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2024年11月29日更新

鉄筋コンクリート造特集|50年超 インフラの資材供給|(株)技建

創立は1971年。本土復帰直前に産声を上げた(株)技建(南城市)は以後、インフラに欠かせない建設資材である生コンクリート、プレキャストコンクリート(PCa)製品などを製造してきた。「自然との調和を求めて…新しい時代の新しい技術」を社訓に掲げ、暮らしやすい沖縄の実現にまい進している。

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50年超 インフラの資材供給
(株)技建


技建が製造してきたPCa、PC製品の事例。右上から時計回りに、南風原町にある沖縄県公文書館の外壁、那覇市の県立博物館・美術館の外壁、恩納村に建つ沖縄科学技術大学院大学の地下にある遊水池、与那原町にある橋梁。規格化された製品だけではなく、デザインやサイズをオーダーすることもできる


地中の電線・水路も守る

 創  立は1971年。本土復帰直前に産声を上げた(株)技建(南城市)は以後、インフラに欠かせない建設資材である生コンクリート、プレキャストコンクリート(PCa)=下囲み=製品などを製造してきた。「自然との調和を求めて…新しい時代の新しい技術」を社訓に掲げ、暮らしやすい沖縄の実現にまい進している。

同社の津波古充仁常務は「特に、PCaは縁の下の力持ち。土木・建築物などのハード面だけではなく、電気や水とライフラインの安定供給にも欠かせない」と話す。橋桁や橋脚、公共建築物の構造材などから、地中を通る通線や水路を守るボックス状のコンクリートと、「目に見えない場所まで使われています」。

手がけている製品は実に豊富だが、中でも住宅の建築コスト削減につながるのが「PCa柱壁部材」=下写真。構造体の基礎、柱、壁が一体となっているため、現場でコンクリートを流し込む工法よりも工期短縮・建築費を削減できる。中規模のオフィスなどにも使用、「室内に柱を設ける必要がなく、間取りを自由に変更できる」。治水対策では地下に遊水池を造るため、「サイズを調整し、敷地ごとに最適な製品を提供しています」と柔軟に対応している。


「PCa柱壁部材」を設置直後の現場写真


上写真後、鉄骨の梁(はり)などを通して固定し、コンクリート床を施工すると構造体が完成する。一戸建ての場合、構造体工事は作業員5人ほどで行え、3日前後で終わる


弱点の「引張力」を克服
高耐久性のコンクリートも


多彩なPCa製品だけではなく、耐久性に優れた「プレストレストコンクリート(PC)」の技術は県内でいち早く導入した。

PCは事前に圧縮力を与えることで、コンクリートの弱点である「引張力」を克服。普通の鉄筋コンクリートよりも外力による変形にも耐え、「ひび割れが生じにくく、必要に応じて引張力が発生しないように調整することも可能」。柱と柱の間隔を広く取りたい工事で活躍する。「港湾近くの海上橋は下を船が通るため、橋脚の間隔を広くとる必要がある。橋の上を行き交う無数の車両の重量にも耐え、陸と海の安心な交通環境を実現しています」。最長27メートルの橋桁のほか、外壁や日よけのパーゴラなどの比較的サイズが小さいPC製品も製造している。

津波古常務は「今後も沖縄の持続可能な発展に貢献していきたい。そのためには環境負荷を抑えながら、高品質の建設資材を造ることが急務」と意気込む。50年以上蓄えてきた確かな技術・知識を礎に(株)技建の挑戦は続く。


電線共同溝の施工様子。ボックス状のコンクリート内に電線を収容し、ライフラインの安定供給を支える


 
◆  ◇  ◆  ◇  ◆

PCaとは?
プレキャストコンクリート(PCa)製品とは工場で事前にコンクリートを成形した建設資材のこと。

品質保証の証しとして、製造した製品一つ一つに製造会社名、JIS(日本産業規格)などの認証マーク、製造年月日を押印する。



メリット
①品質が安定
品質管理の行き届いた工場でJISの品質管理基準に従って加工。コンクリートの練り混ぜから養生までを行う。基準以上の強度が確保されているかどうかも試験も行い、ふるいにかけた高品質の製品のみ出荷する。


②悪天候でも生産可能
①に関連して、コンクリートが硬化していく過程で影響を及ぼす雨水や日射などに左右されず、生産できる。また、工事現場で基礎工事を行いながら、必要なPCa製品を製造できるほか、ストックしておくことも。


③工期を大幅に短縮
工事現場でコンクリートを型枠に流し込む「現場打ち」と比べて、PCa製品は現場で組み立てるだけ。型枠工事やコンクリートの養生期間など作業工程を短くできる。


④規格を柔軟に変更
規格化された製品だけではなく、現場ごとに施工しやすいよう寸法調整、デザインなどを考えて製造することもできる。

 
◆  ◇  ◆  ◇  ◆





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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2030号・2024年11月29日紙面から掲載

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