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2024年11月29日更新

鉄筋コンクリート造特集|鉄筋コンクリート造のメリット|構造のはなし RC造編

沖縄の家づくりの代表的な構造体である「鉄筋コンクリート(RC)造」。建築士の根路銘安史さんに特徴やメリットについて分かりやすく解説してもらった。※この記事は、2016年12月23日から2017年3月24日まで連載された「構造のはなし RC造編①〜④」の記事を再編集し加筆してもらったものです。

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 鉄筋コンクリート造のメリット 

沖縄の家づくりの代表的な構造体である「鉄筋コンクリート(RC)造」。建築士の根路銘安史さんに特徴やメリットについて分かりやすく解説してもらった。※この記事は、2016年12月23日から2017年3月24日まで連載された「構造のはなし RC造編①〜④」の記事を再編集し加筆してもらったものです。


揺れ少なく表現も多彩
鉄とコンクリートの良さ融合

 鉄  筋とコンクリートで作られた構造体、鉄筋コンクリートは「Reinforced Concrete」といい「補強されたコンクリート」の意味でRCはその頭文字です。コンクリートの弱点を鉄筋で補っており、次のような特徴があります。


建物の一部をアーチ型にしたコンクリート住宅。RC造だからこその形状


頑丈で災害に強い

コンクリートは圧縮強度が強い半面、引っ張り強度が弱く、鉄筋は引っ張り強度が強いので互いの弱点を補い合うことが可能。地震や台風時に建物の揺れが少ない特徴があります。また、コンクリートは鉄骨や木材に比べ耐火性にも優れており、白アリ被害もほとんどありません。気密性や水密性もあり、台風の多い沖縄では安心感を持って住むことができるのが魅力です。

コンクリートは蓄熱し冷めにくい性質があるため、室内が暑くなるのではと考える方もいると思います。ですが、今はルーバーや花ブロックなどで壁を二重にすることでコンクリートに熱を与えない工夫のほか、屋根や壁に断熱材などを用いて熱を取り込まない省エネ住宅に進化してます。

自由な設計

RC造の建物は型枠に生コンを流しこみ、壁や床、天井などを形づくることで建てられます。材料が直線的な鉄骨造や木造と違い、型枠次第でプランにあった形状や構造を自由に選択できます。

構造にはいくつか種類があり主なものとしてはラーメン構造と壁式構造があります。

ラーメン構造は室内に壁のない自由な空間や、開口部を大きくとることができ、内部の仕上げや設備の取り替えなどのリフォームも比較的容易に行えます。壁式構造は柱や梁のような出っ張りがなく、プランによっては経済的になります。工法はこれ以外にも存在し、目的により使い分けられています。

表現方法も構造体の地肌を見せる打放しや普通型枠など、使う型枠の材料次第でコンクリート表面をいろいろなテクスチャーに変えられます。

 ラーメン構造 

柱や梁、床スラブというフレームで構成。開口部を大きくとることができるのが特徴。しかし、柱や梁が出っ張ってしまう場合も

 壁式構造 

壁や床スラブで構成される造り。耐震性があり、天井面の出っ張りが出ないため、連続的な空間が可能である。写真のように天井弧を描く一枚の曲面スラブも可能。一方、リフォームの際に制限がかかる場合も


定期メンテで長寿命

そんな鉄筋コンクリートの弱点は、水分と塩分です。鉄筋コンクリートは、鉄筋をアルカリ性のコンクリートで覆うことでさびを防ぐ効果があります。しかし、水分と塩分が多い状態が続くと鉄筋がさび、爆裂などのリスクがあります。

対策は、水や塩分などの侵入を抑えること。例えば、建築時に水と砂を極力減らした密度の高いコンクリートを使うほか、フライアッシュや高炉スラグなどの混和材を混ぜて混合セメントを使うのも手。混合セメントを使うと密度が高くなり、CO2削減効果もある。台風通過後に建物全体を水洗いして塩分を流すことや、コンクリートのひび割れを早めに埋めることも重要。こうした対策を行うことで海に囲まれた沖縄でも、子孫まで住み継げるRC造が可能になると考えます。
 
◇  ◇  ◇

1月の能登地震や今月の国頭村の水害など災害が身近な昨今、すぐ公助が届かないのが離島県の沖縄。地震で倒壊せず、火災に強く、津波でも流されないRC造をいかに造り、守り続けるかを考えていく必要があります。


左側が密度の高いコンクリートの断面。右は一般的なコンクリートの断面。左側には空気の小さな穴がほとんどみられず、強度も耐久性も高い


メンテナンスをこまめに行っている米軍の基地の建物。69年たってもひび割れなどがみられない



執筆者
ねろめ・やすふみ/アトリエ・ネロ代表。一級建築士。ヘリテージマネージャー。高品質なコンクリートづくりに取り組む。


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2030号・2024年11月29日紙面から掲載

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