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2021年6月25日更新
木×錫粉漆でメタリックに|アートを持ち帰ろう(3)
文/本村ひろみ
木×錫粉漆でメタリックに
花浮かべて…月夜が待ち遠しくなる器浮島通りにあるアートと文化を発信するスペース「あおみどりの木」はオープンしてまだ1年にもならないが、毎回どんな企画展を見せてくれるのか楽しみな場所だ。1952年に建てられた木造の薬局をリノベーションし、当時の面影を残しつつ工芸の技で新しい息が吹き込まれている。
例えば足元のコンクリートのクラックに金継ぎの技法を応用して漆が塗られ、通常ならひび割れや欠けを目立たなくするところに漆を使用して経年の傷跡を線のデザインに変えた。建物の入り口の赤い取手も漆塗りが施されている。その仕事をしたのは“漆芸舎 伍(ご)”の森田哲也氏。漆芸家・森田氏は首里城正殿の外壁などの修復にも長年かかわっている職人の一人だ。
モダンな器で食卓に変化
今回はその「あおみどりの木」で開催された漆芸舎伍と工房ぬりトンの「お酒をたのしむ木と漆の器展」に出かけた。ぬくもりを感じる漆の器や沖縄の木を使用したスタイリッシュな器など、あれこれと心奪われるなか目にとまったのは、形態に動きのある銀色の漆の皿。チャーギの自然な形をそのまま生かして作られた錫(すず)粉漆プレート。植物に漆や錫粉という異素材を組み合わせ、メタリックな印象に仕上げた作品だ。展示ではそれに黒い球体の漆の器が添えられていた。
黒と銀の取り合わせがシックでモダンな印象。この器は形も色も普段の食卓に変化をもたらすに違いない。銀色の皿には旬のあえ物を、丸い器には花を浮かべて、と想像が膨らむ。月夜が待ち遠しくなる漆の器たちだ。
「錫粉漆プレートに球体の漆の器」
平たい皿に球体の器を載せて演出。黒と銀の組み合わせがシックでモダン。丸い器のふたを開ける楽しみも。
錫板皿655mm×215mm×20mm
ボンボン入れ(球体)直径120mm×110mm
錫粉漆プレート 27,500円(税込み)
球体の漆の器 22,000円(税込み)
(撮影 当銘寿夫)
「「乾漆角皿」驚くほど軽く薄いので、重ねて収納しても場所をとらない
作家近況
展示会のお知らせなど詳しくはサイトで。
漆芸舎 伍 https://situgeisya-5.jp/info/
木とうるし工房 ぬりトン
https://nuriton.jimdofree.com/
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1851号・2021年6月25日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。