企業・ひとの取り組み
2021年5月7日更新
【ひと】知的財産守り企業を応援|宮川 準さん|INPIT沖縄県知財総合支援窓口 窓口支援担当者
知的財産権の普及に努めるINPIT沖縄県知財総合支援窓口。多くの相談に対応する宮川準さん(53)は、「建築物のデザインを含め、アイデアの権利を守りながら、一つでも多く形にできるようサポートする」と話す。
アイデアや希望を形に
宮川 準さん
INPIT沖縄県知財総合支援窓口|窓口支援担当者
-事業内容は?
技術の「特許権」、形やデザインの「意匠権」、商品ロゴなどの「商標権」といった知的財産を保護するためのサポートをしています。
沖縄はサービス産業が主体なので土産商品など商標権に関わる事案が多いですが、建築に関わるものもあります。
例えば建築金具や換気口、パッキンなど。暑さや湿気、台風など沖縄の環境に合わせたパーツが特許や意匠に登録されています。中でも建築金具は、県内の登録意匠のうち、アクセサリー、置物に次いで多い分野となっています。
また、昨年からは建築物のデザインも意匠権で守られるようになりました。アイデアがまねされないよう産業を守る仕組みの一つとして相談に対応しています。
-仕事の魅力は?
新しい話を聞いたり、頑張っている人たちに会えること。相談に来る人たちは「これからこういうことをやってみたい」と新しいアイデアと希望を持ってやってくるので、ポジティブな話にあふれている。日々新鮮で、僕も前向きな気持ちになります。
一方、今までにないアイデアなので、周囲から「うまくいくわけない」「今ある物で十分」など否定されている人も多い。そんな中で、アイデアや希望をつぶさないよう支援することが僕らの役割だと思っています。
-今後の目標は?
会社としてやっていける製品ができるよう、一つでも多くのアイデアを応援していきたい。うちに来るのは、アイデア豊富で、失敗にめげない人が多い。そんな人たちがここから羽ばたき、僕も関わった製品が一般的になっていたらうれしいですね。
建築も意匠権で保護|外観や内装のデザインが対象
2020年4月から、建物の外観や内装のデザインが「意匠権」で保護されるようになった。対象となるのは、ビルや住宅、ホテル、商業施設など「土地に定着している人工構造物」と、「店舗や事務所などの内装」。ただし、今までになかったものだけが登録でき、既存のものは登録できない。
宮川さんは「現在は特徴的な店舗のほか、大手ハウスメーカーの外観や部分的な工夫などが少しずつ出てきている状態。県内での登録はまだない(4月16日時点)」という。加えて「今後は設計する前に、意匠権を侵害していないか調べる必要が出てくるので注意して」と呼びかけた。
みやかわ・じゅん/1967年、東京都出身。大学卒業後、都内で就職。2012年、沖縄に移住し、県発明協会に入職。以来、INPIT沖縄県知財総合支援窓口を担当。趣味は音楽。
取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1844号・2021年5月7日紙面から掲載
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。