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2023年5月26日更新

[建築科がある工業高校③]沖縄工業高校(那覇市)|人間力培う交流 土木科とも連携

ものづくりの知識と技術を磨ける工業高校には、さまざまな学科がある。今回は「建築科」を特集。県内で建築科を有する五つの工業高校に授業内容や進路状況を聞いた。


人間力培う交流 土木科とも連携



沖縄工業高校(建築科)は

◆他学年と交流できる機会があり、先輩から資格取得などについてアドバイスをもらいながら協調性や人間力を育める。
◆土木科と連携することで、2級建築施工管理技士補だけでなく、2級土木施工管理技士補の講習も受けられる。

※定員は40人。オープンスクールは7月27日(木)を予定している。
昨年の進路状況/就職先は㈱國場組、金秀建設㈱、㈱大城組、内閣府沖縄総合事務局、清水建設㈱(東京)、青木あすなろ建設㈱(同)、三晃金属工業㈱(同)など。進学先は琉球大学、沖縄国際大学、沖縄職業能力開発大学校、金沢学院大学、福井工業大学など。



県内工業高校の建築科の中で最も長い歴史のある沖縄工業高校。指差し呼称で安全管理などを行う「沖工訓練」を毎週実施しているほか、独自の取り組みとして「協調性を育むために、1~3年生がコミュニケーションをとれる場を設けている」と安座間竜作先生は話す。

資格を取った生徒が「こうすればうまくいったよ」と他の生徒に助言したり、3年生が1年生に学校のことを教えたりと、情報交換の機会になっているという。

1~3年の女子生徒と女性職員だけで弁当会やお菓子会などを開く「女子会」=下写真=もあり、「生徒間のつながりができることで人間力が培われる、長い歴史によるブランドだけでなく、そういった人間力が大手ゼネコンなど沖縄工業の建築科にしか来ない求人につながっているのではないか」と説明する。

1~3年の女子生徒と女性職員だけで開く女子会の様子。学年の垣根を越え、和気あいあいと交流する
1~3年の女子生徒と女性職員だけで開く女子会の様子。学年の垣根を越え、和気あいあいと交流する


建築科全体で進路を後押し

他の学校と同様に2級建築施工管理技士補など資格取得に力を入れているが、沖縄工業では昨年度から土木科と協力することで、2級土木施工管理技士補の講習に参加できるようになった。昨年度は建築科の生徒6人が両方の学科試験に合格した。今年も10人ほどが、土木施工の試験にもチャレンジする予定だという。

昨年度の進学と就職の割合は4:6。卒業後の進路については、無作為に選ばれた建築科の先生が試験管として面接の練習に応じるなど、進路指導の担当者以外もサポートする。

また、ほとんどの生徒が部活に入部。安座間先生は「資格の勉強など互いの苦労が分かるので部活内の雰囲気がいい。そのため元気にあいさつができ、何事にも頑張る生徒が多い」と話した。

 

わが校のココがイイ!


建築科2年(左から)
下地夏獅(なつし)さん、新垣賢士(たかと)さん、大村朱音(あかね)さん


◆沖縄工業の建築科を選んだ理由
(新垣)建築関係の仕事をする父の職場を見に行って、自分もやってみたいと思ったから。
(大村)自分の家を設計したかったから。沖縄工業の建築科にしか来ない求人もあるほど就職に強いという話も聞いた。

◆大変なこと、面白いこと
(下地)好きな野球もできているので楽しい。春の県大会ではベスト8、県立工業高校大会では優勝もした。
(大村)2年生の女子は6人だけど、男子女子関係なく仲がいい。製図の実習では集中力を保つのが大変。でもみんなが「建築の道に進みたい」という気持ちを持っているので、自分も刺激を受けて頑張ることができる。

◆将来の夢
(新垣)技術職(建築士や現場監督)と技能職(左官や大工などの職人)の両方の仕事を身に付けたい。それぞれの気持ちが分かった上で建築に関わりたい。
(下地)現場で適格な指示を出せる現場監督になりたい。経験を積んだら、貧しい国などで建築のことを教えたい。


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撮影・取材/東江菜穂、出嶋佳祐、市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1951号・2023年5月26日紙面から掲載

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