特集・企画
2026年1月4日更新
【タイムス住宅新聞 2026新春特別号】建てる家を“終の住み処”にしたい ヒントは理学療法士の自宅、RC造を熟知する建築士の提案にあった
建築費が高騰し続ける昨今。それでも新築するなら、「長く住む」ことを見据えて建てたい。今号では、新居を「終の住み処」にするための間取り・設備の考え方や、躯体(鉄筋コンクリート)の劣化を防ぎ長持ちさせる工夫を紹介する。

間取り・設備編
理学療法士・島袋みちるさんの自邸から
車いすや介助者にも優しく
段差や仕切り除去 日々の掃除もラク
理学療法士の島袋みちるさんは「今まで数多くの介護改修の提案をしてきましたが、改修での対応が難しいことも多々ある。やはり、新築時から老後や介護を見据えた造りにするのがベスト」と話す。2年前に建てた自邸は、その経験を反映した。
まずは玄関。上がり框を多角形状にして、玄関とホールの面積を半分に分けた。「どちらにも車いすを1台、置けるスペースを確保しています」と島袋さん。タイヤを拭いたり、車いすを外用・室内用と使い分けたりすることを考慮した。框を多角形状にしたことで「土間に下りなくても玄関ドアを開けられ、靴の出し入れもできるので、今も便利です」
玄関扉ももちろん引き戸

上がり框を多角形状にして、玄関とホールの面積を半分に分けた。理由は「それぞれに、車いす1台分のスペースを確保したかった」。外用・室内用と車いすを使い分けることなどを考慮。框を多角形状にしたことで「土間に下りずに玄関ドアを開けられて便利」と話す
室内は段差や仕切りがなく車いすでも移動しやすい。「転倒を防ぐため、全て引き戸で下にレールのないつり戸にしました。日々の掃除もラク」と話す。

戸は上つり引き戸 収納は戸無しに
島袋邸の戸は、すべて上つり引き戸。開き戸に比べて転倒リスクが少なく、車いすでも開閉しやすい。収納は扉を設けず、カーテンで目隠し。「コスト削減にもなっている」と話す
廊下の幅は85センチ。一般的な車いすの幅が55センチ〜70センチであることを踏まえた。「車いすが余裕を持って通るにはもう少し広い方がいいけれど、我が家は約30坪で、そこまで廊下に面積を割けなかった。ただ、曲がり角は広めにしています。最近は小回りの利く車いすもあるので方向転換も可能」
「いきなり車いすになることは少なく、段階的に変化していく。壁を伝って歩くほか、手すりを使う段階を考えると、廊下などは広過ぎなくてもいいかなと思っています」
島袋邸の戸は、すべて上つり引き戸。開き戸に比べて転倒リスクが少なく、車いすでも開閉しやすい。収納は扉を設けず、カーテンで目隠し。「コスト削減にもなっている」と話す
廊下の幅は85センチ。一般的な車いすの幅が55センチ〜70センチであることを踏まえた。「車いすが余裕を持って通るにはもう少し広い方がいいけれど、我が家は約30坪で、そこまで廊下に面積を割けなかった。ただ、曲がり角は広めにしています。最近は小回りの利く車いすもあるので方向転換も可能」
「いきなり車いすになることは少なく、段階的に変化していく。壁を伝って歩くほか、手すりを使う段階を考えると、廊下などは広過ぎなくてもいいかなと思っています」

廊下や出入口の幅は「伝い歩き」の段階も考慮
一般的な車いすの幅は55センチ〜70センチ。それを踏まえ、島袋邸の廊下幅は内法85㌢。「これくらいの幅だと、伝い歩きもしやすい」と話す。扉は既製品で、有効開口寸法は78.5センチ。
一般的な車いすの幅は55センチ〜70センチ。それを踏まえ、島袋邸の廊下幅は内法85㌢。「これくらいの幅だと、伝い歩きもしやすい」と話す。扉は既製品で、有効開口寸法は78.5センチ。

※建築図面の寸法は「壁芯(壁厚の中央からの寸法)」で書かれていることが多い。「私はこれを実寸と勘違いして、後からの修正が大変だった。実寸も建築士に確認しましょう」と島袋さん
関連記事:沖縄で主流のRC造住宅に長く住みたい! 弱点を知る建築士が挙げるポイントは?
トイレや浴室は寝室そばに配置
また、島袋さんは「間取りを後から替えるのはハードルが高い。特に水回りの改修は大変なので、最低限『トイレ・浴室の位置』は、新築時から老後を見据えて考えた方が良いと思います。我が家は寝室から近い位置にトイレと浴室を配置しました」と話す。
島袋邸のトイレは、車いすでの移乗や介助者のスペースも考えて、便器の片側を少し広めにしている。その分、手洗い場をトイレの外に出して洗面台に吸収した。
「バリアフリー対応の設備は、現実的な予算からかけ離れてしまうこともある。また、病院のようなデザインだったりして、マイホームの理想と異なることも。限りある予算の中でデザインも妥協せず、将来も快適に暮らせる形を目指しました」と話した。

トイレは寝室近く&横に出入り口
島袋さんが特にこだわったのはトイレ。便座の横に出入り口を設けたことで、体の回転が90度で済む(前から入ると180度の回転が必要)。トイレを広くした分、手洗い場を外に出して洗面台に吸収した
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トイレや浴室は寝室そばに配置
また、島袋さんは「間取りを後から替えるのはハードルが高い。特に水回りの改修は大変なので、最低限『トイレ・浴室の位置』は、新築時から老後を見据えて考えた方が良いと思います。我が家は寝室から近い位置にトイレと浴室を配置しました」と話す。
島袋邸のトイレは、車いすでの移乗や介助者のスペースも考えて、便器の片側を少し広めにしている。その分、手洗い場をトイレの外に出して洗面台に吸収した。
「バリアフリー対応の設備は、現実的な予算からかけ離れてしまうこともある。また、病院のようなデザインだったりして、マイホームの理想と異なることも。限りある予算の中でデザインも妥協せず、将来も快適に暮らせる形を目指しました」と話した。

トイレは寝室近く&横に出入り口
島袋さんが特にこだわったのはトイレ。便座の横に出入り口を設けたことで、体の回転が90度で済む(前から入ると180度の回転が必要)。トイレを広くした分、手洗い場を外に出して洗面台に吸収した

トイレは広く取って車いすや介助者が入るスペースを確保。「子どものトイレトレーニング中ですが、この広さのおかげで拭き取りなどもしやすい」

脱衣・ランドリールームには、掃除用の大型シンク「スロップシンク」を設置。身支度に使うことも。足元が開いているので車いすでも使いやすいこともポイント

テーブルは車いすが入れる天板高さ
LDKは仕切りや段差がなく、一体的な空間。隣接する洋室(子ども室)とも引き戸を開ければつながる。ダイニングテーブルや造作のデスクは、車いすの肘置きも収まるよう天板下端の高さを70センチにしている

テーブルは車いすが入れる天板高さ
LDKは仕切りや段差がなく、一体的な空間。隣接する洋室(子ども室)とも引き戸を開ければつながる。ダイニングテーブルや造作のデスクは、車いすの肘置きも収まるよう天板下端の高さを70センチにしている

スイッチ低く コンセント高く
コンセントは通常より少し高めの40センチに、スイッチは少し低めの100センチに設置。屈んだりする動作の負担軽減と、車いすでも手が届くよう配慮した
寝室やリビングからも外出可
玄関の段差は土地の形状や建物の構造上、なくすことができなかった。そのため、必要になったら福祉用具の可動式スロープや、リビングの掃き出し窓から駐車場までスロープをつけることも考えている。寝室にも掃き出し窓を設置したのは「介護サービスなどを利用する際、ここからも出入りできるようにしました」
島袋さん「将来的に歩行が困難になったり、車いすになったりしたときのことを考えて、間取りや建具・家具を検討しました。予算と面積には限りがあるので取捨選択しながら、今も将来も快適に使えるようにしています」
コンセントは通常より少し高めの40センチに、スイッチは少し低めの100センチに設置。屈んだりする動作の負担軽減と、車いすでも手が届くよう配慮した
寝室やリビングからも外出可
玄関の段差は土地の形状や建物の構造上、なくすことができなかった。そのため、必要になったら福祉用具の可動式スロープや、リビングの掃き出し窓から駐車場までスロープをつけることも考えている。寝室にも掃き出し窓を設置したのは「介護サービスなどを利用する際、ここからも出入りできるようにしました」
島袋さん「将来的に歩行が困難になったり、車いすになったりしたときのことを考えて、間取りや建具・家具を検討しました。予算と面積には限りがあるので取捨選択しながら、今も将来も快適に使えるようにしています」

島袋みちる/理学療法士として、機能訓練事業所「ジョブトレ」に勤務。脳卒中認定理学療法士、両立支援コーディネーター、脳卒中当時者会おきなわ主催、心のバリアフリーステッカー沖縄代表
編集/東江菜穂
毎週金曜日発行『週刊タイムス住宅新聞』 2026新春特別号
第2087号 2026年1月4日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:384
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。










