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2021年4月23日更新

国指定重要文化財「新垣家住宅」公開|気になるコト調べます![70]

4月3日から本格的に公開された、那覇市壺屋の「新垣家住宅」。登り窯をはじめ、戦前からの陶工の住居形態をそのまま残す国指定の重要文化財だ。長雨による登り窯の倒壊から約12年。屋敷全体の修繕を終えて、伝統的な作陶風景がよみがえる。

国指定重要文化財「新垣家住宅」公開

壺屋焼の作陶風景よみがえる


壺屋やちむん通りにある「新垣家住宅」は、「東ヌ窯」と呼ばれる登り窯を敷地内に有する屋敷。壺屋焼の作陶の様子が分かる伝統的な木造住宅として、2002年12月に国指定重要文化財となった。壺屋焼物博物館の学芸員・比嘉立広さんは「戦火を逃れ、明治末からの形態、雰囲気をそのまま残し、壺屋の歴史に触れられる貴重な屋敷。所有者が住みながら文化財として維持・管理・公開するというのも全国的にまれなケースです」と話す。

約400坪の敷地に主屋、作業場、フール(便所兼豚舎)、離れ、トーニ(粘土分を取り出すための沈殿池)、登り窯が配される。公開されているのは離れ、トーニ、登り窯のある一帯で、那覇市が管理する。主屋と作業場は今なお新垣家の住まいになっている。


同じ素材の補修跡も見どころ

窯から上がる煙が問題になり、東ヌ窯の火が止められたのは1974年5月。壺屋地域で最後まで稼働した窯となった。2009年、長雨で大屋根が倒壊。「所有者だけでは修繕・維持が難しい。『文化財を守ってほしい』と地域からも声が上がり、国・県・市で屋敷全体を修復」。建物に使われる木材や瓦、石垣の石材を一つ一つ丁寧に取り外した。シロアリや雨、老朽化で傷んだ部分を同じ材料で補修し、元あった場所に戻して復元。離れや石垣にその補修跡が見て取れるのも見どころの一つだ。

何人もの陶工が皿などの日用品を作ってきた作業空間は、素朴ながらも力強さを感じさせる。トーニで土から粘土を取り分け、離れ内の土踏み場でブレンドして蹴轆轤で成形、そして窯に入れて焼く―これら全てが手作業で行われていたのだと思うと感慨深い。比嘉さんは「陶芸家の濱田庄司さんや画家の山下清さんも訪れた場。足を運んで、壺屋焼の歴史文化を感じてもらえればうれしい」と話した。

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取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1842号・2021年4月23日紙面から掲載

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川本莉菜子

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好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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