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2019年5月24日更新

【第5回沖縄建築賞】古市徹雄審査委員長から総評

県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」(主催/同実行委員会)。全26作品の中から、第5回の入賞作品6点が決定した。住宅部門正賞には金城豊氏の「アカジャンガーの家」が、一般建築部門正賞には宮城江利奈氏の「オアシスバンク」が選ばれた。

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自然と連続する提案多

2015年に沖縄建築賞が設立されて以来、私は審査委員長の要職を拝命し、今年で最後になります。

振り返ると作品の質は確実に上がってきています。これも賞の持つ力で、今後も続いてほしいと思います。

沖縄には、独自の歴史と伝統を持つ建築が存在していましたが、台風や火災に対する優位性から、戦後はコンクリート建築が普及。空調機も利用されるようになり、伝統的建築が失われてしまいました。

しかし、今回の応募案にはコンクリート建築においても、伝統建築のアマハジ(屋外テラス・バルコニー)などを取り入れることで、自然と連続する提案が多く見られました。これらは年々増え、沖縄建築の新たな表現として定着しつつあります。省エネ、ひいては二酸化炭素削減にもつながり、この賞の新しい側面となっています。

最後に、新たな沖縄建築の文化が確実に育つことを期待しています。5年間、お世話になった皆さまへの感謝も加えたいと思います。沖縄建築賞が今後ますます社会に認知され、権威ある賞になっていくことを祈りながら。


ふるいち・てつお/1948年、福島県生まれ。75年、丹下健三都市建築設計研究所入所。88年、古市徹雄都市建築研究所設立。2001~13年、千葉工業大学専任教授。日本建築家協会沖縄支部顧問


快適さ・技術に注目

4月5日の書類審査で選ばれた住宅部門5作品と一般建築部門5作品の合計10作品について、8人の審査委員らは4月22日と23日の2日間にわたって現地審査を行った(離島は19日)。設計者から施主の家族構成や敷地の立地特性を踏まえたコンセプトを聞き取り、空間構成や施工の細部を確認した。

住宅部門では部屋の大きさや移動のしやすさを体感しながら、住み手の快適さを確認。周辺からの視認性や風や光の取り込み方の工夫にも注目していた。

一般建築部門では、建材や構造などテクニカルな点での質疑を積極的に交わしていた。新素材や技術を使った挑戦的な作品に感嘆の声が上がった。



現地審査で設計者から話を聞く審査委員ら


第5回沖縄建築賞 審査委員
委員長
古市徹雄氏(建築家)
副委員長
小倉暢之氏(琉球大学名誉教授)
委員
名嘉睦稔氏(版画家)
能勢裕 子氏(彫刻家)
西里幸二氏(県建築 士会会長)
野原勉氏(県建築士事務 所協会会長)
當間卓氏(日本建築家 協会沖縄支部支部長)
石川達也氏(タイムス住宅新聞社代表取締役社長)



 

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1742号・2019年5月24日紙面から掲載

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