琉球(株)代表取締役
-会社を創業した思いとは?
建造物の長寿命化につながる新技術に出合い、沖縄の将来のために、この技術を広めたいと創業を決意しました。
その新技術がナノテクノロジー技術によるコンクリート改質材「RCガーデックス」と「染めQ塗料」。日本躯体処理(株)が開発したRCガーデックスは、コンクリート表面に塗布すると内部に浸透し、カルシウムイオンと反応してゲル状に固まり隙間を埋める。ひび割れや、水、酸素、塩分など鉄筋腐食の原因が侵入するのを防ぎます。
染めQ塗料は、(株)染めQテクノロジィが開発した技術で、ナノ粒子がさまざまな素材へ密着するので、幅広い場所に活用できます。当社はこれら新技術を活用した取り組みで、沖縄県のSDGs普及パートナーとしても登録されました。
-長年、建築の現場を見てきて感じる課題とは?
建設ラッシュが続く沖縄ですが、環境や資源問題からも、今後はスクラップ&ビルドより、既存建物の寿命を延ばすことが求められています。
高温多湿で塩害の被害を受けやすい沖縄は、コンクリート内部の鉄筋がさびて膨張し破裂する「爆裂」によって、築40年前後で取り壊されるものが多い。既存構造物でもコンクリートの性質を改善し、爆裂を抑制したり、鉄製品のさびの進行を止めることで、強度を保てる当社の技術が大いに役立つと考えています。
-今後の目標は?
新技術の周知、普及に努め、沖縄の建物、公共インフラの延命化へ導きたい。県内ホテルなどでも喜ばれており、コロナ禍で打撃を受けた県経済の一助になればと思います。
欠損しても補修可能|染めQの防さび塗料
染めQのアルミパテで補修した手すり
アクロス琉球(株)は、(株)染めQテクノロジィの代理店として、防さび、塗料の販売・施工を行っている。
さびで欠損した手すりなどの場合、これまでは溶接や取り換え工事をしなくてはならなかったが、染めQのアルミパテを使うことで、上写真のように、元の状態へ戻すことが可能だ。
首里さんは「溶接、取り換えの費用に比べてコストが抑えられ、短期間で工事を行うことができる。一度施工させてもらったホテルや観光施設などは仕上がりの美しさでも喜ばれ、リピートが多い」と笑顔を見せ、「教育・福祉施設、一般住宅でも気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。施工例は同社ブログ(https://acrossryukyu.ti-da.net)で紹介している。
〈プロフィル〉しゅり・じゅんじ/1976年、うるま市出身。1級建築施工管理技士、2級建築士、2級土木施工管理技士、解体工事施工技士、既存住宅状況調査技術者。県内の建設会社で19年間、現場監督、営業に携わった後、2016年8月、アクロス琉球(株)を創業。趣味はサッカー、サーフィン、ゴルフ。
◆アクロス琉球(株) 沖縄市美里3-24-7-105 電話098・987・8611
第1881号・2022年1月21日紙面から掲載