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2019年5月24日更新

【第5回沖縄建築賞】奨励賞・一般建築部門/「JTAドーム宮古島」(宮古島市)/水間啓氏(61)/ 国建

県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。全26作品の中から、第5回の入賞作品6点が決定した。奨励賞を紹介。ガラス張りの中庭で空間に広がりを持たせたついのすみか、上下の半戸外空間をつなぐ大きな壁が特徴的な住宅、地域の多様なイベントに対応する多目的ドームが選ばれた。

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第5回沖縄建築賞の受賞作品

ドーム外観。外壁正面に入れた斜めの柱は、沖縄古民家の竹垣「チニブ」を参考にした構造デザイン。写真右の緑地帯は蒸発散処理設備で地下水を汚さずに汚水処理する​

奨励賞・一般建築部門
「JTAドーム宮古島」(宮古島市)

市民の使いやすさ重視 全天候の多目的ドーム

省エネ・災害時避難に配慮
「スポーツアイランド宮古島」推進の一環でスポーツ観光交流拠点として整備された同ドーム。設計代表である水間啓氏は「市民にとって使いやすい多目的ドームを目指した」。アリーナは約4000平方メートル、フットサルコートが2面取れるほどの広さだ。

立体トラス構造の大屋根の中央には二重膜が張られ、自然光を柔らかく取り込んで日中の電力消費を抑える。また、天井には吸音板を使用して音響効果を高め、音環境は日本武道館並みだという。収容人数に合わせて空調を切り替える設備を導入し、利用者の快適さを重視した。現在、トライアスロン大会の式典だけでなく、地元中学校吹奏楽の演奏会など、幅広いイベントに利用されている。

審査委員らは「熱や音の環境が考えられていて、多目的な利用を可能にした設計。エコアイランドを目指す宮古島で、過剰なエネルギーを使わない環境的配慮がされている」と評価した。

宮古空港からのアクセス道路には太陽光と風でともる外灯が並ぶ。緑地帯も兼ねる汚水処理装置は災害時の衛生面に寄与する機能を有する。



アリーナの様子。人工芝で覆われているが、バスケットボールなど各種イベントに対応するため、イベント用床パネルを常備している




設計者代表/水間啓氏(61)
国建

地域に根差した県内企業として宮古島市の取り組みのお手伝いができ、地元の施工業者と力を合わせて完成した施設を評価していただき、うれしい。たくさんの人が利用していると聞いて感無量です。これからも地元のために尽くしていきたいです。

 

審査講評・西里幸二氏 奨励賞・一般建築部門

JTAドーム宮古島

「スポーツアイランド宮古島」の拠点施設の一つとして計画されたドーム施設。スポーツレクリエーションを始めとして、産業まつり各種スポーツ大会、コンサート会場として利用される。
躍動的でシャープな、頂点を膜構造としたドーム屋根を持つ姿が美しい。
ドームは立体トラス構造で構成され、頂点にある膜屋根は二重膜構造となって内部全体に柔らかな光を取り入れている。またこの立体トラスと2重膜は、この施設の重要なシステム、空調、音響計画に大きな役割を持たせている。
東京の武道館を現地調査し、同等の音響効果を得るための工夫が図られ、県内一といわれるその効果は各種コンサートが開かれる等この施設の重要な役割を果たしている。
もう一つの大きなテーマが「エコアイランド」。
この島は、地下水が豊富でその大部分は地下ダムとして利用されている。浄化槽システムとして考案された「蒸発散排水処理装置」はこの地下水にも影響を与えないよう配慮された
提案であると評価したい。
しかし、この施設は現在大くの雑草に覆われ、どのような意味のある空間なのか周囲からは想像すらできない。この施設の役割を利用者に知らせてエコアイランドを認識させことも重要
なことではないかと感じる。
この建物は、高評価に値するが、外構設計も含めた全体計画に物足らなさを感じることは残念である。
 

 

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1742号・2019年5月24日紙面から掲載

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