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2024年11月29日更新

鉄筋コンクリート造特集|宅地・道路造成に不可欠な擁壁|(株)キョウリツ

地形の起伏が激しく、面積が小さい沖縄。高低差のある土地や傾斜地などに宅地や道路造成する際、必要不可欠なのが「擁壁(ようへき)」だ。

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宅地・道路造成に不可欠な擁壁
(株)キョウリツ


キョウリツが独自開発した「ゴールコン擁壁」は高さ50センチのブロック(全13種)を積み上げて、擁壁を成形する。鉄筋を基礎に固定、空洞の空いたブロックを通した後、コンクリートを流し込んで一体化。ブロックの積み方を工夫し、より高い強度を確保する(下模型参照)


擁壁の下部に高い土圧がかかることから、鉄筋を通す空洞が多いブロックを下から順に積み上げ、9メートルの擁壁も実現する


独自技術 県外にも発信

 地  形の起伏が激しく、面積が小さい沖縄。高低差のある土地や傾斜地などに宅地や道路造成する際、必要不可欠なのが「擁壁(ようへき)」だ。

その一つに(株)キョウリツ(うるま市)が独自技術で開発した「ゴールコン擁壁」がある=上写真。コンクリートブロック積みで、擁壁の高さは1メートルから最大9メートルまで調整可能。一枚板の擁壁と比べて、運搬が難しい狭小な土地にも施工できるなど、性能や安全性などから国土交通大臣認定を受けている。同社の内山忠明専務は「コンクリートの強度などの品質を毎日、確認。プレキャストコンクリート(PCa)=下囲み=の強みを生かし、高品質の擁壁で安心・安全なまちづくりを支えています」と話す。

施工は基礎を造り、突出させた鉄筋にブロックの空洞を通しながら積層。コンクリートを流し込み、ブロックと鉄筋を一体化させて、擁壁を成形する。また、高強度などを確保するため、ブロックは全13種と細分化している。「土圧は擁壁の下部ほど大きくなるため、空洞の数が多いブロックを下から順に積み上げていく。鉄筋などとの接合箇所を増やすことで、強度を落とすことなく、高さ9メートルの擁壁を造れます」。

この技術は他府県にも提供し、県内はじめ全国のまちづくりに貢献している。内山専務は「東日本大震災でも宮城県内に施工したゴールコン擁壁にずれは生じなかった。今後も『大切な人の明日を守るために』をモットーに、技術者一人一人が厳しい目で製造・管理する体制を徹底していく」と力を込める。


国土交通大臣認定を受けた「ゴールコン擁壁」の施工例。垂直に施工できるため、限られた土地でも駐車場を広くとることが可能


雨水が土圧を高め
表面に水抜きの穴は必須


ゴールコン擁壁のほかに、国土交通大臣認定のL型擁壁「ニューウォルコン6型」と「ハイ・タッチウォール」も製造している=下写真。3種類とも垂直に施工可能なため、「擁壁を斜めに設置するより水平面が広くなり、土地を有効利用できる」。さらに、「盛土規制法(通称)」に基づき、指定される「規制区域」では安全性から認定擁壁以外は使えない。現在、県内に規制区域はないものの、「今年調査が実施され、崖崩れなどが起こる恐れのある場所は指定される可能性もある」と内山専務。

また「排水機能がしっかりしている擁壁を選んでほしい」とも。倒壊のリスクを高める主因は①地震②土圧③水だが、「擁壁の表面に水抜き穴がないと、雨水が土中に滞留したまま。擁壁にかかる力が一気に高まったり、地盤が緩んだりと災害につながりかねない」と話した。


施工した擁壁「ニューウォルコン6型」。豪雨などで土壌に水たまらないよう、擁壁の表面には水抜き用の穴(赤○部)が空いている


「ハイ・タッチウォール」の施工例。PCa製品は運搬後、大型のクレーンで設置し、金物などで緊結する


キョウリツの工場で製作するL型擁壁の様子。擁壁以外にも側溝や防火水槽などのPCa製品を製造しているほか、コンクリートも生産している​

◆  ◇  ◆  ◇  ◆

PCaとは?
プレキャストコンクリート(PCa)製品とは工場で事前にコンクリートを成形した建設資材のこと。

品質保証の証しとして、製造した製品一つ一つに製造会社名、JIS(日本産業規格)などの認証マーク、製造年月日を押印する。



メリット
①品質が安定
品質管理の行き届いた工場でJISの品質管理基準に従って加工。コンクリートの練り混ぜから養生までを行う。基準以上の強度が確保されているかどうかも試験も行い、ふるいにかけた高品質の製品のみ出荷する。


②悪天候でも生産可能
①に関連して、コンクリートが硬化していく過程で影響を及ぼす雨水や日射などに左右されず、生産できる。また、工事現場で基礎工事を行いながら、必要なPCa製品を製造できるほか、ストックしておくことも。


③工期を大幅に短縮
工事現場でコンクリートを型枠に流し込む「現場打ち」と比べて、PCa製品は現場で組み立てるだけ。型枠工事やコンクリートの養生期間など作業工程を短くできる。


④規格を柔軟に変更
規格化された製品だけではなく、現場ごとに施工しやすいよう寸法調整、デザインなどを考えて製造することもできる。

 
◆  ◇  ◆  ◇  ◆





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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2030号・2024年11月29日紙面から掲載

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