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2024年9月20日更新

[介護を支える 住まいの工夫㊲]緊急医療情報キット|救急隊の迅速対応につながる

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回はケアマネジャーで防災士でもある喜納剛さんが活用を呼び掛ける、在宅介護の安全性を高めるツール「緊急医療情報キット」を紹介する。

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緊急医療情報キット|救急隊の迅速対応につながる

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回はケアマネジャーで防災士でもある喜納剛さんが活用を呼び掛ける、在宅介護の安全性を高めるツール「緊急医療情報キット」を紹介する。

医療情報を一括管理

「緊急医療情報キット」とは、個人の医療情報や緊急連絡先などを記入してプラスチック容器などに入れ、冷蔵庫などの決まった場所に保管しておくもの=左囲み。災害時や救急搬送時に迅速な対応を可能にする重要なツールとなる。

ケアマネジャーで防災士でもある喜納剛さんは、「救急車を呼ぶとき、家族を含めて冷静でいられないことが多い。かかりつけ医や服用中の薬など、重要な情報を即座に伝えられないケースがある。キットがあれば、救急隊員が迅速に必要な情報を把握でき、命を守る確率が高まる。ぜひ備えてほしい」と呼び掛ける。

大規模災害時に避難者の心身のケアに当たる沖縄県災害派遣福祉チーム「DWATおきなわ」の一員でもある喜納さんは、「キットは災害時の避難所でも便利。避難所では保健師が健康状態や服薬情報を確認するが、このキットがあれば、素早く正確な情報提供が可能になり、例えば、持病などで特別なサポートが必要なとき、支援につながりやすくなる」と説明する。
 

沖縄市で無料配布している「緊急医療情報キット」の情報シート



命を守る備えとして

キットは、沖縄市や西原町、那覇市などが無料配布している。情報シートはウェブサイトからダウンロードが可能な自治体も多く、記入したものをぬれない保存袋に入れ、冷蔵庫に保管することもできる。記入にあたっては「障がいや持病、アレルギーなどの情報を詳細に記入することが重要。特に伝えたいことは追記しておくこと」。また、定期的な情報更新も欠かせない。「病状の変化や連絡先の変更があれば、すぐに反映しておくことも大切」と喜納さん。

保管場所も重要なポイントだ。「どの家にもあって探しやすい、台所の冷蔵庫に保管するのが一般的。ただ、飲み物で埋もれないよう、専用の場所を確保すること。救急隊が見つけやすいよう、ステッカー=写真左=などを玄関や冷蔵庫の扉など、目立つ場所に貼ることも大切」と話す。

キットが家族で話すきっかけにも。喜納さんは「記入しながら、普段は話しづらい終末期医療の希望などについても話し合えるかもしれない」と提案。活用を呼び掛ける。


「緊急医療情報キット」のステッカー


「緊急医療情報キット」の保管容器。診察券や保険者証のコピー、服用している薬の情報提供書のコピーなども入れておこう。自身で記入した場合は、緊急連絡先として記載した家族にも報告しておくのを忘れずに。




きな・たけし/CAREPLAN RESPO代表。主任介護支援専門員。沖縄県介護支援専門員協会理事。災害支援介護支援専門員。防災士。沖縄県災害派遣福祉チーム員。


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2020号・2024年09月20日紙面から掲載

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