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2024年10月18日更新

福祉用具利用者へのアンケートから|福祉用具で自立と社会参加[介護を支える 住まいの工夫(38)]

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介する。今回は、福祉用具利用者へのアンケートを行った作業療法士の金城知子さんが、自立支援機器や介護リフトの可能性について話した。

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介護を支える住まいの工夫 (38)


福祉用具利用者へのアンケートから

福祉用具で自立と社会参加


移動・移乗が困難 我慢やあきらめに

福祉用具を利用する障がい者が日々直面している課題について、作業療法士の金城知子さんが実施したアンケートによると、福祉用具利用者が最も困難を感じているのは「階段昇降」「屋内移乗」「屋外移乗」で、それぞれ23%を占めている。続いて「旅行」「車いす」「屋内移動」が挙げられた=下グラフ

福祉用具利用者へのアンケート 日常で困っていることは?

資料提供:金城知子さん


この結果から、多くの障がい者が移動と移乗に関して困難を抱えており、外出が容易でない状況にあることが分かる。金城さんは「日本では、人の助けを受けることに対し、申しわけないという気持ちが強く、障がい者自身が我慢したり、あきらめたりしていることが多い」と指摘する。


リフトで外出しやすく 費用負担が課題

9月17日・18日に開催された「ニーズ・シーズマッチング地域交流会」(テクノエイド協会主催)では、金城さんが座長を務め「安心安全な移動・移乗支援機器を考える」をテーマに福祉用具を利用する障がい者と開発者が集い、自立支援機器の開発に向けた意見交換が行われた。

参加者の1人である車いす利用者のHさん(29)は一人暮らしをしているものの、自力で車いすへの移乗ができず、トイレや外出時に常に介助を必要としている。「本当は友人と出掛けたいけれど、介助者がいないと難しい」と話し、もっと自由に外出したいと打ち明けた。

この課題に介護リフトメーカーである(株)モリトーの森島勝美さんが、多様な介護リフトを紹介。「座位や立位の保持が難しい人でもリフトを活用することで、車いすやトイレへの移乗が可能になり、外出や自立支援にもつながる」とした。Hさんも実際にリフトに試乗。「乗り心地が良い」と好感触を示した。

リフトは介護保険でレンタル可能だが、障害福祉サービスだと助成金制度の基準額があり、導入費用の負担が課題だ。一方、製造技術の進歩で低コスト化も進んでいる。

その他の参加者からは、ホテルや施設で介護リフト設置を増やすことで外出がしやすくなるとの意見も出た。

金城さんは「障がい者が気軽に外出できる社会の実現に向け、福祉用具の普及と発展が期待される。支援機器の改良や環境整備を通じて、障がい者の自立と社会参加を促進する取り組みが今後も重要」と話した。

 

介護リフトの可能性を体験

9月17日・18日、福祉用具の利用者と開発者が自立支援の意見交換をする交流会が沖縄青年会館で行われた。会場では福祉機器利用者が実際に介護リフトに試乗した=写真。「乗り心地が良い。クセになりそうですね」と話し、生活に取り入れたときのイメージを膨らませていた。リフトを押しているのがメーカーである(株)モリトーの森島勝美さん。 




きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部・結ま~るケアプロジェクトリーダー、作業療法士


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2024号・2024年10月18日紙面から掲載

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