沖縄建築賞
2019年5月31日更新
【第5回沖縄建築賞 表彰式】多忙でも意欲的な作品
県内の優れた建築や建築士を表彰する「第5回沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)の表彰式が5月24日、那覇市久茂地のタイムスビル2階ギャラリーで開かれた。受賞者には賞状と目録、琉球ガラスの盾は受賞者と施主に送られた。
第5回沖縄建築賞の応募作品数は全部で26作品。実行委員長を務めた県建築士事務所協会・野原勉会長は「応募作品が減少傾向にあったのに加え、ここ数年、県内の建築業界は比類ない忙しさ。そんな中で作品が集まるのか心配だったが、若干ではあるものの応募が増加して安心した」と述べた。部門別の応募作品数は、住宅部門14作品、一般建築部門12作品だった。
その中から、最高賞の正賞(賞金20万円)には、住宅部門は金城豊氏(49)が設計した「アカジャンガーの家」、一般建築部門は宮城江利奈氏(37)が設計した「オアシスバンク」が選ばれた。なお、宮城氏は新人賞(賞金5万円)とのダブル受賞を飾った。
金城氏は「こんなに『おめでとう』と祝われたのは人生で初めて。これを励みにこれからも頑張っていきたい」と会場を沸かせた。宮城氏は「素材や工法など新しい挑戦もあって現場での困難もあった。受賞でそれらが報われた思い」と受賞の喜びを語った。
住宅部門正賞「アカジャンガーの家」
一般建築部門正賞・新人賞「オアシスバンク」
受賞の喜び 施主と共有
周りに感謝 地域も喜ぶ
正賞に次ぐタイムス住宅新聞社賞(賞金10万円)には、一般建築部門の中から、「Joy Chapel」が選ばれ、設計を担当した福村俊治氏に賞状や盾などが贈られた。
奨励賞(賞金5万円)は、住宅部門では池間守氏設計の「楚辺のコートハウス」と、久志直輝氏設計の「タテのアマハジで繋がる家」がそれぞれ受賞。一般建築部門では、水間啓氏が設計代表を務めた「JTAドーム宮古島」が選ばれた。
協力者として、施主も表彰された。アカジャンガーの家に住むOさんは「多くの縁がつながってできた家。思いをくみとってくれた金城さんや、家づくりを応援してくれた周りの人たちに感謝したい」。オアシスバンクとして出品された琉球銀行浦添・牧港支店の古堅雄二支店長は「バス待ちに使うなど屋外スペースは地域の憩いの場。イベントでの活用にも力を入れて、より愛される施設にしていきたい」。Joy Chapelの牧師・大城節子さんは「地域の方々からも『ノアの箱舟みたい』と好評ですし、きっと喜んでくれるはず」と、施主たちも受賞を喜んだ。
正賞受賞者によるプレゼンも行われ、金城氏と宮城氏は、写真や図面を使いながら設計のポイントなどを説明。参加者は興味深そうに話に耳を傾けていた。
「アカジャンガーの家」の展示パネルの前で、受賞の喜びを分かち合う設計者の金城氏(右から2人目)・崎浜剛氏(右端)と施主夫婦(左側2人)
宮城氏による「オアシスバンク」のプレゼンの様子
協力者として施主(写真右)にも盾が贈られた
見覚えある建築に興味津々の来場者ら
5月25日から30日までの6日間、タイムスギャラリーで応募全作品が展示された。建築関係者のほか、一般市民らも足を運んだ。展示パネルの前で足を止め、じっくり目を通す姿がみられた。
来場者らは「この建物見たことある」「室内はこうなっているんだ」など、興味津々。那覇市から来た女性は「建築設計に触れる機会が少ないから、いろんな作品が見られて楽しい。自分の家もこんなだったらいいな」と話した。
展示パネルに見入る来場者ら
<第5回沖縄建築賞 入賞作決定>
・【一般建築部門正賞・新人賞】「オアシスバンク」設計者/宮城江利奈氏(渡久山設計)
・【タイムス住宅新聞社賞】※正賞に次ぐ作品「Joy Chapel」設計者/福村俊治氏、具志好規氏(チーム・ドリーム)、知花一史氏(国建)
・【奨励賞】住宅部門 「楚辺のコートハウス」設計者/池間守氏、崎浜国男氏、古後信二氏、宮城和史氏(エー・アール・ジー)
・【奨励賞】住宅部門 「タテのアマハジで繋がる家」設計者/久志直輝氏、國定義弘氏(studio jag 1級建築士事務所)
・【奨励賞】一般建築部門 「JTAドーム宮古島」設計者/水間啓氏、上原直樹氏、那根律子氏、東江直司氏(国建)
・古市徹雄審査委員長から総評
・第5回沖縄建築賞 タイムスビルで全26作品を展示 25日から
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1743号・2019年5月31日紙面から掲載