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2023年5月26日更新

[建築科がある工業高校⑤]美里工業高校(沖縄市)|調査研究班設け 母校・地域に貢献

ものづくりの知識と技術を磨ける工業高校には、さまざまな学科がある。今回は「建築科」を特集。県内で建築科を有する五つの工業高校に授業内容や進路状況を聞いた。


調査研究班設け 母校・地域に貢献

美里工業高校(沖縄市)

美里工業高校(建築科)は

◆中部出身の主体性のある生徒が多い。昨年度からは、より主体性を伸ばすため、課題研究の授業で調査研究班を設けた。
◆1年生の時から資格取得に力を入れており、早朝から対策講座などを開いて支援する。

※定員は40人。オープンキャンパスは7月13日(木)、9月22日(金)
過去3年間の進路状況/就職先は、㈱太名嘉組、㈱國場組、金秀建設㈱、大勝建設㈱、㈱大晋建設、住友林業ホームエンジニアリング㈱など。進学先は、琉球大学、沖縄職業能力開発大学校、久留米工業大学など。



中部地域から通う生徒が多い、美里工業高校の建築科。城間克也先生は「生徒会の執行部に入るなど主体性のある生徒が多い」と特徴を説明する。

さらに、3年生が1年かけて製作したり調べたりする「課題研究」の授業では、木工班や金属加工班などに加え、昨年度から新たに調査研究班を設けた。「自ら疑問に思ったことを調べて課題の解決を目指すことで、より主体的な人を育てる」ことが目的だ。昨年度の場合「自分たちでできるSDGs」を題材にしながら、母校・地域・建築科に貢献する取り組みを実施。県産木で作った児童会選挙用の投票箱を母校の小学校に寄贈したり、地域の保育園に子どもの発達に合わせた木製おもちゃを寄贈するなどした。

また、建築科棟の壁や階段などに、材料が貼られていたり、寸法などが書かれているが、これも過去の生徒が課題研究で手掛けたもの。城間先生は「材料の質感や寸法の感覚を覚えるのに役立っている」と話した。
 

建築科棟の階段。木材が貼られているほか、踏面(ふみづら)の幅や蹴上(けあげ)の高さなどの寸法も書かれている

建築科棟の階段。木材が貼られているほか、踏面(ふみづら)の幅や蹴上(けあげ)の高さなどの寸法も書かれている


早朝講座で資格取得を支援く

入学直後から「内装関係の仕事がしたい」など明確な意思を持っている生徒が多く、卒業後は約3分の2が就職する。

1年生の時から資格取得に力を入れており、試験1カ月前から毎朝講座を開いて支援する。今の3年生の場合、昨年度の2級建築施工管理技士補に12人が合格しており、CAD検定2級の合格者もいる。

進学希望者に対しても、進路指導部が中心になって英検や漢検の合格に向けて支援している。

そのほか、卒業作品展はイオンモールライカムで開催しており、多くの人に見てもらえる。

 

わが校のココがイイ!

建築科3年の(左から) 仲宗根彪雅(ひゅうが)さん、我謝結梨(ゆいり)さん、石川光佑(こうすけ)さん、伊※れい(※れい=衣編に豊)龍太さん
建築科3年の(左から)
仲宗根彪雅(ひゅうが)さん、我謝結梨(ゆいり)さん、石川光佑(こうすけ)さん、伊※れい(※れい=衣編に豊)龍太さん


◆美里工業の建築科を選んだ理由
(仲宗根)建築業界で働く父を見て影響を受けたから。いろいろな資格を取ることで父に近づきたい。
(伊れい)オープンキャンパスに参加して、やりたいことがたくさんあったし楽しそうだったから。

◆大変なこと、面白いこと
(我謝)いろいろな資格を取得できるけど、資格の勉強と普段の勉強を両立させるのが大変。
(仲宗根)木材を使ったり、鉄同士を溶接したりと、他の学校では学べないようなことが学べる。工業祭では自分たちでジェットコースターを作れるくらい成長できた。
(石川)現場見学会に行ったり、左官実習でプロの職人から教えてもらえたりと建築に興味がわきやすい。
(伊れい)課題研究では自分の好きなことに取り組める。作ったものを寄贈して地域貢献などもできるのでやりがいや達成感を感じやすい。

◆将来の夢
(石川)一級建築士になって、個性的でおもしろみのある住宅や建物を設計したい。


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撮影・取材/東江菜穂、出嶋佳祐、市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1951号・2023年5月26日紙面から掲載

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