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2023年12月29日更新

[全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長にインタビュー]空き家問題を専門家が解決

国によると、名護市の空き家率は全国と比べても高いことが判明。名護市の空き家問題解消を目指そうと今秋、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部が設立した。同支部事務局長の山入端学さんに現状と取り組みを聞いた。

山入端 学(やまのは・まなぶ)
(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長、(同)城コーポレーション代表社員、沖縄県宅地建物取引業協会会員、北部地区業者会副会長


-設立経緯は?

現在、日本では住宅数が世帯数を超え、空き家問題につながっています。放置された空き家が、倒壊の危険性や不法投棄による治安悪化などで地域に不安や悪影響を与え、さまざまな問題の要因になっているのです。

総務省の2018年度土地統計調査によると、名護市の空き家数は4920戸、空き家率で14・9%となっており、全国平均の13・6%と比べても非常に高い。そこで、全国の自治体と協定を結び、空き家対策の課題解決に取り組んでいた一般社団法人「全国空き家アドバイザー協議会」(東京都)のノウハウや仕組みを活用し、名護の空き家問題解消を目指そうと、今年10月、各専門家が結集し、同協議会の名護支部として設立されました。


-協議会名護支部の強みは?

当協議会名護支部の会員は11人。不動産業、司法書士、設計士、建築業、解体業、霊園業、片付けリサイクル業など、空き家問題に関連するほとんどの業種がそろっており、空き家問題の相談から解決までワンストップで対応できる、専門家集団であることです。

会員は空き家対策の専門家として資格を取得しているだけでなく、常々、勉強会や定例会を通して、各地域の取り組み事例や成果などの情報を共有し、実際の取り組みに生かしています。


 定例会でスキルアップ 

名護支部は毎月1回の定例会で、空き家問題解消事例を学ぶなどスキルアップにつなげている


-どんな相談が多い?

空き家問題は相続問題と言っても過言ではありません。空き家を取得した経緯を調べると、約55%が相続でした。沖縄の場合は、70~80代で相続を受けるケースも少なくありません。親が亡くなってから相続の話し合いが行われる場合が多く、それ以降から浮上した相続人同士の争いや税金、建物解体の費用など、さまざまな問題を解決するまで数カ月から数十年も空き家になり、困り果てて相談されることが多いと感じます。





-印象に残る解決事例は?

離島に単身赴任する男性から、親の他界で実家が数年間放置されていると相談がありました。相談者と不動産業会員、霊園業会員とリモートで2回の面談を行いました。実家には仏壇や残留物もあるとのことでしたので、次回、相談者の帰省時に建物内部も確認させてもらい、整理を進めることに。今後はリフォーム修繕業会員とも打ち合わせをしながら、賃貸物件にしていく方向です。各専門家のアドバイスを受けた相談者の安心した様子に、私どもも支援できた喜びを感じました。


-読者に一言アドバイスを

実家、仏壇、お墓、相続など終活の話し合いは親が60代、子が40代が理想と言われています。60歳で相続し、相続税、建物解体費用などの支払いが80歳まで続くことも少なくありません。相続により発生するさまざまな問題を解決するには、気力、体力、経済力と時間が必要です。

親が元気で、子どもが働けるうちに、子孫まで問題を先送りしないよう、早めに全国空き家アドバイザー協議会へのご相談をおすすめします。



毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 年末年始特別号
第1982号 第1集 2023年12月29日紙面から掲載

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