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2025年4月25日更新
不思議な温かみとあふれるユーモア|アートを持ち帰ろう(49)
文/本村ひろみ
不思議な温かみとあふれるユーモア

「人の木」
333ミリ×242ミリ
33000円(税込み)
33000円(税込み)
“まきやしほワールド” に癒やされる
アーティストまきやしほはいろんな顔を持っている。絵を描いたり、木工や粘土で作品を作ったり、切り絵をしたり、文章や詩も書く。そのうえトランペットも演奏する。多才な人だ。クスッと笑える文とイラストでつづった「50音のうた」は私の大切な一冊。彼女の作品はユーモアにあふれ、ほのぼのとしていて眺めていると肩の力が抜ける。そんな“まきやしほワールド”を家に持って帰って、慌ただしい日常の「憩いの空間」に作品を並べておきたい。間違いなく疲れが癒やされるはずだ。
「もののあはれ」な発想
2月に開催されたまきやしほ絵画展「人の木」。コンセプトは、「変化していく環境や崩れていく生態系の中で、人がどうなっていくのかと考えたとき、“人が木になる”という情景が浮かんだ」と話してくれた。東洋には、森羅万象、草木、山河も含め自然の全てが人と一体であるという思想がある。なるほど、まきやの植物を擬人化する発想からは「もののあはれ」(美しさや喜びだけでなくはかなさや切なさも含む感情)に通じるものがある。ユーモアとペーソス(悲しみ)が混ざり合った甘じょっぱい感覚は私たちをひきつけ、心に染みる。

「人の木たち」
970ミリ×1900ミリ
110000円(税込み)
110000円(税込み)

「にんじん鳥、憩いの木」
410ミリ×318ミリ
44000円(税込み)

「花に咲くトリオ」
333ミリ×242ミリ
33000円(税込み)

木工作品
各3300円(税込み)
ところで彼女の雰囲気も、自身の作品世界の住人のような不思議な温かみがある。今の時代、アーティストの個性は展示会に行きたくなる大切な要素だ。だからと言って誰にでもそれができるものではない。作品の「味がある」というのも、ちょっとやそっとの演出で作り出せるものではない。内からにじみ出てくるものだから。いま私はきっと、彼女の独特な世界観にやられている。
アーティスト・まきやしほ
まきやしほのぜんぶぜんぶ展
2015年に初の個展を開催してから10年。今までの作品をずらっと並べてみます。
会期5月3日(土)~25日(日)*毎週火曜日、18日(日)定休日
平敷兼七ギャラリーで 入場料¥500
詳しくはインスタグラムでチェック
https://www.instagram.com/makiyashiho/
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2051号・2025年04月25日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。