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2022年9月23日更新

[沖縄]不動産の日特集2022・不発弾探査|不発弾 今も約1900㌧ その土地も例外でない!

[戦後77年も危険と隣り合わせ]
沖縄戦で使用された爆弾類はおよそ20万㌧。多くの不発弾も出た。戦後77年たった今でも、県内各地に約1900㌧が埋没しているとみられる。2009年には糸満市の工事現場で、重機が地中の不発弾に接触。爆発し2人が重軽傷を負った。19年には、糸満市の住宅建て替え工事現場で250㌔爆弾が発見され、1200人が避難対象となった。今なお県民は危険と隣り合わせの状態にある。県では不発弾による事故を防ぐため、「不発弾等処理事業」を進めている。住宅建築を予定している土地や、畑などに活用する土地の不発弾探査費用を原則、全額補助している。県の担当者は、「不発弾はどこに埋まっているか分からない。安全に工事や土地活用を行うためにも、ぜひこの事業を利用してほしい」と話す。

2019年6月、糸満市の住宅建て替え工事現場で見つかった米国製250㌔爆弾。処理に伴い半径283㍍の約400世帯1200人が避難対象となった(県防災危機管理課提供)
2019年6月、糸満市の住宅建て替え工事現場で見つかった米国製250㌔爆弾。処理に伴い半径283㍍の約400世帯1200人が避難対象となった(県防災危機管理課提供)


殺傷力は変わらず

公共工事の不発弾探査義務化のきっかけとなった糸満市の不発弾爆発事故の新聞記事(沖縄タイムス2009年1月14日付紙面より)
公共工事の不発弾探査義務化のきっかけとなった糸満市の不発弾爆発事故の新聞記事(沖縄タイムス2009年1月14日付紙面より)


【話を聞いた人】
・崎山知朗さん/沖縄県知事公室防災危機管理課不発弾対策班主幹
・大城大悟さん/同班技師


過去には死亡事故も

ことし1月、西原町の住宅地で250㌔爆弾が発見され、処理に伴い約2千人が避難を強いられた。今なお身近な場所に不発弾が埋没している。

77年眠っていた不発弾といえど、殺傷力や破壊力は変わらない。むしろ腐食により信管が敏感になっていれば「ちょっとした振動で爆発する恐れもあり、非常に危険」と話すのは、県の不発弾対策班・主幹の崎山知朗さん。

1974年には那覇市小禄の幼稚園そばの下水道工事中に不発弾が爆発し、園児を含む4人が死亡し34人が重軽傷を負った。この痛ましい事故の翌年から、不発弾処理事業が始まった。

2009年には糸満市小波蔵の工事現場で重機と不発弾が接触し、爆発。2人が重軽傷を負った。県は同年4月から、公共工事における事前の不発弾探査を義務付けた。また、12年度からは民間の工事でも探査費を全額補助している。

県内で発見頻度の高い「5インチ艦砲弾」。約45㌢で、避難半径は88㍍程度(21年9月南風原町/県防災危機管理課提供)県内で発見頻度の高い「5インチ艦砲弾」。約45㌢で、避難半径は88㍍程度(21年9月南風原町/県防災危機管理課提供)


累計で1157件

住宅の新築、建て替えなどの際の不発弾探査費用を補助する「住宅等開発磁気探査支援事業」は21年度、290件実施。そのうち不発弾が発見されたのは11件・14発だった。浦添市、那覇市、南風原町、豊見城市、糸満市で見つかった。 同事業が始まって約10年。昨年度の実施数は過去最多だったものの、県内の住宅着工数の約5%にとどまっている。

「探査を行わず、工事のさなかに不発弾が発見されたケースもある。一歩間違えば大惨事になったかもしれない。事前調査を行わずに着工するのは非常に危険」と同班の大城大悟さんは警鐘を鳴らす。

畑など、工事を行わない土地での不発弾探査についても「広域探査発掘加速化事業」で県が全額補助する。21年度の実施件数は44件で発見数は4件・4発。西原町、南城市、糸満市で発見された。

そのほかの探査事業を含む「不発弾等処理事業」の21年度の実施総数は362件で、発見件数は17件だった。同事業を開始した75年度から21年度まで累計で4235件。発見数は1157件、発見された割合は27・3%だった。

崎山さんは「不発弾は、どこに埋まっているか分からない。これから家を建てる人、建て替えを考えている人、畑などの利用を考えている人は、この事業を活用して、安全に工事や土地活用を行ってほしい」と力を込めた。





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